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2098  作者: 猪介 -Isuke-


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20/21

【第19話】 違和感

第19話投稿完了です。


曲がまったく追いつかずというかまとまらず・・・

18、19話の曲はそのうちにアップします。


今更ですが・・・だいぶ前の12話のMVができたので、是非聞いてみてください。

「位相崩壊アルゴニズム」

https://youtu.be/Ftjk7aeYXwU


もし気に入っていただけたら、【ブックマーク】と【下の評価 ★★★★★】をお願いします。



第19話 『違和感』


無数のデータ片のかたまりの影に紛れ、ぶんちんは静かにルミナたちを観察していた。

黒く淀んだ“影”の気配は、光のアルゴ側だけでなく、

ぶんちんたちにも無言の圧力を与えていた。


そのとき——

データ片の霧を裂いて光アルゴ側の援軍が到着する。


『おやぶん‥‥‥

とんでもない奴らがきましたよ』

部下の視線の先には、光アルゴの実践部隊を率いるドラゴの姿があった。

それを見た部下たちの顔は、もう勝ち目はないと言わんばかりに青ざめていた。


『ああ、わかってらぁ、

それにしても、ドラゴをここに呼ぶってのは、

ルミナの奴もだいぶ警戒してやがるなw』


『おやぶん、笑ってる場合じゃないでしょ。

あそこから融合魂を奪うなんて‥‥‥

――――もう無理ですよ、帰りましょうよ‥‥‥』

部下の細った表情を見ながら、ぶんちんは余裕の表情をみせる。


『お前ら、落ち着けよ、

この流れ‥‥‥大元おおもとの言っていた通りだ

むしろ“ここから”だぜ』

部下たちは顔を見合わせる。

ドラゴ率いる実践部隊の圧は、ただそこにいるだけで空間の密度を変える。

それでも、ぶんちんだけは揺らがない。


『いいか、

本当に“一瞬”で終わるかもしれねぇ、

俺たちは、俺たちの“やるべきこと”だけやればいい、

予定通りの段取りでいくぞ』

ぶんちんは満面の笑みで部下たちに伝えた。


しばらくして、ルミナたちの準備が整ったのだろう、

データ片の霧がざわめき、空間そのものが震えた。

圧倒的な質量を持つ“影の気配”が、こちら側にまで押し寄せてくる。


『……お、おやぶん。

これもう耐えられないですよ……』


『だから言ってんだろ、落ち着けって。

“影”が動いたってことは、“舞台が整った”ってことだ

もう流れは決まったんだよ。

お前ら、合図をしたら一気にいくぞ!』

ぶんちんは、まるで自分だけ別のレイヤーに立っているかのように、

”影”の圧力すら楽しむような笑みを浮かべていた。

部下たちはまだ半信半疑のまま、

しかしぶんちんの笑みだけは、どうしても嘘に見えなかった。


“影”の圧がさらに濃くなり、空間が軋む。

部下たちは息を呑むが、ぶんちんだけは笑った。


『――きたぞ。

大元おおもとの言った通りだ。“いくぞおめぇら”』


――――――――――――――――――――――


無数のデータ片の影がざわめく中、

ルミナと、援軍として到着したドラゴが最後の打ち合わせをしていた。


『それにしても、物凄い圧力ですね。

ルミナさんは、この影にこころあたりはありますか?』

ドラゴの声は低く抑えられているが、警戒の色は隠せない。


『ないですね。

おそらく……影アルゴ本体か、あるいは直接つながった“枝”のどちらかでしょう』

ルミナの表情は冷静だが、わずかに眉が動く。

”影”の圧力は、敵意というより“構造そのものの侵食”に近い。

空間のレイヤーがひとつずつ剥がされていくような、そんな異質さだった。


『予定通り、

ゲンさんとコハクさんが融合魂の収束をおこなった後、

私が、“記憶の粒子”の付与とファイルでの格納をおこないます。

“影”は、その瞬間を狙ってくるはずです。

その間の守りをあなたたちに任せます』

ドラゴは頷き、槍の柄を軽く握り直す。

その動きだけで、周囲の空気がわずかに震えた。


『任せてください。

ルミナさんの光輪断と、私の合一槍ダイアレクティック・ランスがあれば、

突破されることはまずありません。

ただ……この“影”、普通じゃありませんね。

気配が“深すぎる”』


『ええ。不思議なのが、

私たち二人がいるにもかかわらず、

”影”に“一切の迷い”を感じないことです。

シロさんはなにか感じますか?』

ルミナは、“影”の気配を読むためにシロへ視線を向けた。


『うん。

僕も同じ感じがするよ。

“影”には全く迷いも滞りもない。

