そんなはずはない
依頼先の隣町へきた
町が燃えている
象くらいの大きさの生き物が火を吹き散らしている
人々が銃を撃っているが
効いている気配はない
拙者は
忍者としていままでよく依頼内容をみてそして受けると決めた仕事は受けた以上 各国の要人の暗殺もしたし
秘宝を探し当てたこともあるし
格闘技の世界チャンピオンとも闘って勝ったりもした
逆にいえば出来ない仕事は受けない
他に適任者がいるかもしれないし
しかし己で判断し受けた仕事は必ず影となりてこなす
それがプロの忍の在り方だと拙者は思うのだ
しかしその拙者が受けた仕事を失敗した その出来事は人を殺めることも辞さないことにかねてより心苦しさを感じていたこの仕事の引退を決意するきっかけとなったのだ
そろそろ拙者も潮時かな よい機会だと
しかし汚れ仕事だろうが拙者の半生そのもののこの仕事
最後の依頼くらいは
なんでもやろうと決めていた
なのでなんでもやろうと決めた以上
依頼内容だけ読んで即座に受け
依頼の書の詳細を詳しく読むのを怠っていたのだ
拙者としたことが
この仕事の報酬が拙者の退職金となるわけだが
…
依頼の書を詳しく読み返した
依頼内容 魔獣退治
急に魔獣が現れて困っている
これは知っていた これだけ読んだ
魔獣
象くらいの大きさ
火を吹き 重火器も効かない
読んではいたが半分比喩だと思っていた
報酬 一年分の町の野菜
!!!?
一年間も野菜がもつか!!!
一年分の野菜なんて持ち帰れんし!
だいたいこの町の畑はみたところ燃えている!!!
もういいか
倒して帰るか
[邪魔だ!退け!!]
拙者は人々を払うと
魔獣に斬りかかった
魔獣は尻尾で拙者を払う
ズガァァン
吹き飛んだ拙者が家の瓦礫に埋まった
死ぬかもしれんな
三連敗を期すかもしれん
歴代最強の忍と謳われた
拙者も本当に潮時だったのだな
拙者は最近連敗を重ねていた
一度目は沙良目ザラメという男の知恵と勇気と覚悟に敗け
これが引退を決意させた
二度目は野試合で
小波美魅見という妖の如く強い女に
待てよ
あの魔獣はそんなにつよいか?
沙良目殿のような勇気や覚悟や知恵が
あんな所構わず火を吹き散らしている化け物にあるか?
拙者が全力を出しきっても勝てなかった化け物のような小波美魅見よりもあいつは化け物か?
そんなはずはない!!!!