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東方天流晶  作者: クリネン
永遠と月の館
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天敵

永遠亭に住み始めてから、二週間が過ぎた。

その間に本当にいろいろなことがあった。…………それはもう、ほんとに。


今ではもう傷もすっかり治っており、いつまでも何もしないのもあれなので、買い物や家事の手伝いなど俺ができる範囲での仕事を受け持つようにしていた。

俺が来る前はほとんどをうどんげ一人でやっていたそうだ。


…………いや、簡単に書いたけど、めっちゃすごいよ?

この広いお屋敷の掃除。庭の手入れ。料理。洗濯。おまけに永琳さんの仕事の手伝いまでしている。

うどんげに「いくらなんでも働きすぎじゃない?」って聞いたら

「他のところでも大抵従者はこんなもんよ?」と言っていた。幻想郷の従者ぱねー



さて、話は戻るがこの二週間で起こったことを振り返ってみようと思う。

…………なんでって?それはもうあんな目にあうのは御免だからだよ。


過去の反省から未来に生かす!うん!俺はできる子だね!!



ただ反省したところで回避できるかは別なんだけどね!!


じゃあまずは他のメンバー達との開合について。

永遠亭で住み込むとなったので当然うどんげと永琳さん以外のメンバーとも顔を合わせることになるんだけど………


うん………あの二人も曲者だったなー。











永遠亭に住むことが決まったその日。俺はまだ布団で寝ていた。

永琳さん曰く、「まだ傷は完全にふさがってないんだから今日は大人しくしておくこと」らしい。


でもずっと寝てたからか、目はさえており、とてもじゃないが眠ることなどできない。

うどんげと永琳さんも自分達の仕事に戻っちゃったし………

しかたないので、俺は一人部屋から見える外の様子を眺めていた。


地面から生えている竹林はなかなかのもので、あっちではなかなかお目にかかれないだろう。

そして、その様子をぼーと見ていたら突然地面からウサ耳が生えてき…………え?




驚いた俺はそのウサ耳をもう一度良く観察した。

……………ああ。そういうこと。



よく見てみると、ウサ耳が地面から生えていたわけではなかった。

そりゃ、そうか。


おそらく縁側の下にウサギがいて、この角度からは体は見ることができないからから、生えてきたように見えたのだろう。

そんなことを考えていると、そのウサ耳少女が縁側から部屋に上がりこんできた。

見た目は小学生ぐらいで、ピンクの服を着ている女の子だ。

うどんげの耳とは違う耳が付いている。

……………たぶん、てゐだろうなー。


でもすごく満面の笑み浮かべてるし……………いやな予感がする。

俺がもしてゐのこと全く知らなければ、あの笑顔にころっとだまされていたに違いない。恐ろしいことだ。



「やあ、お兄さん!あなたが新しい住人?」

 

「そうだよ。名前は木城 九条だ。よろしく、てゐ」


そして俺はてゐの方に手を差し出した。

だが、てゐは訝しげな表情浮かべている…………あれ?


「ねえ、お兄さん?私、自己紹介したっけ?」


「……………あ」


しまった!そういえばそうだった!!俺はてゐのこと知ってるけど、てゐは俺のこと知らないんだっけ!

どう説明したもんかなー。そのまま説明してもいいんだけど…………信じてはもらいないだろうなー。


「あーうん。…………そのー」


「あ。……………そういうことかー」


てゐは納得したという風にうなずいている。

だが口元の笑みは隠せていない。明らかに何か良からぬことを考えている顔だ。


「それならしかたないね。まったくーそれならそうと言ってくれないとー」


「……………なにが?」


聞きたくはなかったがそのままにするのも嫌だったので聞いてみることにした。

すると



「何がって?そりゃーお兄さんが私のストーカーだってことだよ?」


「っぶふ!」


思いっきり吹いてしまった。え?なに?ストーカー?


「なんでそうなるんだよ!?」


俺は思わず大きな声で聞き返していた。

だって犯罪者扱いですよ?それはいくらなんでもひどすぎる!


「だって、一度もあったことない女の子の名前知ってるとかー、完全に」


「違うって!他の人に名前聞いただけだって!!」


とりあえず、そう言い訳してみたがてゐは笑顔でいきいきと続ける。



「それに見た目、幼女の女の子をとか………お兄さん。ロリコンでストーカーなの?」 


「いや、確かに守備範囲広いほうだけど!!ロリコンストーカーはいろいろひどすぎるよね!?」

 

「きっと手当たり次第に幼い子を付け狙って」


「そこまで道徳に背いたことはやってないよ!?」


「そして捕まえた子達にエロエロなことを………」


「してないからね!?」


てゐは心底面白そうにそう言っている。そこまで犯罪的なことやってないよ!!


「ああーお兄さんがそんな人だったなんてなー」


「だから違うってば」


「うどんげたちが知ったらすごく軽蔑するんだろうなーー」


「そんなこと………………」



ふと頭の中に最悪な状況が浮かんできた。

きっと俺がそんなやつだっててゐが言った場合、俺は全力でそのことを否定する。

だがこの場合、信じてもらえるのはどう考えてもてゐだろう。そして、俺は



………………………か、考えちゃだめだ!!







「……………………」


「…………………どうすればいい?」


「え?なにがー?」


くそっ!わかってるくせに!!


「俺は今お金持ってないし、何かあげることはできない。だから、てゐの言うことを何かひとつ聞くよ」


「ええー。そんなー悪いよー」


この性悪ウサギめ!

ここまで計算の内だとしたら、警戒しようがしまいが関係ないじゃないか!

伊達に長く生きてないってことか。


「でも、そうだねー。せっかくそう言ってくれるんだし?じゃあお願い事しちゃおっかなー」









………そして、傷が治った俺は、てゐにめっちゃんここき使われた。


でも、やったあとに、おつかれっ!って満面の笑みを向けてくるから怒るに怒れないんだよ!!くそーかわいいなーー!!


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