第3話:ふりかけへの命綱 ~胃の悲鳴と秘めたる決意~
ふりかけはもはや、俺の体の一部だ。
この胃痛、どこまで続くんだ……?
【健太視点】
花子の料理は、相変わらず失敗続きだ。
俺は何も言わない。
言えるわけがない。
それでも、食卓のふりかけの減り方が異常に早いことに、
花子も薄々感づいているようだった。
胃の炎症は、日に日に進んでいた。
キリキリとした痛みが、朝昼晩と、
俺の胃袋を蝕んでいく。
俺は花子に申し訳ないと思いながらも、
密かに、ドラッグストアでふりかけを買い足した。
こっそり、棚の奥に隠す。
「せめて、ふりかけだけは切らすなよ……」
心の中で、俺は呟いた。
もはや、このふりかけがなければ、
俺は食事ができない。
まさに、命綱だった。
昼休み。
署内の食堂で、俺は胃薬を飲み干す。
同僚の田中が、不思議そうに俺を見る。
「健太、お前、最近ふりかけの減り、早くないか?」
俺は曖昧に笑ってごまかした。
夜、家に帰る道すがら、
胃の痛みに思わず立ち止まる。
「くそ……」
胃の奥底が、ズキズキと脈打つようだった。
(健太の脳内実況)
「司令部(胃)、現在、激しい動揺を観測。
司令官(俺)、これ以上の戦闘は困難と判断。
援軍要請、ふりかけ小隊、直ちに出動せよ!」
【健太視点ここまで】
【花子視点】
健太さんの顔色は、日に日に悪くなっている。
食卓のふりかけの減り方も、異常だ。
健太さんが、こっそりふりかけを買い足していることにも、
私は薄々感づいていた。
私の料理が、健太さんを苦しめている。
その事実が、胸を締め付ける。
スーパーの料理本コーナー。
私は、料理本を眺め続けた。
彩り豊かで美味しそうな写真の数々。
YouTube料理動画も、毎日何本も見た。
だが、どのレシピを見ても、
自分には不可能だと絶望する。
「こんな私に……できるわけ、ない……」
深夜。
焦げ付かせた鍋を磨きながら、
私は静かに泣いた。
私の料理では、
健太さんの胃袋を救えない。
「このままじゃ、健太さんの胃が……」
包丁を握る手元が、情けないほどに震えた。
健太さんが心の中で、
「クックドゥにすらたどり着けないのか俺の胃袋は……」
と呟いていることを、私は知る由もなかった。
私は、健太さんの苦境を目の当たりにして、
自分ではどうすることもできない料理の腕に、
再び絶望感を深めていた。
このどうしようもない無力感。
私には、何ができるのだろう。
健太さんの胃袋を、
健太さんの心を、
私が救うことはできないのだろうか。
深夜。
健太さんが寝息を立てている隣で、
私はそっと、スマホの検索履歴を開いた。
「料理 できない 対処法」
「メシマズ 改善」
「旦那 胃痛 料理」
打ち込んでも、希望は見えない。
私は、健太さんを救うための、
何か、決定的な方法を見つけなければ。
そう、強く心に決めた。
【花子視点ここまで】
### 【2chスレッド:嫁のメシがまずい】
1 名前:名無しの健太 2025/06/10(火) 22:30:00.00 ID:xyz789
今日もふりかけが美味い。
というか、ふりかけしか美味くない。
嫁は頑張ってるみたいだが、
俺の胃はもう限界だ。
クックドゥよ、なぜ君は遠いのか……。
2 名前:名無しの既婚者 2025/06/10(火) 22:33:15.34 ID:jkl456
健太、お前本当にヤバいぞ。
そろそろ病院行け。
ふりかけだけで生きてるって、
それ食生活破綻してるだろ。
3 名前:名無しの料理人 2025/06/10(火) 22:36:20.56 ID:abc123
クックドゥすら許されないのか。
ある意味、嫁の才能。
いや、悲劇か。
4 名前:名無しの人生相談 2025/06/10(火) 22:39:10.87 ID:def456
その悲痛な叫び、
伝わってくるわ。
奥さんも悩んでるんだろうな。
誰かに相談してみるのも手だぞ。
夫婦で乗り越えるんだ。
次回予告: 健太の胃の痛みがさらに悪化。
そんな中、義母からの電話が花子を追い詰める。
次話:第4話 義母からのプレッシャー ~胃痛と罪悪感の連鎖~