【第2話】 成人検査
第2話の曲を以下よりご視聴いただけます。
題名『Echo』
https://youtu.be/L5-QVSdj6Fc
2098年 エコーがこの時代の人々にどのように受け入れられているかを音にしています。
その他、エコーの基本スペック、歴史等付け加えておきました。
第2話 成人検査
「おう、行燈」
『おはよう、秋友』
「さあ、今日も朝からやりますか」
『ほんと、朝からたまらんよな』
ロッカー越しで二人はぼやきながら、部活前のランニング用の服装に着替えつつ軽い会話を交わす。
――――――――――
2070年代、人間の脳がいよいよクラウド上の記憶媒体と接続できるようになる。これまで学習とは、記憶しアウトプットすることを主眼に置いていたが、それってあまりもう意味がなくない?という空気が世に流れ始めた。
その考えに拍車をかけたのが2070年代終盤に実現した仮想空間へのフルダイブだった。フルダイブでは記憶領域がクラウド上の記憶媒体と100%接続可能となり作業効率が大幅に上昇する。固定費の削減やライフスタイルの変化も後押しし、デスクワークが自然と仮想空間上に移行していった。
2080年仮想空間へのフルダイブが一般的になったことを期に、社会的な要望に応えて教育の大改革がおこなわれた。「脳と神経を育てろ」が主題となり教育基本法が抜本改革される。
政府は成人年齢18才に達するまでに、仮想空間内で必要とされる5つの基礎的能力値を最大限伸ばせるよう教育の内容を整理する。
【仮想空間内の基礎的能力値】
仮想空間内の基礎的能力値は5項目。さらに各項目内で細分化されて数値としてあらわされ全体の評価となる。
基礎的能力値は仮想空間内における人間の身体・精神・神経的限度を数値化したものであり、それによりその人物の仮想空間内で活動効率や限界の目安があらわされ、あわせて低層・中層・深層等、各ゲートへの鍵が付与される。
1. 身体階層
- 感覚器官や肉体的強さを基盤とする
→仮想空間での運動能力・反射速度・耐久力に直結
2. 精神階層
- 意識の集中力、耐久力、創造性、感情の揺らぎ
- 芸術共鳴や社会共鳴など「心の響き」を測る
3. 神経系階層
- 脳と仮想空間の接続強度
→情報処理速度、感覚統合、時間圧縮耐性
4. 適応性階層(親和性・持続性・共鳴強度・透過性を含む)
- 他者や環境との結びつき、持続力、共鳴の深さを含む
- 仮想空間内で「方向性を保ち、他者やAIと協和できるか」を測る
→現実と仮想の橋渡し能力として評価
5. 創発性階層
- 新しいルールや次元を自ら生み出す能力
- 他者やAIとの協和から「新しい空間」を立ち上げる力
― ― ― ― ―
仮想空間への適合特性は時代の要望である。
大幅な改革のため、日本でも4月入学が9月入学に変更され、空いた5か月間で大変革のための準備が忙しくおこなわれた。
流れは「脳と神経の強化」であり、結論として脳と神経の強化はその器となる身体の強化とつながる。
あわせて、高校では今後の進路にあった共鳴対象分類7種が選択制で施される。
学生は、中学・高校で各階層と共鳴対象の簡易測定がおこなわれる。最終的な階層と共鳴の測定は、18才の成人検査で詳細に確認がおこなわれ、今後の進路決定に重要なファクターとして利用される。
それをもとに進路先の大学等では、仮想空間上の中層域も利用され、目標となる仮想空間上の階層と職業にあった共鳴対象を専門的に学んでいくのである。
そんなことで、高校では朝から身体強化に余念がない。心拍数を上げるためのランニングからはじまり、部活、精神・神経強化訓練のような流れで午前が終了となる。
――――――――――
昼休みの食堂にて
『秋友、お前瞑想訓練、途中寝てなかった?一瞬落ちたよね』
「いや、あれは落ちるよ。部活の後の瞑想訓練はやばいよね」
『あーわかるわかる』
「部活の後はせめて、身体操作系の授業にして欲しいんだよね。瞑想系はもう寝てくれと言ってるようなもんだよ」
そこに響歌と秋友の彼女である陽菜が現れる。
『響歌、今日の部活はどうだった?』
『うん新入生もだいぶ慣れてきて、例のあの子がついに私たちのチームに入ったんだけど・・・ね、陽菜ちゃん』
「あーあの子、物凄かったね(笑)、身体能力がもう・・・バケモノというか」
『陽菜が言うんだから相当だね(笑)』
「え、アキがそれ言う?あんたわかってるよね」
『ごめんごめん』
4人で談笑しながら響歌が話を切り替えるように
「行燈、23日の待ち合わせ場所どこにしようか?」
「横浜まで少し時間かかるから8:00に駅前のいつもの場所でいいかな?ゲンそれで大丈夫だよね?」
『はい行燈様、問題ないです。少し早く着くと思いますが、駅前の喫茶店でお茶などもよろしいかと』
「あはは、ユッキーのゲンちゃんは相変わらずだね。黒い立ち耳のミニチュアシュナウザーが執事みたいにしゃべるのがなんともかわいいんだよね」
『陽菜様お褒めいただきありがとうございます』
かしこまるゲンの姿に更に爆笑する4人。それを見ながら、他の3体のエコーは自身のキャラづくりを真剣に考えるのであった。
「行燈と響歌ちゃんはいよいよ成人検査かー」
「二人も一緒に検査したんだよね」
「そう、アキは私より1か月お子ちゃまだから、誕生日まで待ってあげたの~」
「お子ちゃまはおまえも一緒だろ(笑)」
「ところで検査はどうだった?私チップを埋めるのがちょっと怖いんだよね」
「ぜんぜん痛くなかったよ、全く問題なし。あのねなんか機械みたいなところに頭を付けて、機械が自動で入れてくれる感じ。」
「その割には陽菜、あの時機械の前で青くなってたよね」
「耳の後ろだよ、そりゃ怖いよ」
「そう、みんな聞いてよ、アキあの時私の顔見てクスクス笑ってんのよ。ひどくなーい?」
「いや違うんだよ、あれは、こんな感じの陽菜も可愛いなと思ってたの!」
「おお!」一同歓声とともに、
秋友のエコー、忍犬カゲマルが演出モードを使って打ち上げ花火を打ち上げていた。
読んでいただきありがとうございました。
第2話の曲を以下よりご視聴いただけます。
題名『Echo』
https://youtu.be/L5-QVSdj6Fc
2098年 エコーがこの時代の人々にどのように受け入れられているかを音にしています。
その他、エコーの基本スペック、歴史等付け加えておきました。