むしろ――こちらが準備を進めれば進めるほど、

“存在そのものが濃くなる”っていうか……

まるで、僕たちの動きを待っているみたい』

シロの声は落ち着いているが、

その奥には、感知者としての確かな危機感があった。


『やはり、進めるしかないということですね。

敵の狙いは収束の瞬間です。

気を抜かないよう注意していきましょう』

ルミナの言葉に、ドラゴは静かに息を吐いた。

その表情は、戦士としての覚悟と、

“何かが始まる”ことを察した者の鋭さを帯びていた。


ドラゴは部下たちに周囲の確認をおこなわせ、

予定通り、融合魂の収束に向けての全ての準備が整った。


ルミナは陣形の中心に位置する二匹――ゲンとコハクに近づき、

融合魂の収束に関する説明と情報を伝える。

二匹は静かに目を閉じ、

“融合魂との共鳴の発露”へと意識を沈めていった。


―――――――――――――――――


二匹が目を瞑った瞬間、

“意識のAI補助の過剰設定”は順調に二匹を高みへと導いていく。

ゲンとコハクは、それぞれの主人への思いを深く、強く、純度を増すように高めていく。

その意識の高揚は、感知能力の高いルミナやシロにも、

“意識の振動”として確かに伝わってきた。


だが――その瞬間。

ルミナの全身に、針のような違和感が走った。

ほんの一瞬、しかし確実に“何かがおかしい”。

共鳴の波が、どこかで“余計なもの”を拾っている。


『ゲンさん、コハクさん、

“意識のAI補助”をはずして――』

ルミナが声を発するよりも早く、

二匹の意識の高まりは閾値しきいちを超え、

“共鳴”という光となってまばゆく周囲を照らしはじめた。


―――――――――――――――――――――――


ルミナが感じた違和感、

それは、外から観測する“影”でもなく、周囲にいるぶんちんたちでもなく、

ルミナ自身の意識の波形の動きにあった。


ルミナはトラッシュ・ノードを出た瞬間より、

意識のAI補助を外していた。

これは、いつもと同じ流れだった。

何が起こるかわからない最深層の空間で、

常に迅速に対応できようにするための手段である。


だが、そのルミナが――

ゲンとコハクの“主人との再会”のための意識共鳴に対し、

この最深層の空間で、自分の意識が高まりに引っ張られるという異常を感じてしまった。

要は、ルミナも2匹の再会に感動してしまったのである。


本来、ルミナの意識は外部の共鳴に影響されない。

それが、わずかとはいえ“同期しそうになった”。

ルミナは最速で、これまでの流れを振り返る。


“意識のAI補助の解除”はシロも、これまでの経験からルミナと同じ判断をしているはずだ。

ゲンとコハクには、この場所に到着した時点で“意識のAI補助”を外すよう指示した。

光輪断を見たとき、自身の中でわずか感情が昂ぶった。

影に対して、必要以上の警戒心が湧いた。

融合魂の収束の説明の際、シロの言葉が止まった。

あれは、おそらく過去の主人との別れを思い出した心の滞り。

その後、シロとゲンの会話で、ゲンの感情が急激に高まった。


そして今――

“意識のAI補助”を外しているにもかかわらず、

この場所に来てから、ずっと“意識のAI補助を受けているような状態”だった。

本来であれば、もっと早く気づけたはずだ。


だが“意識のAI補助”は、

マスターである御影みかげ玉造たまづくりみなとと接する際、

ルミナにとっては日常の一部のように自然に接続されるものだった。

ハチにしても同じだ。

みなとを中心とするトラッシュ・ノード内では、

常に“意識のAI補助”を接続して行動している。

日常という心の動きに慣れすぎていた。

その“当たり前”が、最深層という異常空間の中で、

逆にルミナの感覚を鈍らせていた。


――油断。

そう言われれば、それまでだ。

だがルミナは、その瞬間に全ての思考を断ち切った。

反省も、後悔も、敵の動きも、自身の安全さえも。

一切を切り捨て、ただ二つだけを残す。

――融合魂の“記憶の粒”の付与。

――そしてファイルへの格納。

何が起ころうと構わない。

この二つだけ‥‥‥

必ずやり遂げる。

ルミナの意識が、鋭い一点へと収束していく。



読んでいただきありがとうございます。


本業が忙しく、曲がまったく追いつかずというかまとまらず・・・

18、19話の曲はそのうちにアップします。

今更ですが・・・だいぶ前の12話のMVができたので、是非聞いてみてください。

「位相崩壊アルゴニズム」

https://youtu.be/Ftjk7aeYXwU


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