警告の美女(誤字ではない)
さて、そんなわけで俺を半ば脅して約束を取り付けたてゐは満足そうな顔して部屋から出て行った。
くそっ!あの性悪ウサギめ!!いつか絶対痛い目にあわせてやるからなー!!
そのことを俺は心に硬く誓うのであった。
……………でもねー。
悔しいことにてゐもすごくかわいいんだよな。
本人に言うと絶対に調子に乗るだろうから言わないけどね。
そんなことを考えながら再び庭のほうに視線を移した。
「………………………」
てゐがなくなったことで静かになったこの部屋はいように落ち着かなかった。
うーん。庭を見てるのも飽きたし、どうしようかなー。
永琳さんには安静にしているようにっていわれたけど、少しぐらいならいいよね?
と自分に言い訳した俺は、この屋敷の探索を始めることにした。
それからしばらくして、俺は探索を始めたことに後悔するのだった。
うわー……………ここどこだー?
俺は今、自分がどこにいるのか分からなくなっていた。
このお屋敷少し歩いてみて分かったが四人で住むには広すぎる。
空き部屋のような部屋が何部屋もあり、ろうかは入り組んでいて分かりづらい。
ウサギたちがいるとしてもこの広さは尋常じゃないと思う。
だから迷ってもしかたな
「違うんだよ!俺は別に迷った訳じゃないんだよ!俺は今、人生という名の道を探してるんだよ!!」
……………………………………
……………うわーむなしいなー。
ツッコミがこないボケほど悲しいものはないんだよねー。
っく!やはりツッコミ要員をつれてくるべきだったか!
俺の中の悪魔が、お客様の中にツッコミの方はいませんかー?とささやいている!
とくだらないことを考えていると奥の部屋から何やら声が聞こえてきた。
「永琳ーー!どこー?」
「………………?」
この声はまだ聞いたことない声だよな?
でも妙にいい声と言うか、いつまでも聞いていたいようなそんな感じの声だった。
「永琳ーーーーどこにいるのーーー?」
声はどんどん大きくなっており、声の主が近づいてきていることが分かる。
そしてついにその声の主とろうかの曲がり角でばったり鉢合わせをしてしまった。
「…………え?」
「…………あら?」
俺の頭にぱっと、傾国の美女と言う言葉が思い浮かんだ。
それくらい目の前の少女が常識はずれの美貌を持っていたからだ。
「…………どちらさま?」
少女は怪訝な表情でこちらを見てきた。
「ああ………ええと……………」
あまりの美人との遭遇に自分がてんぱっているのが分かる。
落ち着け俺!!こんなに動揺してたら余計不審に思われるだろ!!
「お、俺は木城 九条。今日からここで住まわせてもらうことになったんです」
「ああー。あなたが…………」
そういうと彼女は納得したのか大きくうなずいていた。
きっと俺のことを永琳さんから聞いていたんだろう。
となると、目の前の少女は………。
「私はこの家の主でもある、蓬莱山 輝夜よ。よろしくお願いするわ」
「よ、よろしくおねがいします」
彼女が出した手を俺は少し緊張気味に握り返した。
そうか。彼女が輝夜か。
うどんげとか永琳さんは、ウサ耳とか青赤の服っていうわかりやすいポイントがあったけど、輝夜はそういうわかりやすいポイントがないから一瞬誰か分からなかった。
でもよく見るとゲームのなかで見たとおり、髪型は長髪で透き通るような黒髪だった。ザ!大和なでしこって感じだな。
いやでも輝夜って月の民だっけ?じゃあ、大和なでしこっていうのかな?
……………そんなことはどうでもいいや。
「ところであなた、なんでこんなところにいるのかしら?」
「ええっと、それはですね………………ちょっとこう人生と言う名の神秘を探し ていたら、敵の罠にかかってしまって」
「ああ。迷子ね?」
「………………はい」
一瞬で看破されてしまいました。
だって、認めたくなかったんだもん!!
男には捨ててはいけないプライドってものがあると思うんだ!!
さっき突っ込みがほしいっていったけど!ここまで冷たく突っ込まれるとは!
…………………しかたないね。迷ったの事実だし。
「輝夜さんは………」
「輝夜でいいわ。あと敬語もやめてね」
一応家の主と言うことで敬語使っていたんだがそれはしなくていいらしい。
「わかった。じゃあ輝夜って呼ばせてもらうよ」
「ええ。そうして頂戴」
輝夜とは気が合いそうな気がする。なんでだろう?
…………でだ。
「ところで輝夜。その格好は何だ?」
「え?これ?」
さっきからずっと気になってたんだが、輝夜の着ている格好がそのー。
まるでついさっきまで寝てましたって感じの服装だったんだが…………そんなわけ
「なにって…………寝巻きだけど?」
「え!今起きたのか!!今もう夕方だぞ!?」
俺は思わず大きな声を上げてしまった。いや、だってさすがにこれは。
俺もあっちにいるときは夜型人間であったけど、ここまでひどくはなかったし。
よくみると髪の毛もところどころはねてるし、目元も眠たそうな感じが見て取れる。
そうか。だから俺、輝夜ってきづかなかったんだ。
ゲームの中の服装とは明らかに違うもんね。
え?………俺こんな状態の輝夜にドキドキしてたの!?なんか馬鹿みたいじゃん!
「まあそんなわけで、永琳になにかご飯を作ってもらおうと思ってね」
「ご飯って………」
すごい。なにがすごいか分からないけど、とにかくすごい。
世の中のお姫様は皆こんな感じなのだろうか?
いや、これをお姫様代表にしたらきっと暴動が起こるだろう。
ああー。だから俺、輝夜とは仲良くなれそうな気がしたんだ。
この姫、完全にニートだ。
それにしても、二次創作の輝夜はニートって設定だったがまさかリアルでそうだったなんて。
じゃあ、昨夜さんのパッド疑惑とか。天子のどM設定とか。まさか…………ねえ?
「それにしても眠いわねー。ふぁぁーーー」
「いや、そんな生活送ってたら疲れもたまるだろう」
全く少しは体に気を使わないと。蓬莱人はそこらへん大丈夫なんだろうか……ん?
「どうしたの?そんなに目をそらしちゃって」
「…………………いや、別に」
っく!さっき伸びをしたときに服がはだけてしまったじゃないか!!
おかげで目のやり場に困るんだよ!
そこらへん無防備すぎるだろ!一応はお姫様なんだから身なりには気をつけろよ!
エッチなイベント起こってほしいって言ってたけど!実際に起こると俺、困っちゃうんだよ!?
「ん?……………ああ」
輝夜さんがなにやらとてもいい笑顔してらっしゃいます!
やばい!てゐの時と同じで嫌な汗が!!
「なによーそんなによそ向かないでこっちみなさいよー」
「っちょ!やめっ!くっつくんじゃない!!」
ええい!それ以上俺に体をくっつけるんじゃないっ!
………あ、やばい。いいにおいがする。
これはよろしいけど、大変よろしくない!!
「なによー?あなただってこういうの興味あるんでしょ?………なんなら相手してあげてもいいわよ?」
「相手って何の相手だっ!」
「それはあなたがよくわかってるんじゃないかしら?」
やばい!頭が真っ白になってきた!このままではいろいろまずい!!
しかたない、こうなったら最終手段だ!
「そうだ!俺、永琳さんに呼ばれてるんだった!それじゃあ輝夜、またな!!」
俺はその場から脱兎のごとく駆け出していた。
走り去る背中から、「初心ねぇ………」って声が聞こえて気がするけど無視だ!
俺、言うのはいいけど、されるのは苦手なんだよ!!