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魔女と魔法使いの子孫

氷華の涙

作者: 深謙 琢磨

処女(?)作です。拙い文章ですが、よろしくお願いします。

************************************************************


私の名前はシヴァレリーナ·アルフリィ。アルフリィ伯爵令嬢であり、

魔法を使える珍しい人間。魔女としては王家から《氷と癒しの魔女》の名を拝命されています。 ……そしてアルフリィ家の忌み仔とも呼ばれている……。


この国スナイト王国は始まりの魔法使い5人によって造り上げられたと言われている。そのなかの土の魔法使い様は国造りの途中でお亡くなりになり、万の魔法使い様は王様になり、炎の魔法使い様は万の魔法使い様に仕えた。

アルフリィ家は炎の魔法使い様の子孫。なのに私は氷の力を持ってしまった…

力が判明してから続く家族扱いされず、魔女の務め以外では屋敷から出れない日々。それでも私は頑張った。力の制御を身につけ、認めてもらえるように必死に勉強をした。

厄介払いついでの政略結婚でも気に入ってもらえるように相手のことを考えて動いてきた。





なのに、何でこうなるの…………?


今日は妹の誕生日パーティーだった。忌み児である私を出したくないが、主役の姉が不参加では外聞が悪くなる。よって私は壁の花となるように父上から厳命されていた。主役が登場し、パーティーが始まる。目立たない場所に行き、会場全体の様子をぼんやり見つめふと気がついた。

 ……何故私の婚約者であるアルテミア様がルミテス公爵令嬢をエスコートしているの?

すると突然、会場の空気が止まった。わぁ、時の魔女様の魔法みたい。と、のんびりしているとアルテミア様がこちらをちらっと見てきた。アルテミア様がゆっくりと口を開く。

「パーティーの最中に申し訳ありません。私、アルテミア·クロウがこの場を借りてご報告させていただきます。この度、私はアルフリィ伯爵令嬢シルヴァレリーナとの婚約を破棄しルミテス公爵令嬢パルシアナと新たに婚約することになりました。未熟な私達ですが、これからを温かく見守っていただけると幸いです。」


「嘘でしょう…?」

思わず口に出し、はっと口を手で覆う。

何も伝えられていない。アルテミア様がこちらを向く。

「嘘じゃない。君はいつも僕が会いに来てもいなかった。どうせ僕のことを嫌っていたのだろう?パルシアナは違う。いつ行っても温かく迎えてくれる。僕はパルシアナと愛し合っているんだ。それなら君との婚約は破棄した方がいいに決まっている。こちらからすれば正直大した旨みの無い話だったしね。」

怒りで頭の中が真っ白になる。

だってしょうがないのに。突然来られても魔女としての務めでいないときが多いのだから。それ以前に先触れも無しに屋敷に来るのは非常識だ。国の上層部の方々は私が魔女であることを知っていて顔をしかめている。第一、婚約者がいるのに恋人を作った方が罪深い。何故私が辱しめられなければならないの?

抗議のために口を開く。

「失礼ながら抗議させ「シルヴァレリーナ、黙れ。婚約者に尽くさなかった自分が悪いのに見苦しい。」っっ。」

父上が言葉を遮り、冷たい目で私を睨みつける。

何故私の事情を知っているのに庇うどころか私を責めるの?

何故?何故?なぜ?何故?なぜナゼ何故なぜなぜナゼナゼナゼナゼナゼなぜ何故ナゼナゼ何故何故なぜなぜ何故ナゼナゼナゼナゼナゼナゼナゼナゼナゼナゼナゼ


なんで?………


──────────────────────────プツン


あァ、そっか、そうなのか、そうなのね。

父上にとって私は家族になり得ないんだ。人でもないんだ。ただの自分の道具。いや、それ未満なんだ。アルテミア様も妹も母上も誰もかもが私のことなんかどうでもいいんだ。なんだ。馬鹿みたいだ。誰も見てないのに抗おうなんて無意味だったんだ。


「__うふふ。うふふふ。うふふっフフフフフフフフ」

なぜか嗤い声と涙が出てきた。魔力も溢れて言うことを聞かない。

零れた涙が凍りつき、そこから氷が広がる。

「っっうわあああああ!!!!」

「キャァァァァ。化け物よ!!誰か助けて。」

「逃げろ!」

せっかくの誕生日パーティーなのに会場内はとたんに阿鼻叫喚と様変わりした。

  でももうどうでも良いや……こんな世界滅びればいい。そう思いふと正しく忌み子だと自嘲する。

……意識の糸がだんだんほどけていく。死ぬの…か……なぁ。

次生まれるな…らもっと………ましなじ…んせい…が………………………………………………………………


────────────────────────────────────

「…シヴァル、今日は暖かいね。シヴァルが好きなアマリリスの花を持ってきたよ。」

…………………誰か、懐かしい声が私に話かける。誰だっけ?分からない。でもすごく安心する声だ。私のことを愛称で呼ぶのは……っ!

「シヴァル?」

一気に意識が浮上した。懐かしい声の持ち主である幼なじみのルイシス王子が私を目を見開いて覗く。

「ル イ?」

体を起こそうとして失敗しベッドから落ちそうになる。

「シヴァルッ!」

ルイが私を落ちる前に抱き上げてくれた。

「ありがとう。ルイ。ルイ?」

何故か泣き出すルイ。小首を傾げる私をぎゅっと抱き締める。

   ちょっと苦しい。魔女になってからの6年間会えなかったとはいえ、オーバーリアクションだ。

「……キエチャウカと思った。」

「っえ?」

「ただでさえ、僕以外の婚約者にされて手が届かなくなったのに、死んで消えちゃうかと思った。ねぇシヴァル、君一年間も眠り込んでたんだよ。

このまま起きないかと心配で心配だったんだから。よかった。シヴァルが目覚めて。………もう、シヴァルを手放さない。君を愛してるんだ。」








なんだ…こんな所にあったんだ私の居場所。


「ごめんね、心配かけて。

    ありがとう、ルイ。」


************************************************************

シルヴァレリーナ·アルフリィ

アルフリィ伯爵令嬢 氷と癒しの魔女

アルテミア·クロウ

次期侯爵

パルシアナ·ルミテス

ルミテス公爵令嬢

ルイシス·エリュート·フォン·ミルキーウェイ

スナイト王国第二王子 幻の魔法使い






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