明日の魔法少女と今日の魔女
「ちさちゃん、また一緒にお昼食べたいから・・・・・・頑張って!」
「堂本・・・・・・オメーならやれんぜ。だからよ・・・・・・また1on1やろうぜ」
「ちさぽよ・・・・・・またネイルとかショッピング行くべ!」
――そうだ、約束したんだ。だったら、負ける訳にはいかないよね。
「馬鹿な!? 何故立ち上がれる!? お前は絶望し、地に伏せていた筈」
「交わした約束があるからね、それを守らなきゃ」
「おのれ、ならば二度と立ち上がれぬよう闇に沈めてやろう」
天に浮かぶ夜の魔女とちさは、それぞれ手と杖に魔力を集めた。
「くたばれ! 纏わりつく闇!」
「陽光の右手!」
ちさは、夜の魔女が魔力で生み出した剣を持った亡者の集団の様なモノを、杖から波動を放って掻き消した。
「ならば、黒き慟哭!」
「月光の抱擁!」
夜の魔女は、続いて黒い衝撃波を放ったが、ちさが放った螺旋の衝撃波に飲み込まれた。
「ぐぅ・・・・・・はぁはぁ」
夜の魔女は、受け止めて搔き消したが、酷く疲弊した。
その隙にちさは懐に入って、杖の先を夜の魔女の胸に付けた。
「朝が来るから鬱になる、明日が来るから今日を伸ばそうとする。ならばずっと夜でもよいではないか、もう休もう。現実など辛いだけだ、お前もそうだろ?」
「確かに勉強はあるし、ぶつかってくるおじさんはいるし、偶然会った元クラスメートに黒歴史を晒されて、好きな人はドン引きするし、最悪だよ。だけどそれでも楽しい事もきっと明日には待ってる。それなのに辛い事だけ受け入れて、楽しい事を感じれないなんて嫌じゃん」
ちさは強い眼をして答えた。
「小娘には分からん、未来に希望など無い。明日に期待しても裏切られるだけだ」
「それでも!! 明るい未来を信じて走り続ければ奇跡だって起こせる。自分次第で変わる『明日』は誰にでも平等にあるんだ、それを奪う権利は無い!」
ちさは言い放つと、杖の先に魔力を集めた。すると杖の先が大きく光った。
「奇跡など存在しない! ずっと立ち止まっていた方が幸せなんだ。皆だってそう願って――」
「あ~もう、うるさい! アンタの御託は聞き飽きたわ、これで終わりにしてあげる。闇を滅する光!」
「今日や昨日までのツケが、未来に影を落とし皆を負の感情に引き摺り込む。即ち明日が来る限り夜は、闇は不滅であろう。精々明日を輝かしくする為に足掻くんだな。ハハハハハ――」
夜の魔女は、したり顔で高笑いをして光の中に包まれ消えた。
「終わった・・・・・・眩しい」
暗黒の空が徐々に明るくなっていき、眠っていた太陽が姿を現した。
そしてちさは、小さく呟いた。
「はぁ・・・・・・数学、だっる」




