穴の空いた器を抱いて。
ふと、気づいた。
人類平等に、疎外感を感じてるんだ。と。
そのまま、さらに考えた。
そして、当たり前だと思った。
私も含めてみんな、一度は感じる。
他との違いを、必ず感じる。
みんな同じように、疎外感を感じてるんだ。
矛盾しているようで、していなくて。
それが、凄く不思議に思えた。
あぁ、そうだ。
みんな、みんな平等に、自分が特別であると思ってる。違うと思っている。
滑稽だ。
私と同じくらい、みんな滑稽だ。
目を背けているだけなのか。
それとも、気付いていないのか。
自意識過剰で自分が大好きなのは、みんな変わらないじゃないか。
時々、鏡を見る。
私は私を見て、どう思うのか。
どう思いたいのか。
幾度と思った。
世界は綺麗じゃない。
私が生きている今は、数えきれないほどの屍の上にある。
多大な犠牲の上にある。
今もどこかで、誰かが誰かのせいで死んでいる。
平和を諦めたせいで死んでいる。
誰もが幸せな世界は存在しないと諦めたせいで、死んでいる。
それを求めることすらせず、誰かを傷つけている。
あぁ、忘れちゃいけない。
きっと私も、誰かを傷つけている。
そんなつもりはなくたって、傷つけている。
どこが綺麗なんだ?
それを忘れて楽しむことが、綺麗なのか?
違うだろう。
相手を喜ばせた。
それは綺麗か?
今、自分は幸せだ。
それは綺麗か?
友達と遊んだ。
それは綺麗か?
違う。違うだろう。
本当に綺麗なものは、誰もが幸せになることを望むことだろう。
私は鏡を見る。
私は綺麗か?
あぁ、綺麗でありたい。
自分から目を背けることだけはしたくない。
醜さに目を瞑るか?
幸せだと笑うか?
膝を抱えて、ただ座るか?
それとも。
鏡を壊すのか?
たどり着くのは結局、そこなのか?
いやだ。
それだけは譲れないんだ。
それだけには慣れたくないんだ。
他の何を失くしたって、それだけは持っていたい。
鏡を見て、綺麗だと言いたい。
花を愛でるように、鏡を見ていたい。
たとえ、たとえ、世界が綺麗じゃなくても。
それが失くなったら私は、生きていると言えないんだ。
私を殺すようなこと、したくない。
今を幸せだと言ってしまえば、終わりなんだよ。
いつまでも満たされず、いつまでも願い続ける。
それがきっと、人のあるべき姿だと思うから。
それがきっと。
一番大切なことだと思うから。
世界が汚かったとしても。
私は綺麗でありたい。
乾いて乾いて、仕方がない。
どこかの都市伝説の怪物は、引き裂かれた口で
「私、綺麗?」
と問いかけた。
読んでくれてありがとう。




