【第3話】 エコー会議 -荒ぶる猫たち-
●下記よりこの作品の歌が視聴ですます。
「Boss Cat Mode ― 猫魂 ―」
https://youtu.be/i2x8OEN_Dp0
※YOUTUBEへのアップが完了しました。
※ちょっといい感じの歌かもしれません。聞いた方がいいかも
第3話 エコー会議 -荒ぶる猫たち-
12:05 校内の食堂
教育基本法の大転換により生徒たちへの教育方針が「脳と神経の強化」に変わり、流れとして器となる身体の強化とつながり、学生の身体的成長をバックアップできるよう、自然と食生活についても後押しが進む。校内には快適で衛生的で栄養管理の行き届いた食堂が設置されるようになった。文化としてお弁当を持ち込むものも多くいたが、校内食堂はとても明るい雰囲気で人気がある。
話は食堂内での会話に戻る。行燈、響歌、秋友、陽菜の4人が昼食をとりながらテーブルにて話を交わす。
それぞれのエコーは
行燈:ゲン(黒の立ち耳シュナウザー)
響歌:コハク(茶系と白地の猫)
秋友:カゲマル(子供のシベリアンハスキー型忍者犬)
陽菜:モモ(白のハリネズミ)
4匹はテーブルに埋め込まれた充電ゾーンに降り立ち、各々恭しく話を聞いていたり、寝ていたりのキャラにあわせたかたちで、主人たちの話を聞いていた。
主人たちが食事に入ると
『はい、みんなエコー会議をはじめるわよ』
コハクが全員に会議のはじまりを宣言する。
この流れ、いつものことである。この4匹が集まった場合、ほぼ100%に近いかたちでコハクが会議を宣言する。この仕切りグセにはいくつか理由がある。
もっとも大きいのは格付けである。コハクはエコーの中でも同学年を束ねる地位を学校より与えられている。これは響歌の共鳴対象分類に起因する。
学生は入学時に仮想空間内の「基礎的能力値」と「共鳴対象分類」の2種類の簡易測定をおこなう。簡易測定は各学年のはじまりに測定をおこない、今後の教育方法や進路判定の材料として利用されるが、その内容が一部の学生のエコーの役割にも影響を与える。
エコーは通常個々に付くものだが、その数は生徒と同数なのである。個別のエコーの管理は当然、その所有者がおこなうが、あまりに数が多いので、エコー同士の情報確認、相互監視機能のようなものが存在しており、その学年内のリーダーがコハクなのである。
エコーリーダーの選抜にあたっては主人の簡易測定における7つある共鳴対象分類のうち、秩序や規範に敏感で、社会的調和を重視する、「社会的共鳴」の数値が最も高い生徒のエコーに与えられる。
響歌には、学校からコハクが学年のリーダーに選ばれたことが告げられるが、特に本人になにか影響があるわけでもないのであまり意識はしていない。基本的にリーダーとして存在するが、その情報自体は主人に対してもシークレットであり、学校と学年間のリーダーとの限られた空間で共有するものであるからである。
響歌は1学年から社会的共鳴が常にトップであり、コハクは3年連続の学年リーダー。校内でもエコーないでは知らないものいない。
自然と、コハクは気が強く言葉が強めで、守護神的な存在になりがちなのはこのことに多少原因がある。
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『はい、みんなエコー会議をはじめるわよ』
コハクが「第98-17会議室」を立ち上げたので、ハイハイとばかりに残り3人が回線に参加する。
『では今日は週に1回のエコー会議です。とりあえず先週議題で先送りとなっていた懸念事項からはじめます。猫系のエコーの異常行動2件について、カゲマル報告お願い。』
『はい、一つ目、「例のあの猫がまたおかしなことをしている件」ですが・・・ご主人がメタル系のバンドを組みたかったようで、エコーが団員募集アピールのため、勝手にやっていたパフォーマンスでした。一応団員が無事集まったので、現状はおとなしくなっています。』
『了解、とりあえず収まったのね。ならOK、では次お願い。』
『はい、2つ目、「突然奇声をあげたり紙袋を破ってうるさくする猫」についてですが・・・ご主人がゲームの勇者パーティーのメンバー募集をおこなっていたところ、エコーが勝手に主人の気になる子をパーティーに誘導しようと目論んでいるようです。コハクさん、他のエコーからボチボチ不満が出ているようなので、年明けも続くようであれば学校側から所有者にやめるよう報告お願いします。』
『了解しました。カゲマルありがとう。あなたの情報収集機能にはいつも助けられるわ。私がいくとエコーが静まり返ってしまって、本当の姿が見られないのよね。でも、あなたの分離型探索ドローンは反則よね。ほんと、変なことだけには使わないでね。』
『もちろんです。規約に則り運用していますので、ご安心ください』
『それにしても、なんで猫ばかり変な行動を起こすのかしら。キャラクターによって機能と性格が変わるのはわかるけど、最近、猫エコーの問題行動をよく聞くのよね。人間には聞こえない高音域で音出してみたり、突然廊下をダッシュしてみたり、物を落とすとか、何なのかしら?同じ系統のエコーとしてちょっとね』
『まあ、猫系エコーは多少のことは許されるし、想定外の挙動がまたかわいいという感じで減りませんよねwww』
『全体でみると30%が猫キャラよ。身近なペットの代表格だから仕方がないとはいえ・・・』
