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過保護発揮しました!


彼は彼で働いているらしい。

何をしているか知らないけど、私と同じ時間に朝家を出て、私より少し遅く帰ってくる。日払いらしいから、玄関で渡してくれる。


月給にしたら、彼の方が稼いでいるから、養ってる感じはもうない。

だから、半分は自分で使ってって言うんだけど、


「この半分はあげるから、その分レイシャをちょうだい?」


とか言いやがるから無理矢理半分押し付けた。

ほら、よくいるでしょ。可愛らしい顔しながら女の子をたくさん食ってる男。あれみたいな感じ。


町を一緒に歩いていると、彼はかっこいいから女の子からチラチラ見られてるんだけど、彼は私か店しか見てない。

そしてときどき、


「あの洋服レイシャに着てほしい!」


とか言うのだ。まぁときどき、洋服って単語が下着に入れ替わることもあるけど。

何で私が好きなのか未だに分からない。

求婚も断っているから、今はただの同棲生活だ。


抱きついてきたりキスしてきたりはあるけど、それより先はない。

少ししたら諦めて、他の可愛い女の子のところへ行くんだろうなぁって思ってる。

むしろそっちの方が、クレバスは幸せだと思う。



…うん、だからと言ってさ?

今日は散々な日だなとは思ってたよ。カフェに、クレバスのことが好きな女の子が来て私に罵声を浴びせたり、酔った男が机を倒したり(ちなみにお酒は提供していない)いろいろあった。


でもさ、何で私にストーカーがつくの?

とりあえずコンビニに入ったけど、ずーっと外におっさんがいる。

ちなみに、クレバスが潰したストーカーではない。


私の家を知って何になる?お金持ってそうですか?何か恨みでも?口で言えよ。

うちの狼は、一日中喋ってますよ。あなた人でしょ。


コンビニに入って15分。男はどこにも行かないで外からこちらを伺っている。


仕方ない。

私は棚に隠れて警察に電話した。数分後、私服警察官がやってきて、男に話を聞き、男は諦めたらしく大人しく捕まってくれた。

よかった、逃げられたらこれからも怖かった。


私服警察官の1人がコンビニに入ってきて、私に言った。


「家まで送りますよ」


警察手帳を見せてにっこりと笑ってくれたため、お言葉に甘えて家の近くまで送ってもらった。

さすがに家までは、と思ったので、家の近くまでだ。


「ありがとうございました、助かりました」

「いえいえ、ではお気をつけて」


いつもより遅くなってしまった。クレバスもう帰ってきてるかな?

マンションの私の部屋を見ると、明かりがついてる。心配されちゃうかな。


階段を上ってドアを開け、ただいま、と言おうとした瞬間、飛び付いてきた。

バランスを必死にとって倒れないようにする。


「ちょっ、と、クレバス?」


スンスンと私の首あたりを嗅いでいるクレバス。何か変だ。


「クレバス、どうし」

「さっきの奴、誰?送ってもらってたよな?」


感情が高ぶっているらしく、しっぽも耳も生えている。いつも垂れている耳は、ピンと立っている。


「えっとー…」


送ってもらった、ってことは私服警察官の人のことかな?ここから見えないはず…ってことは私の前を歩いてたのかな。

でも電気ついてたから…


「なぁ、誰?何で俺以外と仲良く並んでんの?レイシャは俺が予約してるんだけど」

「あぁ、あの人は彼氏とかそういうのじゃなくてね」


勘違いしてるのか、とやっと理解できた。可愛いなぁとか思って、ちゃんと説明しようとするけど。


「向こうはそう思ってないかもしれないだろ。もっとちゃんとマーキングしといた方がいい?」


頬を舐め、こちらを鋭い目で睨んでくる。少し怖かった。狼と人間の力の差だ。


「聞いて、あの人は私を助けてくれた警察の人で」


数秒彼は止まって、立っていた耳が少し垂れた。あ、誤解は解けた、のか?


「何で警察がレイシャを助けるの?」

「お店から男の人がついてきててね。コンビニで隠れてたんだけど行ってくれなかったから警察の人呼んだの」


もう一度耳が立つ。


「その男、どこ?噛みちぎる」


何を噛みちぎるかは聞かなかった。うん、目が血走ってる。


「捕まったから大丈夫。えーっと、リビング入ろう?」


するとクレバスが私をだっこして、靴を脱がせてリビングに歩いて行った。


「レイシャはもっと気を張った方がいい」

「十分張ってるよ。ちゃんと警察呼んだし、正しい対処だったよ」


まだ不服そうなクレバスだけど、過保護だから仕方ない。


「俺早くレイシャと結婚したい。そしたらレイシャは働かないで主婦になってくれるでしょ」

「まだ求婚するの?」

「まだって何!俺はレイシャのこと本気だから!他に好きな女なんていないから!」


怒らせるつもりはない、と彼の頭を撫でる。ソファに座る私の上にクレバスが乗っている状態。重くないように、少しバランスを調整してくれてるらしい。そういうところが優しい。


「職場の同僚に、結婚してくれない人間がいるって相談したら、孕ませれば解決って言われたんだけど、それしたらレイシャ怒るだろ?」


その同僚ここに引っ張ってこい殴る。

そういう考えだと将来苦労するぞ…


「うん、私に限らず誰でも怒ると思う」


一応クレバスは踏みとどまってるし理性はあるっぽいから、良かった。


「結婚したいなら、多分他の…可愛い子がいいんじゃないかな、とか思うけど…あ、今日カフェに、クレバスのこと好きな子が来たんだけど」

「俺、結婚したいんじゃなくてレイシャと一緒にいたいの」

「う、んん…」


人から好意を向けられることに、あまり慣れていない。

結婚する気も誰かと付き合う気もないって言えば、前までは大丈夫だったのに。


「じゃあ、例えばさ。私が実は好きな人がいるって言ったら」


そう、例えばの話。仮定。いたら、クレバスは諦めてくれたりするのか、って。

でも、クレバスの目はすでに獣の目だった。


主人公ちゃん、ストーカーつきやすいんですかね……なんかクレバス含めて結構ついてませんか。


よかったら続きもどうぞ!

よろしくお願いします。

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