習志野事件【2】
「かなりの人数だ!」
「1人倒したぞ!」
「中鉢、斎藤、軽機動車で侵入者の進行を塞げ!」
「了解!」
黒谷中隊長はゲートを超えた敵を2025年に採用された25式小銃で撃ち、3発の7.62弾を受けて斃れるのを見届けると次の標的を探しに銃口を振った。そして機関銃を隊員に向けた敵の頭を撃ち抜いた。
無線は団長室が銃撃された事を伝えた。
「手榴弾!」
装甲車の即席バリケードの手前で爆発し、一台が燃え始めた。中にいた隊員が何かを叫び、25式を乱射した。
「突撃だ!」
リーダー格の男が叫んで五人の敵が侵入した。
この状況で突撃は完全な自殺行為だ。
隊員に一人ずつ体に撃ち込まれ弾かれるようにして斃れた。
「ヘッドカウント!」
「総員二十二名、三名負傷、内一名は重体です!」
「一人に1人付き添って建物に入れ!あとはリーダー格を捕獲しろ!」
敵の死体を踏まないようにしてゲートを抜けるとリーダー格が何やら一生懸命箱をいじっていた。
「死にたく無けりゃ手を上げて武器を下ろせ!その箱から手を離せ!」
「爆弾ですね...」
一人の小隊長が駆け寄り爆弾を調べた。
「時限式ですがセットされていません。解除した方がいいですが…。」
リーダー格は銃口で囲まれ、反骨心剥き出しの顔で機関銃を地面に落とし、箱から手を離した。
「第二大隊第一中隊、敵グループを無力化。一人を確保。それと爆発物に詳しいのを何人かよこせ。」
「黒谷さん、一応逃げて下さい。」
「了解。」
彼は本部にいた丸腰の隊員たちをみて身震いした。完全装備のクソ重い訓練の最中で本当に良かった。
本部の屋上に上がった畑ニ曹はsr32スナイパーライフルを構えた。彼は今まで紛争地で容赦は無かった。
「司令部を襲ったと見られる敵を視認。狙撃します。」
彼のスコープの中で敵のスコープが光り、一発の弾丸がコンクリートを撒き散らした。その0.1秒後、その男の左眼に鉛で覆われたフルメタル・ジャケット弾が飛び込んだ。敵が絶命した事を確認すると、また別の狙撃ポイントに移った。そして三カ所を回り、敵がもう隠れてしまった事を思い知った。