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幕間2  帰還

 「通信塔は誰か持った!?」

 「トーヤが持ちました!」

 「さおり~、他に持ってくのは~?」

 「足りないのはキョータロー君が持ってたわ。トーヤ、カガリ、キョータロー君は何も持たないで出てったミツクニに合流して!」

 「了解っ!行ってくるぜ!」


 元気のいい少年少女を送り出し、沙織は一息つく。

 本来この作戦司令室にいるべきオペレーターも隊長格のメンバーもいない中、沙織は一人でその代わりをしていた。

 いや、正確には彼女のほかにギルドを管理、サポートする高性能AI「アダム」と「イブ」も遠隔操作でドローンやミニロボットを駆使して勇者たちの行動をサポートしていた。

 

 「サオリ、当該地域周辺ノ結界展開完了シマシタ」

 「侵食空間ハ尚モ拡大シテイマス。結界ノ補強ヲ提案シマス」

 「わかったわ。とにかくドローンもミニも今出せるのは全部出して。ああ、もう、全然人手が足りないじゃない!手の空いている人、誰か捕まった!?」

 「イイエ、休日デスカラ家族ト出掛ケテイル人ガ多イデスカラ」

 「隊長格はエデンに行って帰ってこれないし、状況最悪じゃない。アダム、私も……」

 「おい、何の騒ぎだ、こりゃ?」


 自動ドアが開き、中に入ってきたフードを目深く被った細身の男がぶっきら棒に聞いてきたことに沙織にイライラが爆発した。


 「ちょっ、あんた、いつ帰ってきたのよ!」

 「今さっきだよ。キーキー喚くな、鬱陶しい」

 「あんですってぇ!」

 「あ~、沙織、落ち着いてくれ」

 「陽太郎!あんたも戻ったの!?」

 「いや、流石にいつまでも大学休んでられないから。で、状況は……」

 「境山西部で大規模な空間侵食が発生。その中に茶々とティアーネが幻視者の疑いがあった少女と閉じこめらたようだ」


 リョウのあとに入ってきた大学生であり勇者ギルド代表者、十塚陽太郎と彼の相棒にしてギルドの実務を取り仕切るチーフの帰還に肩の荷が降りた沙織は近くの椅子の背もたれに掛けていた黒いコートを手に取った。


 「ちっ、そこに居やがったのか」

 「もう行くのか?」

 「あたりめーだ。向こうじゃほとんどすることもなかったんだ。うっぷん晴らしには丁度いい」

 「私も行ってくる!陽太郎、チーフ、後は任せたわよ」


 返事を待たずに沙織が指令室を飛び出していき、その後にリョウも歩いて出て行ってしまった。


 「お~、お~、保護者二人が揃って飛び出していったな」

 「現場は彼らに任せて問題ないだろう。しかし、ここに来てこの規模の巣を作る個体が出てくるとはな。地球側の戦力を絞りすぎたか」

 「今更そんな事言っても仕方ないだろう。むしろ本格的に作戦が始まる前でラッキーと思った方が前向きでいいだろ。……あ~、これより境山西部に発生した喰らうモノ討伐作戦の指揮は俺、十塚陽太郎が執る。行儀の悪いタダ飯喰らいどもを一匹残らず叩き潰すぞ!」

 「了解!」「は~い!」「よっしゃ~!やるぜ~!」


 陽太郎の檄に意気盛んな勇者たちが応える。

 ここに、境山西部を舞台にした大規模作戦の幕が切って落とされたのだった。

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