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嫌だ嫌だのべろちゅーなんだよ

今回……その………妙な口接音満載でお届けします。

 



 反射的に部屋から飛び出した俺だったが、直ぐにリケルメに捕まった。


 ははは………そりゃそうだー。俺とリケルメの足の長さには大分違う。

 コンパスの差は遺憾ともし難い。ちくしょー。



「待て待て。落ち着け。俺は別にお前を盗って喰おう何て考えては居ない。だから話し合おう」


 リケルメは静かにそう言うが、現在俺はリケルメに襟首を掴まれており、ジタバタと悪足掻きをしている。


「は、放せっ!放せよっ!」

「落ち着け、落ち着けって!」


 くそっ!嫌に冷静に宥めて来やがるな。な、何だか俺だけが熱くなって馬鹿みたいじゃね?

 だが負けん!俺は絶対に折れんぞ!


「もっ!はっなっせっよぉぉぉぉぉぉぉぉ」

「何故ヒートアップする?頼むから静かにしてくれ!」

「ぉぉぉぉ………………っ……んぐっ?むぐっ?」

「………ん、ちゅっ………ちゅるっ………くちゅ……」


 はへあっ!?

 えっ?今どーなってんの?口が何かで塞がってんだけど?

 ちょっ………ちょっと待って。

 俺の直ぐ目の前に、リケルメのイケメン面があって、そんでもって口の中を俺のじゃない舌がぺろぺろしてるぅぅぅぅぅ!!!


「ちょっ………んっ!……ちゅ………むちゅっちゅっ…………止めっ……んんんっ………はあっ……ん、んん~…………あっ!」

「はくっ……………んぐ……………ちゅるる………ちゅぱっ…………くちゅくちゅちゅっ…………んっ!」


 ひっ、ひぃーーーーーーん!

 頑張って制止したいのに、何か喘いじゃってる気がする。

 言葉の抵抗と共に、リケルメの肩や胸を叩いてるんだけど、一向に効き目が無いんですけどー。止める気無いな、コイツ。


「ちゅぱっ………ちゅちゅっ……ん、はあっ……むちゅっはぷっ………止めっ……………ちゅぱっ………………あっ………んちゅ………ちゅちゅちゅ~」

「ぴちゃ……………くちゅ…………ちゅっ……ちゅっ………ちゅっ……………はっ………」


 はあっ……はあはあ………いっ、一体何時になったら終わるんだ?もうそろそろ息がちゃんと出来なくて少し苦しいんだけど。





 リケルメはそれからゆうに10分以上(体感)の間、俺の口内を堪能すると、名残惜しそうにゆっくりと唇を放した。

 最悪な事に俺とリケルメの口と口の間には、テラテラと光る唾液の橋が出来上がっていた。


 って、どんだけだよ。


 俺はその橋を勢いよく頭を左右に振ることで破壊した。

 そしてそのまま床に唾を吐いた。


「うげぇっ!ぺっぺっぺっ!!」


 あうあうあう…………。何だよ………俺の新しい人生ってマジで一体何?

 男に色んな場所をぺろぺろされるのが運命なのか?何それ………すっげ死にてぇ…………。


 いやまぁ、百歩譲ってナイスバディーのムチムチボインのお姉様や、ロリっ娘貧乳美少女にぺろぺろされるならば、男として悔いなし!寧ろ何それ、最高にけしからんご褒美♡って大興奮する所だけど、現実は俺に厳しい。


 実際はバラモス氏(男)には身体中をぺろぺろされ、リケルメ(男)には口の中までぺろぺろされ、次は何処のどいつに何処をぺろぺろされんだよ、俺はっ!!


 男にばっかりかよ。このまま行くと、終いにはラッキースケベですら男相手なんじゃね?


 偶然スカートが風で捲れてパンツが見えたり、角でぶつかって倒れて、相手の娘の胸に手がっ!というシチュエーションが全部男だったり…………あれっ?それってもうラッキースケベじゃ無くね?アンラッキーじゃね?

 最悪だー。ムカムカしてきちゃったぞ。



 俺が内心ムカムカしていると、頭上から落ち着き払ったリケルメの声が聞こえてくる。


「……………………静かになったな。落ち着いたか?」


 はあ?何言ってんだ、コイツ。

 落ち着ける訳ねぇだろ。

 寧ろ殺意が後から後から湧き出て来てるっつーの!

 俺の転生後のファーストキスを汚しておいて、その落ち着き払った態度…………………気に入らない。実に気に入らない。


「リケルメに汚されたー」って言って泣きながら、この周辺を走り回ったろか?


 ぬふう………リケルメの信用は地に落ちる事は間違いない…………いや、待てよ。だが俺の評価も男に乱暴された男って事にはなるまいか?

 うーん…………うん、この案は却下だな。

 諸刃の剣過ぎる。くそっ………泣き寝入りか。


「…………………………………………ふんっ!」


 情けない事に今の俺には、リケルメから目を逸らして、口を利いてやらない程度のちっちゃな抵抗しか出来ないのであった。無念!





そしてまたもやそっぽを向くトーゴでした。


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