表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/24

第12話:緊急入院、そして「ふりかけだけは…」 ~吐血と希望の姉~

俺の胃は、もう限界だ。この戦い、いつ終わるんだ……。


【健太視点】


ストレス性の胃腸炎で、俺は極限まで追い詰められていた。


今日の任務は、凶悪犯の逮捕。


薄暗い路地裏に、犯人を追い詰めた。


犯人は、包丁を振りかざし、俺の腹部を狙う。


健太は、かすりながらも避けた。


同僚たちの活躍もあり、犯人は無事逮捕された。


「ああ、やっと終わったな……」


安堵の息が、俺の口から漏れた。


その時だった。


口の中に、鉄の味が広がる。


胃の奥底から、込み上げてくるものがあった。


堪えきれない。


薄汚れた路面に、それを吐き出す。


鮮血が、広がる。


「なんじゃこりゃー!」


俺は、絶叫した。


花子の料理以上の、衝撃。


その場で、うずくまる。


同僚が慌てて駆け寄る。


「健太、お前、刺されたのか!?」


必死な声が聞こえた。


俺は、意識が遠のいた。


そのまま、その場に倒れ込み、意識を失った。


駆けつけた同僚が無線で状況を伝える。


現場は、騒然とした。


【視点変更:外部の視点】


テレビのニュース速報。


画面に、警察車両と規制線が映し出された。


アナウンサーの声が、淡々と流れる。


「ニュースです。今日、お昼頃、刃物を振り回していた凶悪犯の逮捕がありました。」


「現場は、一時騒然となりましたが、犯人は無事確保されたとのことです。」


「しかし、大手柄をあげた警察官が、現場で血を吐き、その後倒れたと聞いています。」


「大丈夫でしょうか?」


その直後。


私の自宅のキッチンで、電話が鳴った。


私の心臓が、大きく跳ねる。


緊張しながら、受話器を取る。


「健太さんが……現場で血を吐いて倒れ、病院に運ばれました……」


緊急の連絡だった。


刃物を振り回していた凶悪犯?


刺された?


意識不明?


そんな言葉は、電話口からは聞こえなかった。


ただ、「倒れた」という事実と「血を吐いた」という情報だけが、私の心を支配した。


まさか、健太さん……。


頭が真っ白になる。


何も考えられないまま、私は病院へ駆けつけた。


【健太視点】


署から病院へ運ばれた。


俺は、意識を取り戻した。


白い天井。


鼻腔には消毒液の匂い。


「もう限界だ……」


俺は、悟った。


「花子の料理を、愛せる日は来るのか……」


モノローグで、俺はつぶやいた。


花子が、心配そうな顔で俺の手を握っている。


その瞳は、潤んでいた。


「花子……頼むから、ふりかけだけは切らすなよ……」


俺は、絞り出すような声で、懇願した。


「凝った映える料理なんて望んでいない。


クックドゥで良いんだ。


いや、クックドゥにしろ、今すぐ!」


それが、俺の、切なる願いだった。


医師が、俺のカルテに目を落とす。


「極度のストレスと胃粘膜の炎症。


軽度の胃潰瘍による吐血ですね。」


診断が下された。


「よくここまで我慢しましたね。」


その言葉が、俺には重かった。


その時、母が駆けつけた。


俺の顔を見るなり、泣き崩れる。


母のスマホが震えた。


母が画面を見る。


「陽子」の文字。


母は、一瞬戸惑った後、俺に告げた。


「陽子にも連絡したわ。


心配して、ロンドンからすぐ帰ってくるって言ってたわよ……」


遠いイギリスにいる姉。


わざわざ、俺のために。


姉の飯……。


弱った心で、俺は無意識につぶやいた。


花子への不信感。


募る。


しかし、遠く離れた姉からの連絡は、真っ暗なトンネルの先に差し込む一筋の光のように、俺の心に希望をもたらした。


上司が見舞いに訪れた。


「健太、よくやったな。


凶悪犯も無事確保できた。」


上司は、俺の額の汗を拭う。


「だがな……事件は現場で起きているんじゃない。


家庭で起きているんだ。


お前の胃が、その過程で悲鳴を上げたんだよ。


ゆっくり休め。」


上司が、ぽろっと本音を漏らした。



【2chスレッド:嫁のメシがまずい】


1 名前:名無しの健太 2025/06/10(火) 01:35:00.00 ID:xyz789

俺、倒れた。


現場で吐血。


「なんじゃこりゃー!」って叫んで倒れた。


2 名前:名無しの修羅場経験者 2025/06/10(火) 01:37:30.00 ID:jkl012

マジかよ健太!


まさかお前が倒れるとは……。


心配してたんだぞ!


3 名前:名無しの料理人 2025/06/10(火) 01:40:00.00 ID:abc123

吐血はヤバい。


これ、嫁さん、料理、もう作らせない方がいいんじゃ……。


4 名前:名無しの人生相談 2025/06/10(火) 01:42:30.00 ID:def456

健太、お疲れ様。


しっかり休めよ。


奥さんも、苦しんでるんだな。


希望を捨てちゃダメだぞ。


5 名前:名無しの名無しさん 2025/06/10(火) 01:45:00.00 ID:ghj123

ニュース速報見たぞ!


例の刃物を振り回していた凶悪犯確保の事件、警察官が現場で倒れたって!


血を吐いたらしいぞ!


もしかしてこのスレの健太のことか?www


6 名前:名無しの健太 2025/06/10(火) 01:47:30.00 ID:xyz789

5

……俺だ。


---


**次回予告**: 健太入院に姉陽子帰国。


陽子は試行錯誤のレシピノートを花子に託し、希望が灯る。


次話:第13話 異国の地から届いた味、そして試行錯誤のレシピノート ~陽子の帰国と希望の始まり~

次回予告: 健太入院に姉陽子帰国。

陽子は試行錯誤のレシピノートを花子に託し、希望が灯る。

次話:第13話 異国の地から届いた味、そして試行錯誤のレシピノート ~陽子の帰国と希望の始まり~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