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マナーがなってないんだよ

 



「…………しても…………しでかして……たな」

「ははっ………褒めるな…………………へへへ」

「…………………………………褒めてねぇ」

「痛っ………………叩くな………………」

「………………自業自得………………」

「んだとっ!?」


 う、う~ん………何だろう?誰かが言い争っている声が、微かに聴こえてくる。

 その声に俺は閉じていた目を開いた。


「………………知らない天井だ」


 某有名アニメのネタを呟きながら、横たえていた身体をゆっくりと起こす。


 あっ、痛てっ。

 起き上がって気づいたのだが、どうやら俺は大体1メートル四方の木箱を、ふたつ繋げただけの簡易的な場所に寝かされていたらしく、軟弱な俺の身体は節々がギシギシと悲鳴を上げていた。


 転生してから初めて、フカフカでは無い場所で寝たせいだ。


「う、うぐっ………………くうぅぅっ…」


 た、立ち上がれない。ま、まじかー。

 これじゃあ当初の目的が…………危なくなったら兵士の詰め所へGO作戦が遂行出来ないじゃんか。

 床の上にドスンと踞ってしまう。うぎっ。またそれが痛くて涙が滲む。


 し、死んだ。俺の今生もここまでか。

 はぁ………またあのお役所仕事感満載の自称死神リーマンにでも嫌みを言われるんだろうな。やれやれ。


「………全く…………お前は…………反省してろ……………様子を確認して…………」

「えー?俺も…………」

「駄目だ……………………」


 涙目のままぼんやり死を覚悟しながら床に踞っていると、部屋の外から何者かがこちらに近付いてくる足音が聴こえてくる。


 もちろん扉はちゃんと閉まっているのだが、それでも聴こえてくるということから導き出される答えは、この部屋の壁が極端なほど薄いということであった。

 話し声も微かにだが聞こえてきたしな。



 足音は部屋の前で止まると、直ぐに扉を開けられた。


「起きたのか?すまないが入るぞ?」


 えっ?ちょ、待て!ノ、ノックぐらいしろよな。マナー違反だぞ。


 俺の口から制止の言葉が出る前に、ノータイムで扉は開けられた。


 そこから顔を出したのは、嫌みな位に容姿が整った男であった。

 男の理想をギュッと詰め込んだ様な魅力に溢れた、精悍な相貌で俺みたいな一般庶民からしたら「イケメン爆ぜろ!」と、舌打ちか唾棄してしまいたくなる顔面の持ち主であった。(ただし、マナーはなってない)


「ん?ああ、やはり起きていたのか」


 な、何だこいつ。やはりって言うことは俺が起きたのを見越してたってことだよな?

 くそっ。何で感付かれたんだ?一体何故なんだ……………。


「おい?お前喋れないのか?そ、それにそんなに凝視されると流石に気まずいんだが?」


 けっ。一丁前に照れてんじゃねーよ。

 イケメンの照れ顔なんぞ、この俺には通用しねーんだよ!むしろ腹立つんだよ。


「…………………………ふんっ!」


 ムカつくからそっぽを向いてやった。こんな態度をとられたら会話しようなどと思わないだろうし、空気を読んで部屋から立ち去ってくれるよな、きっと。





 俺がそっぽを向いて数分は経過しただろうか?

 イケメンは少しも声を発しない。しかして立ち去りもしない。


 えっ?何この状況。

 もしかして俺が返事をしなかったから嫌がらせ?仕返しが陰険臭い。このイケメン、いわゆる陰険腹黒イケメン野郎だったのか?

 そろそろ反らした首が痛くなって来ちゃったんですけど?このままだときっと、いや確実に首周りの筋肉が攣っちまうよ。



 だ、誰かぁ~!この状況から俺を助けてくれえ~!!!




主人公、何でリケルメに起きたの感付かれたんだ~!?って理解不能そうですが、その前にちゃんと壁が薄いって感じてますからね。

そこに思い至らないほど、リケルメ(の顔面)に対してムカついちゃってます。


元モテない系男子の僻みって恐ろしいのな。


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