結局何歳に見えるんだよ
誤字脱字は申し訳ございません。手遅れです。
「はーはっはっはっはっはっ!」
俺はご機嫌で笑っていたのだが、背後から聞き覚えの無い声が聞こえ、その瞬間ピタリと口を接ぐんだ後、恐る恐る振り返る。
「あれ?お前は確か………ギアンが連れて来た子だよな? ギアンとリケルメはどうしたんだ?何か大騒ぎしながら外に出てったんだが………………」
平凡な容姿の人物は、どうやらギアンたちの知り合いらしく、俺の事も知っている様子だ。
「むむっ! あんた誰だよ?」
「ん?俺か?俺はダグってんだよ。よろしくな! んで、お前は何て言うんだ?」
うーむ。素直に答えて良いものか………。
まあダグが先に名乗ってくれたのだから、礼儀としてこちらも名乗り返すのはやぶさかじゃない。
それにイケメンじゃない。平凡な容姿だ。落ち着く。親近感をもよおす安定の薄い顔だ。
「…………よろしくはしないけど、一応名乗ってはもらったから返す。俺は東吾だ。藤崎東吾」
「あー…………フジシャキ トォゥゴ? 名前は……フジシャキ?」
「ぶふぉっ………。そっか!日本名丸出しだと、少し言いづらいんだな? えっと……東吾!東・吾!!」
「………トォゥゴ?」
「と・う・ご!!」
「トォォ…ウ……ゴ?」
だ、駄目だこりゃ。ダグが頑張ってんのは分かるんだが、一向に言える気配がねぇな。日本名はこの世界では発音しづらいみたいだ。
「うーん………トーゴって伸ばした方が発音は簡単か?」
「おおっ!トーゴ!トーゴ!呼べる呼べる。これからよろしくな!」
ニカッと笑うと、目の前にダグの手が差し出される。
あん?握手を求めているのか? お断りだ。
「よろしくはしないってさっき言っただろ?」
「気にするな!いつかはよろしくするかもしれないだろ? だからほらっ!」
俺がわざわざよろしくしないって宣言してやってるにも関わらず、無神経にも握手を求めて来る。
ひ、ひいっ…………言葉が通じない。正直困る。
「………………………………………………………」
ピッキーンと固まってしまった僕に構わず、ダグは無理矢理手を握ると、力一杯上下に振ると機嫌良く話始めた。
「ははっ! それにしても良かった。名前からして、どうやらゲロッグ侯爵の子息じゃあないみたいだな! 俺たちそれが心配だったんだよ。………………って、ん?ちょっと待てよ? だったら何で侯爵家に居たんだ? お前…………ゲロッグ侯爵の客人か何かか?」
あん?ゲロッグ侯爵って、バラモス氏の事だよな。
う~ん……何だろうか。ぺろぺろ関係ってのは………いや、死んでも言いたく無いし。
じゃあダグが言うように客人ってのが1番近いかな。でもなぁ……ギアンには、侯爵の邸から逃げたいって言っちゃったからなぁ……。客人だったら逃げないし、その他にも余計な事も言っちゃった様な気がするし。
このままここに居ると、奴隷ギルドへ売られるとか何とか。
はぁ………そんなのって客人って言わないよなぁ…………犯罪者だよ。あーあ……どうやって誤魔化そうかな。
「………………………客人、では無いな。それに連れてってくれと頼んだのは俺の方だしな」
「客人じゃないんだな? それも良かった。侯爵家の客人を拐かした何てバレたら、すっげーヤバかったからな!ホッとしたよ」
「そ、そっか」
「ああ。それにギアンが人を拐ってきた訳じゃなくて良かった。魔石の事はレリィの事があったからしょうが無かったけど、こんな小さな子を拐ってなくて本当に良かった!」
―――――――…………こんな小さな子って何だよ。
何なの?やっぱ俺ってそんなに幼く見えるの?確かに日本に居た頃から、実年齢よりも若く見られたけど、この世界でも外見は変化してるのに、実年齢よりも若く見られるのは変わらないのか?
この際ハッキリさせておくのも悪くない。ダグは良い奴っぽいし、嘘は吐けなそうだからな。
「なぁ、おい、ダグ。少し聞きたい事があるんだ」
「んー?何だ?」
「俺って何歳に見える?」
「…………………唐突だな。一体どうした?」
「良いからっ!俺は忌憚のない意見を聞きたいんだよ!」
俺の突然の剣幕に驚いたのか、ダグは目をぱちぱちさせながら驚いていたが、考えるようにこう言った。
「…………んー? 12、3歳くらい………かな?」
「ほ、本当か?」
何だ。12、3歳ならばまだ良いんだ。俺もそれぐらいかなって思ってたしな。
確かベリトード少年何て、10歳とかぬかしやがったからな。もしやそれほどに幼く見えるのかと焦ったじゃないか。ふっ。焦り損だったな。
「そっかそっか。だよな。それぐらいだよな!うんうん」
「…………あ、ああ。当たってたか?」
「まぁ………そうだな。当たらずとも遠からずって所だな」
この身体の年齢は大体それぐらいじゃね?
今度からは13歳って言っとくか。3歳くらいならば、誤差の範囲内だろ。
「…………………ボソッ………当たらずとも遠からず? ならもう少し 小さかったか?」
この時俺はボソッと呟かれたダグの言葉は届いて居らず、まずまずな年齢評価に満足していたのであった。
よろしくしないって言ってたのに、何だがダグに心ゆるしてね?