表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/24

第5話:祖母の遺品、発見 ~希望のレシピと奇妙な調理器具~

健太さんを救うため。

この手で、希望を掴む。


【花子視点】


健太さんからの一言以来、

私の心は絶望の淵にあった。


「私……本当に、ダメだ……」。


その夜も、自室で、呆然と床に座り込んでいた。


部屋の隅に、祖母の遺品を整理した時に

見つけた木箱が置いてある。


何をする気力も、もうなかった。


その時、ふと、視界の端に、

木箱から少しだけ顔を出している

古びたノートの切れ端が目に入った。


ボロボロで、ところどころ破れている。


気にも留めていなかったノート。


それが、私の目に、妙に力強く映った。


何かに導かれるように、

私はそのノートを手に取った。


ページをめくる。


祖母の達筆な字が、そこに踊る。


『家政婦の極意』。


私は驚いた。


このノートが、料理ができない自分を変える

最後の希望かもしれない、と縋るような思いを抱いた。


「家庭料理の不在は、私の存在意義の不在なのか……」。


そんな問いが、私の心で渦巻く。


ノートの奥に、小さな木箱を発見した。


鍵付きだ。


これは、祖母の秘密が詰まっているかもしれない。


期待と不安が入り混じる。


私が怪しげなノートを読んでいるのを、

健太さんが目撃していたことを、この時の私は知る由もなかった。


(花子の脳内風景)


「祖母の秘密のノート……。

これが、私を変える鍵に……?」


【健太視点】


胃の不調は、深刻だった。


まるで内側から何かを押し出されるような不快感に、

俺の胃は襲われる。


薬を飲んでも、気休め程度にしかならない。


その夜、リビングで水を飲んでいると、

隣の部屋から、花子の小さな声が聞こえた。


「私……本当に、ダメだ……」。


俺の胃が、またキリキリと痛み出す。


俺の言葉が、花子を傷つけた。


その罪悪感が、俺の胃をさらに蝕む。


そっと、花子の部屋を覗き込む。


花子は、床に座り込み、

古びたノートを手にしていた。


そのノートの表紙に、

「家政婦の極意」と書かれているのが、

薄暗がりでもはっきりと見えた。


「家政婦の極意……?」。


怪しげなノートに、俺は疑問を抱く。


胃の不調が深刻で、深くは聞けなかった。


ただ、花子の姿に、

俺は何か新しい変化の兆しを感じた。


それが、良い方向へ向かうことを願うばかりだ。


(健太の脳内実況)


「ターゲット:花子、

謎のノートを所持。

内容不明。

胃の激痛により、

これ以上の深追いは困難と判断。

司令部、静観せよ。」


### 【2chスレッド:嫁のメシがまずい】


1 名前:名無しの健太 2025/06/12(木) 09:00:00.00 ID:xyz789

最近、嫁が妙なノートを読み始めた。


「家政婦の極意」とか書いてある。


なんか、怪しい。


胃もヤバいし、もう何が何だか……。


2 名前:名無しの探偵 2025/06/12(木) 09:03:30.12 ID:abc123

家政婦の極意www

もしかして、伝説の家政婦の秘伝とか?

それ、料理の才能開花フラグじゃね?


3 名前:名無しのメシウマ 2025/06/12(木) 09:06:45.56 ID:jkl456

そのノートの匂いはどうだ?

クックドゥの匂いか?

それとも、地獄の業火の匂いか?


4 名前:名無しの人生相談 2025/06/12(木) 09:09:50.87 ID:def456

嫁さんが何か始めるってのは、

希望の光じゃないか。

頑張れ、健太。



次回予告: 祖母の遺品、

「伝説の家政婦レシピ」の真実が明らかに。

次話:第6話 伝説の家政婦レシピ、解禁 ~血の誓いと胃の悲鳴~

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