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花鳥風月の恋の道  作者: キリト
序章
2/4

2話 月城

やっと本編です。若干文章が変なところがあるかもしれません

「あれ?ここは・・・・」


俺の目が覚めるとそこは車の中だった。しかし、俺はいったいなぜ車に乗っているんだろう?


たしか・・・・


「お目覚めになられましたか?ご主人様」


車の窓から外を見る限りあまり時間がたっていないと思われる先ほどのことを思い出そうとしたときに横から声をかけられた。


それにしても・・・・


「ご主人様って俺のこと?」


俺をご主人様って呼ぶ人は初めてなんだが・・・。メイド喫茶にも行ったことないし。


「もちろんご主人様のことですよ。月城宗司様」


月城宗司という名前で俺のことを呼ぶ人も初めてだった。なぜなら自分からその名ではなく母親姓を名乗っていたからなのだが。


「なぜ俺がご主人様って言われるのかはわからないけど、とりあえず君の名前は?」


「申し遅れました。私は天城優と申します。見てのとおりメイドをやっております」


「じゃあ、優さん。なぜ俺はこの車に乗っているの?この車はどこに向かっているの?」


「私のことは優とお呼びください」


初対面の女性を名前で呼ぶのはなんだか照れくさい。


「じゃ、じゃあ優。教えてくれるかい?」


「この車は月城家の別荘へと向かっております」


「月城家ってあの月城家?」


「はい。世界的に大規模な会社にして、ご主人様のご実家です」


え?世界的に有名な月城家が俺の実家?嘘だろ?


