習志野事件【3】
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習志野駐屯地の近くのマンション、1002号室。団長室を狙ったクソがいる上階。その部屋に入った六人のチームは無言だった。そして全員が覆面で顔を覆い、手を使いコミュニケーションをとっていた。チームのリーダーの国沢正は一人ドアについて25式小銃を振り警戒していた。彼の手の中で玩具のように感じる銃だがそれは彼がデカイだけで、腰につけた九mm拳銃がそう感じるのも同様の理由だった。チームの二人が散らかった床に特殊な爆弾を設置した。ゲートクラッシャーという兵器で、外側にいる人間を全く傷つけずに壁や床を破壊できる。しかし中にいる人間を"叩き起こさない"ことは考えられていない。だから、特殊作戦群の兵士たちは民間人の人質を取られている身として
犯人だけを傷付けられるような所に設置した。
「3、2、1、爆破!」
ゲートクラッシャーが床に人二人が入れる穴を開け、そこから閃光手榴弾を投げ入れた。
凄い光と音がテロリストに襲いかかり、隊員たちは下の階に飛び込んだ。しかし床に伏せた男がアサルトライフルを乱射し、先頭の隊員二人がが撃たれて体を跳ねらせた。
その時点で生け捕り作戦は吹っ飛び、中にいた三人のテロリストは集中砲火を受けて斃れた。人質は腕を後ろで縛られていて、隊員の誘導で外に出て然るべき応急措置を受けた。列の最後で部屋から出てきたのは四人の死体と、右手を撃たれた隊員だった。マスコミがマンション出口で待ち構えていたが群がって行ったのは隊員の方ではなくブルーシートで囲われた死体だった。
「国沢、お前今日の朝刊、見るか?」
「いや。見る気もしない。黙って朝食を食え。あとお前は同じ小隊の仲間が死んでも何も思わないのか?」
「…一面にお前の写真とクソの死体が並んでる。殺人鬼だとよ。」
「黒谷、黙れ。」
「チームの一員が死んだこと、警備隊が全滅した事、会計隊の隊長が頭を吹っ飛ばされたこと、ゲートを守った隊員が肩撃たれて病院にいること。これは纏めて二面の小欄に。」
「挑発してるのか?」
「俺は朝食を食いながら新聞を読んでるだけだ。」
「クソが。そういやゲートを守った小隊、お前の弟の隊だろ。」
「ああ。良くやってくれたよ。」
「昨日のテロが"翼作戦"に何かを及ぼすとおもうか?」
「これで攻撃材料が出来たからな。情報漏洩が無ければいつでもやるみたいだ。」