一家団欒
俺は輝夜から逃げ、屋敷の中をしばらく走っていた。
そして、輝夜が見えなくなったことを確認して再び歩き始めるのだった。
あ、危なかった。なにが危なかったか良く分からないけどすごく危なかった。
輝夜のかわいさは正直、一つの兵器をいってもおかしくないぐらいの魅力を備えていたな。
そういやー昔話の主人公だっったっけ?あんだけかわいかったら世の男たちが惚れ込むのも分かる気がする。
いや、別にうどんげとか永琳さんがかわいくないっていってるんじゃないよ?
俺は当然二人とも大好きだが、それとこれとは話が別なんだよな………
二人とも大多数の人間から見れば美女美少女なのだがどうしても少数はそう思わない人たちがいる。
だが輝夜のそれは万人がすべて美少女であると納得するような顔立ちなのだ
それぐらい輝夜の美貌はレベルが違うと言うことだ。卑怯だよね。あれは。
まあ、輝夜よりうどんげや永琳さんが好きって言う人はもちろんいるのだが。
と、考え事をしているといつの間にか俺が寝ていた部屋に戻っていた。
その後は特に何かあったわけではなく、部屋で大人しくしていた。
もうさっきみたいのはごめんだしね。
そして、しばらくするとうどんげが夕ご飯ができたと呼びにきてくれたのだった。
俺は特に疑問を抱くことなく夕食の準備してある居間に案内してもらった。
ここで俺は一つ大事なことを忘れていた。
よく考えれば分かることなのだが、永遠亭の夕ご飯は現代社会のように別々にご飯を食べたりなどしない。
そして、ここ永遠亭のメンバーは俺が今日あった四人な訳で……………結果。
「「「・・・・・・・・・・じーーーーー」」」
(めっちゃ見られてる!?)
ただいま動物園の動物たちの気持ちがとてもよく分かっております!
うどんげと輝夜とてゐがそれぞれがそれぞれの意味をこめた視線を俺に送ってきています。
た、耐えられない!永琳さん!助けて!!Help me えーりん!!
……………メッチャいい笑顔返されました。あの人この状況楽しんでるな!?
三人それぞれが俺に向けている視線の意味は違う。
うどんげは俺がハーレム宣言してから俺を………なんていうかその、変な人だと思っているっぽい。
まあ、ハーレム宣言したんだから当然か。俺もそんなやつ見たら変に思うもん………すごく自業自得な気がする。
あと俺に対する扱いがひどくなっていると思う。
具体的に言うと突っ込む時のうどんげの弾幕が最初受けた時の1.3倍ぐらい強くなっている気がする。
それでも怪我がないのは俺がもともと怪我人だからだろう。よかった怪我してて。
次にてゐだが明らかにいたずらしてやろうって顔をしている。
俺がただの人間で操りやすいからだろう。さすがに怪我をするようなことはないとは思うが、気を引き締めてかからねば!!
ていうか、てゐの能力って人間を幸福にする程度の能力だったような
…………俺今、全然幸福じゃねーーよ!!
そして、最後に輝夜だがこちらのお姫様はなぜか俺に大変興味をお持ちらしい。
なんか視線の節々にこの人間おもしろいわね!って感じが見て取れる。
さすがに他に三人がいる状態で最初のようなことはしてこないはずだけど、俺そんなに気に入られるようなことしたかな?
あと俺はおもちゃじゃないから!とても繊細な人間だから!
乱暴に扱ったら壊れるからね!?
とまーそんな感じで食事は進んでいるのだが…………
いかんせん気まずい!
特に俺はずっと見られてるからリラックスなんてできたもんじゃない!!
ここはなにか話を振って少しでも場の空気をかえなければ!
そう思った俺は、決心して話を振ってみることにした。
「そういえばさ!ここって病院なんだよね!?」
「何よいきなり大きな声出して…………ええ、そうよそれがどうしたのよ?」
よし!一応うどんげがくいついてくれた!
