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牛若と霧原  作者: 浮雲
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プロローグ

一応、霧原目線です。

 フライパンの中で色とりどりの野菜と肉が舞い踊る。

 ジューという音がますます俺の食欲をかきたてていく。

「んーとても美味しそうだ」

 人参がいい感じに萎びてきたのを見計らって、塩と胡椒を振りかける。待ちきれんというばかりに腹が鳴った。火を止め、皿に盛りつける。我ながらいい出来だ。

 肉野菜炒めをテーブルの上に置くと、炊飯器が炊きあがったことを知らせてきた。うきうきとしながらふたを開ける。目の前につやつやの米のパラダイスが現れた。やっぱり日本人は米だよな。

 しゃもじを手に取り、少し水をかけてから混ぜて茶碗にのせる。見よ、このふっくら感。米粒が立っているのがわかるだろう?この感じを出すのに約一年かかったぜ。いろんな種類の米を試し、水の量とどこまで米ぬかを洗い流すか研究したかいがあった。俺の理想のご飯が今この手に……。

 おっといかんいかん。一旦落ち着こう。

 茶碗を主菜の横に置き、用意していたお椀を持って再びキッチンへ向かう。今日の味噌汁の具材は豆腐とわかめだ。定番だが味噌汁に一番合うのはこの二つだと思う。鍋のふたをガスコンロの近くに立てかけ、豆腐が崩れないようにすくってお椀に入れる。ちなみに俺は木綿より絹ごしのほうが好きだ。あのつるんとしたなめらかさがいい。なんだか冷や奴が食べたくなってきた。

 味噌汁を運ぶついでに箸とコップを空いている手で取っていく。すべて並べ終えて、冷蔵庫から麦茶が入っている容器を取り出し、中身を注ぐ。

 今夜の食事を眺め、視覚で堪能していると、またぐぅーと腹が盛大な音を立てた。

 さて、次は味覚で楽しむとするか。椅子に腰かけ、体の前で手を合わせる。

「いただきます」

 キャベツと豚肉を箸でつまんで口へと運ぶ。しゃきしゃきとした歯ごたえがたまらん。ちょうどいい感じで芯が残っている。豚肉もよく火が通っていて、硬すぎない。噛めば噛むほど肉のうまさが口いっぱいに広がる。うーん、うまい。ここでご飯を一口入れる。口の中で野菜と肉と米が絡み合い、絶妙なハーモニー。

 ごくんと飲み込んでから味噌汁を流し込む。食道を通って胃に温かさがじわっと染み渡った。

 この感じ、結構好きなんだ。そのこともあり一日に一回は必ず味噌汁を食事に出す。特に朝はこれがないと朝食って感じがせず、頭が覚めない。大事だよ、朝ご飯は。食パン一枚で済ませる人とかいるけど、ちゃんとしたもの食べないとね。

 それにしても和食はいい。洋食や中華も好きだけど、やはり最終的には米に落ち着く。基本的に何でも合うし、日本食を食べているとどこか安心する。

「あー日本人でよかった。和食最高」

 としみじみ思った。

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