展開が急すぎなんだよ
誤字脱字は脳内にて変換お願いします。
ベリトード少年らが去って静かになったので、俺はさっきまで読んでいた本を読み始める。
ふむふむ。
この世界には魔獣という危険生物が居り、決まった場所に出没するらしい。
魔獣は自身のテリトリーから出る事はまず無いので、テリトリーに侵入しなければ安全。
一方、魔人という種族も居るそうで、こちらは狡猾で冷血。人間の町に潜んでは、人心を惑わし悪事を働かせる。
人間と外見がほぼ変わらないことから、見分けることが難しいらしい。
魔人は享楽的でもあり、個々によっては戯れに人間と子を成すこともあるそうだ。
そういう子供は総じて魔力が高いと書いてある。
ふんふん。
この本には魔人は忌むべき存在と明記されてるけど、人間にだって悪い奴や嫌な奴は居るよな。
俺自身が魔人を見たことも無ければ、接したことも無いからなのか、一概に魔人=悪人みたいな図式にはならないみたいだ。
集中して本を読み耽っていると、俺が居る部屋の扉の向こうから騒がしい声が聞こえてくる。
「そこをお通しなさいっ!フルフロント!」
「……………申し訳御座いませんがそれは出来ません」
「な、何ですって?私の命が聞けないのですかっ!」
「はい。幾らソニア様のご命令であっても、この部屋へはバラモス様以外は、足を踏み入れることが出来ません。むしろこの階層までいらっしゃられたことですら、旦那様のお耳に入りますとお怒りを買ってしまいます」
「バラモス様がお怒りになろうとも、私には確かめねばならぬことがありましてよっ!そこをお退きなさいっ!フルフロント!」
「ああっ!ソ、ソニア様っ!?いけませ…………あぐっ……………」
ドサッ……………………。
ひょ、ひょえっ!?
部屋の外で何があったんだ?
鬼気迫る女性の声と男性の短い悲鳴と倒れた音に、俺は怖くなってきてしまった。
倒れた男性…………し、死んでないよな。もし死んでいたらま、間違いなく次は俺の番だ。
恐怖に怯えながら俺は、部屋の扉にちゃんと鍵が掛かっていることを確認した。
その瞬間。
ガチャン……………ガチャガチャガチャ………ガチャガチャガチャガチャ…………。
ひぃぃぃぃぃぃ!!!
ホラー映画もかくや!って感じの勢いで、扉のノブが狂ったように回されはじめる。
あわあわわ………あわわわわ………………。
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャン。
「ふん。エスター!フルフロントの着ている服を剥いておしまいっ!この部屋の鍵を持っていないか探すのですわ!早くっ!!」
「は、はいっ!ソニア様!!」
バサッ………バサバサ………ゴソゴソ……ゴソゴソ……。
「ソニア様。か、鍵らしき物は見当たりませんっ!!」
「クッ………………小癪ですわねぇ。まあ宜しいですわっ!私の攻撃魔法で扉ごと吹き飛ばして差し上げますわ」
「ソニア様!?そ、それは流石に不味いのでは御座いませんか?」
「あら、扉ごときの1つや2つ…………吹き飛んでも、特に問題は無いですわ。もしもバラモス様が修理費を要求して参りましたら、即渡して差し上げますわよ!」
「いえ、ゲロッグ侯爵家ご当主のバラモス様が、修理費の請求などと小さいことは、仰いませんでしょうが、この部屋の中に居らっしゃる方に何かありましたら、と」
「…………………………その時はその時ですわっ!」
「え、ええっ!?へ、部屋の中の方!!今すぐに扉から離れて、下さい、まっせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
言われるまでもない!もちろん離れさせて頂きますよぉっ!
俺は風呂やトイレがある続き部屋へと速やかに退避した。
「果てなき悠久なる水よ!我が魔力に応え、力をお貸しなさいな!ウォーターハンマー!!!」
ズドドドォォォーーーーーーーーッン!!!
部屋全体がまるで地震のようにガタガタと大きく揺れ、扉は跡形もなく木っ端微塵に吹き飛んだのであった。
来訪者は突然に。