「それって何かの間違いじゃないの?俺の両親からもそんなことは一切聞かされてないぞ」


「そうでしょうね。ご主人様のご両親はそのことを告げる前に亡くなってしまいましたから」


「一体何がなんなのか全くわからない」


「別荘では旦那様、ご主人様のおじい様がお待ちです。そちらで詳しいお話をお聞きください」


今更気づいたのだが、この車、とてつもなく広い。だって、テレビやら果物が入ったかごやらカラオケっぽいのまであるんだぜ。これがいわゆるリムジンってやつなのだろう。


こんなリムジンがあるってことは本当にこの車は月城家へ向かっているのだろう。


「ついでに、優」


「なんでしょうか?」


「あと何分くらいでその別荘に着くの?」


「そうですね、あと1時間くらいだと思います」


「じゃあ一眠りしててもいいかい?」


「お休みなさいませ。別荘につきましたらお越しいたします」



こうして、俺は安らかな眠りについた。





宗司が眠りについて15分後、優は運転席へ声をかけた。


「それにしても旦那様、手刀で気絶させる必要があったのでしょうか?」


「いやぁ、単なる再開のあいさつじゃよ。それにあのくらいの手刀よけてほしかったわい」


「それにしても、本当に運転大丈夫ですか?」


「4年ぶりに見た孫w向かいに行くときぐらい自分の手で迎えに行きたいんじゃよ」



そう、今この車を運転している人物こそ、月城グループ社長 月城颯天であった。










「着きましたよ、ご主人様」


俺が起こされて車から出てみると、そこには大きな門が、そしてその後ろにはおそらく東京ドームなんて目じゃないくらいの洋風の屋敷が建っていた。


「ここが・・・・・別荘?」


「はい、ここは月城家の所有する別荘のうちの一つです」


この大きさで別荘なら、本家はどれほどの大きさなのか予想がつかない。


「さて、屋敷の客間で旦那様がお待ちです。参りましょう」




~~~~~~~~20分後




俺と優は屋敷の客間の扉の前にいた。この屋敷にはいったときは屋敷全体の大きさに驚いたものだが、メイドさんの多さにも驚いたものだ。


この客間の扉も、この屋敷の中で1番の威圧感を放っている。


「旦那様、宗司様をお連れいたしました」


部屋に入ってみるとそこには1人の老人が座っていた。優の反応を見る限りこの老人が俺の爺さんなのだろう。


「宗司、大きくなったな。4年ぶりか?」


「と言っても全く覚えていませんけど」


「そうかしこまるな。もっと自然にしゃべっていいんじゃよ」


「ああ、わかった」


俺は丁寧に話すことをやめ、ため口でしゃべることにした。本当に祖父ならば普通の家庭でもため口でしゃべるだろう。


「旦那様、宗司様、お茶をお入れいたしました」


そういって、優は俺と爺さん(?)にお茶を出してくれた。


「それにしても宗司、本当に大きくなったな」


「あんたもこの4年間、俺を1人にして何をしてたんだよ?」


知り合いの話によると、この人は行方不明だったはずだ。


「そう、目くじらをたてるな。これも進一の遺言なんじゃよ」


進一とは話から分かるだろうが俺の父さんだ。


「俺の父さんの遺言ってどういうことだよ?」


「では最初から話すとするか。


宗司、お前は進一の職業を知ってるか?」


「いや、何度聞いても教えてくれなかった」


「進一の仕事はデザイナーだったんじゃよ」


「デザイナー・・・」


「それも世界的に有名なデザイナーだったんじゃよ」


それを聞いて納得いく部分もあった。俺の父親も母親も家を留守にすることが多かった。それも話によると海外に行ってたことが多かったらしい。

今爺さんが言ってたように世界的に有名なデザイナーだったなら海外に頻繁に行ってても全くおかしくない。


「進一がデザイナーになったのにも理由があるんじゃよ」


「理由?」


「月城財閥は確かに多方面に進出しているが、服などの衣類の部門にかんしては他の会社に後れを取っていたんじゃ。


そしたら、高校生くらいの時に進一は「俺が世界一のデザイナーになって月城財閥の衣類系の部門をTOPにしてやる」と言っていたんじゃよ。


そして、それをあいつは現実にしたんじゃ」


つまり父さんはこの会社のために努力して世界的に有名なデザイナーになったというのか?この会社のために・・・。


「そして、あいつは結婚し、お前も生まれた。じゃが、有名になればなるほどあいつ自身の仕事も多くなり海外に頻繁に行くようになった。その時に何回かお前もこの別荘に来たことがあるんじゃよ。


だが、海外に行くためには飛行機に乗らなきゃいけないためどんなに確率が低くとも死ぬ可能性がある。だから、あいつはワシに「もし俺に何かあったら、宗司が16歳になった時にこの会社の後継者にしてやってくれ」っと言っていた。まさか、その遺言を本当に必要とする時が来るとは思っていなかったがな」


俺がこの会社の後継者?


「そして、今日。まあ、正しくは昨日だが、お前はついに16歳になった。だから、お前を迎えに行ったんじゃよ」


「じゃあなぜ4年前、俺を引きとらなかった?」


「それはな、正式に後継者としての資格のあるものがここに帰ってくると言うことは、覚悟を決めているっていうことなんじゃ。両親が死んで精神状態が不安定なお前にそれを求めるのは苦というものじゃろう」


正式な後継者か・・・・。


「今ここで尋ねよう。


お前にはこの月城グループを継ぐ覚悟があるか?進一が自分の命を懸けて守ったこの会社を継ぐ覚悟はあるか?」



父さんの守った会社。そんなことを言われてここで断れるわけがない。



「ああ、父さんが守った会社を今度は俺が守って見せるさ」


「よく言ったな、宗司。それでこそわしの孫じゃ。おい、優」


「はい、旦那様」


「宗司のことは任せたぞ」


「はい」


「おいおい、ちょっと。俺のことは任せたって・・・」


「お前には後継者としての知識を磨くため、上流階級のマナーを学ぶため、そして生涯の伴侶を探すためにある学園に転入してもらう。また、お前の家は今日からここになる」


「え?今までの家は?」


「大丈夫じゃ。壊しはせん。あれは進一の家じゃからな」


「よかった・・・・」


「そして、今をもって優がお前の担当のメイドとなる」


「よろしくお願いします、ご主人様」


「また、この屋敷には優を含めた数人のメイドと、あと1人女の子が住むことになる」


「女の子?メイドの子か?」


「いや、普通の女の子じゃ」


「なんでまた・・・」


「まあ、しばらくたてば分かる」


なんか納得いかないが時間がたてば、わかるらしいのでこれ以上追及しなかった。


「ほかに何か質問はあるか?なければわしは本家に戻るが」


「家からいろいろと荷物を持ってきたいんだけど」


「大丈夫じゃ、必要そうなものはすべて優に持ってこさせた」


「え?優に?」


「優にじゃ」


ちょっと待て。部屋の中にはあんなゲームやこんなゲームが沢山あるんだぞ・・・・。優のほうを見てみたら優も顔を赤くしてるし、これは・・・・。


「宗司、ああいうゲームもいいが、ちゃんと恋愛しろよ。優なんて荷物まとめてる間ずっと顔真っ赤だったぞ」


やっぱり・・・・・orz。


「ほかに質問がないようならば、わしは帰るぞ」


「ああ、またなんかあったら聞くことにするよ」


「ああ、それじゃまたな」


「ああ、また」














「それでは、ご主人様のお部屋にご案内いたします」


あの爺さんが帰ってから5分間、さっきのゲームの話からものすごく気まずい雰囲気だったのだが、やっと優が口を開いた。


「それにしてもこの屋敷は部屋が多すぎて迷いそうだな」


「大丈夫ですよ。私も3か月で慣れました」


3か月もかかるのか・・・・・。


「そういえば、優」


「なんでしょうか、ご主人様」


「そのご主人様っていうのどうにかならないか?」


「どうにかというと?」


「なんかかたっ苦しい感じがして」


「じゃあ、宗司様でよろしいでしょうか」


「うん。それでいいよ。それにしても優は何歳なんだい?」


「私ですか?私は宗司様と同い年ですよ」


「ということは16歳?」


「はい」


「すごいな、優は。俺と同い年でメイドとして働いているなんて」


「そんなことはありませんよ。


あっ、お部屋につきました。どうぞ」


優の開けてくれた扉に入るとそこには部屋とは思えないくらいの豪華な部屋が広がっていた。


「この部屋広すぎない?」


「まあ、月城グループですから」


「まさか、こんな部屋に暮らすことになるとは、昨日まで思ってもいなかったな」


「私たちは今日のために1年前から計画を立ててました」


「私たちって優と爺さん?」


「はい。あともう1人いますが」


「あともう1人ってどんな人?」


「明日の朝にこちらにいらっしゃる予定なのでその時まで楽しみにお待ちください」


「もったいぶるなぁ」


「その方から口止めをされてるもので」


「まあ、いいや。さすがにそろそろ寝むくなってきた」


時計を見てみるとすでに時計は3時を回っていた。


「分かりました。それでは明日9時30分に起こししますがよろしいでしょうか?」


「うん。おk」


「それではお休みなさいませ、宗司様」


「お休み、優」









こうして、宗司の新生活は幕を開けたのだった。





続く

次話投稿は予定通りに行けば4月16日0時を予定しております

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