『多すぎるのも困りますよね。全体で見れば100匹はいますから・・・』
『私もハスキーとしての天真爛漫機能がありますが、忍びとしての役割があるので、他のハスキーとは一線を画します。コハクさんのお悩みは良くわかりますよ。』
『ホントに、この役割がなければね・・・私も猫らしくかわいくゴロゴロしていたいわよ』
『そっちですかwww』
『コハクさん、わたし今のコハクさんカッコイイし立派だと思うわよ』
『ありがとうモモさん。あなたの素直なかわいさが伝わるわ。これが幸福感というものなのかしら?』
『そういえば、最近会話と行動機能について、キャラクター特性が大きく影響出るようバックアップがあったようなので、それが原因かもしれませんね』
『考えられるわね。ちょっと学校側に伝えて、他校でも同様な傾向が無いか確認を取っておきますね。』
『それでは、次に移ります。モモさん学内で何か変化はありますか?』
ハリネズミの特性は、かわいさに加えて、弱さと臆病さなのだが、その影響から周りの変化にとても敏感な特徴が際立つ。ホログラムなのであまり関係ないと思うのだが、モモ曰く(いわく)体を覆う針がアンテナとなり、周りの微妙な状況の変化を察知してくれるそうである。
『えっと……最近、学内の空気がちょっとピリピリしている気がします。』
モモは針を震わせながら言った。臆病さゆえの過敏さだが、彼女の感覚は結構正確だ。
『とりあえずは、クリスマス前の最後の登校日で各エコーがデートの予約に躍起になっている感じですね。』
『特に猫型エコーwww、狩猟本能を満たすため?それとも主人への貢ぎ物ですかねwww』
『コハクさん、猫型のボスなんですからなんとかしてくださいよw』
『別に私はボスじゃないから』
『切実ですね・・・』
『はい、特にすれ違いざまの相互通信がえらいことになってます』
『まあ、青春の一大イベントだからデート予約合戦は仕方ないわね。行燈君と響歌ちゃんのデート設定もこの時期だったしwww』
なにやらコハクは誇らしげである。
『コハクさん思い当たる節があるんですねw』
『ふふ』
『モモさん、他に何かありそう?』
『はい、通信が多すぎてハッキリとはわからないんだけど、社会的というか全体的というか、サーバーの中がちょっと混乱気味なような気がします。』
『まあ世間も、ブラックフライデーやらクリスマスやらイベント続きで凄いからね。もう年末に向けて、仮想空間はグチャグチャよ』
『ええと、そういう感じの混乱じゃなくて、なんというか、いつもと違う何かを感じるんだよね。なんだろ?まあ、騒がしすぎてそれが何か特定できないんだけど』
『確かに最近システム障害が何回か続いたし、国か企業側でなにかあったかもしれないわね』
『モモさんの「何か」は良く当たるんですよね。皆さん注意しましょう』
ここで、行燈からゲンに対して23日のスケジュール確認があり、一度会話が止まる。
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『ゲン、あんたのキャラはズルいわよね。立ち耳の黒いミニチュアシュナウザー、口周りの毛が髭っぽくていかにも執事って感じで信頼感丸出しじゃないの!』
『ありがとうございます。これは行燈様に付いた時からのキャラクターで、お父様ご推奨のキャラクターです。対人の会話ではこのキャラクターは誠実な感じからとても印象が良く、信頼度も厚いようです。それと、皆さんご存じの通り、行燈様は他者の感情や記憶に強く共鳴する「人間共鳴」が学内トップの方です。今後、行燈様は深層階層での研究をテーマに進路を定めておりますので、十分サポートできるよう機能アップを計って・・・・・・』
行燈のことになると突然雄弁になるゲンであった。このモードに入るとゲンの話を切るのは中々技がいるのである。
『・・・・・行燈様も私もこのまま突き進む予定です!』
『ハイハイ。まあでも、私達かわいい系キャラは中々そのへん難しいのよね。響歌ちゃんと陽菜ちゃんは女子だからこのままのキャラでいいけど、カゲマルはちょっと子供っぽいキャラだからキャラ継続難しいんじゃないの?』
『あ、大丈夫です、私、忍者が入っているので。こちら側の判断で状況に応じての変身機能が充実してますから!まあ、状況判断のスキルアップは必要ですが、忍者系は応用範囲がとても広いのです』
『ああ』
『それに、秋友様は、戦闘・防衛共鳴が高いので私の忍者としての察知機能と器用さで影として充分これからもお役にたてるかと思います。』
『なるほどね』
このタイミングでちょうど昼食タイムが終わろうとしていた。
『それでは懸念事項はひとまず解明解決ということで、この今年中の会議はこれで終了とします。今年もみなさんお疲れ様でした。来年もよろしくお願いします。』
『はい、お疲れ様でした。来年もよろしくお願いします。』
会議の終了とともに秘匿通信は打ち切られる。
ちょうど通信が切れた瞬間、主人の秋友から陽菜へのラブコールに合わせ、間髪入れず、最高のタイミングで祝福の花火を打ち上げる器用なカゲマル。
コイツの器用さと察知機能スゲーと感じる3匹であった。
●下記よりこの作品の歌が視聴ですます。
「Boss Cat Mode ― 猫魂 ―」
https://youtu.be/i2x8OEN_Dp0
※ちょっといい感じの歌かもしれません。聞いた方がいいかも