「いや、それにしては他の人が見当たらないなーと思ってね。」
「ここにそんなに人が来ることはないわ。そもそも幻想郷の住人は滅多に病気にかかることはないし、あなたみたいな大怪我じゃなければ皆大抵自分の家に帰ってしまうもの」
「あ、そうなんだ」
どうりで俺のほかに怪我人や病人を見ないと思ったわけだ。
「…………それに輝夜さまがあんまりうるさいのは嫌だとおっしゃって」
「だって嫌じゃないー自分家にたくさん人が来るとだらだらできないでしょー」
さすがニート。発想がすでになんか駄目駄目だ……………でも。
「まあ、その気持ちは分からなくはないな」
「でしょー?あなたには引きこもりの才能があるわね」
「そんな才能ほしくないわ」
「お兄さんはひきこもりの才能があるのかー。それはうらやましくないなー」
「うん、俺も才能と名の付くものをこんなにいらないと思ったのは初めてだよ」
「えーいいじゃないーー引きこもりの才能があれば永久にある時間をだらだら過ごせるわよー」
「俺はただの人間だから。永久に生きる予定なんてありません」
「ちぇーつまらないのー」
「まあお兄さんが長生きしたくなったら、このてゐちゃん特性のお薬を……」
「てゐから買ったらぼったくられる未来しかみえないんだけど。」
「えーいいじゃんーーちょっと飲んだらどうなるかわかんないってだけでー」
「それを商品として売っている時点でもういろいろと駄目だろ」
俺はそんなてゐの様子に少しあきれていた。まあ、これがてゐなんだろうな。
それにしても、この家には今、俺の他に病人はいないのか。………………となると
「でも、そうか。じゃあいまこの家に男は俺ひとりなんだなー」
持ち直していたはずの空気が変わってしまった。主に俺の悪い方向に。
これはまずい!!早く修正しないと!!
「………………へーやっぱりそういうの興味あるのねー」
おそかったーー!輝夜さんの目がなんか昼間見たのと同じ目をしている!!
って良く見るとてゐも、面白そうな物を見つけたみたい子供みたいな顔をしてるんですけど!?
「ふーん………お兄さん。やっぱりそうだったんだー」
「やっぱりってなにが!?」
「お兄さんも狼だったという意味だよ」
「違うから!そういう意味で言ったんじゃないから!!」
「きっと私もお兄さんが捕まえてきた小さな女の子たちのようにむりやり……」
「だから違うって!!」
ちょっと!今そんな発言をしたら……ていうか、言わない約束じゃなかったの!?
「小さい女の子?あなたロリコンだったの?」
「輝夜さん!?あなた何か勘違いなさってませんか!?」
「そうだよね。ちがうよね。お兄さんは…………男の人が好きだもんね!」
「ちょっとてゐ!?」
ここでさらに爆弾を投下するか!この性悪うさぎは!!
「………………………」
「無言でこっちみるのはやめてくれませんか?」
「…………………あなた」
「違うから!俺は極々平凡な男の子だから!!」
「え?だってお兄さんは私のストーか「ちょっとてゐ!しばらくだまってて!」
「世の中にはいろんな趣味の男性がいるから。別にいいんじゃないかしら?」
「その励まされ方はめちゃめちゃうれしくないんだけど!?」
まずいぞ!!
この二人はまだ冗談だって分かって言ってるからいいとしても、ここにはもう一人
「…………………九条…………あなた…………」
うどんげさんが完全に引いてらっしゃいますーーーー!?
しかも顔、超真っ赤ですよ!俺より長く生きてるはずなのに、俺より初心ってどういうことだよ!!
いや、しかし!これはこれで萌える!!真っ赤になってるうどんげ超かわいい!!
って、そんなここと考えてる場合じゃなかった!!
うどんげの俺を見る目から(この人、変態だわ)ってのがひしひしと伝わってくるんですが!
これはもうたぶん何を言っても駄目だってことが分かりたくないけど分かってしまう!!
考えろ!考えるんだ!今この状況を切り抜けるにはどうすればいいか!!
…………そうだ!!ここは唯一中立な永琳さんに助けを求めよう!
永琳さんならきっと的確なフォローを入れてくれるはず!
そう考えた俺は弁解してもらおうと永琳さんに声をかけ
「そうよ。彼はロリコンでホモでストーカーな変態なのよ?」
「永琳さん!?」
助けてもらおうとしたら背後から心臓を一突きされてしまった!
忘れてたよ。この人、どSだったんだ!
「……………………………九条」
うどんげの好感度がもう0を突き破ってマイナスに達してしまいました!!
これどう考えてももうバットエンドだよね!?
ハーレム以前に俺、ヒロインに殺されるのではないだろうか!!
「九条ー。男もいいけど、やっぱり女のほうがいいわよ?」
「お兄さん!お兄さん!心労にはこのてゐちゃん特性の栄養ドリンクを!!御代はお兄さんの体で払ってね!」
「そういえば新しい薬を作っていたんだけど。どう?試してみる気はない?」
「……………………………………………………」
はたして俺は永遠亭で生きていけるのだろうか!?