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第11話:限界の兆候と、最後の晩餐 ~胃に優しい献立と迫る危機~

私の料理で、健太さんを救う。

この一皿に、全ての心を込める。


【花子視点】


食卓で健太さんが吐き気を催し、

顔を覆う姿を目撃した。


私は愕然とした。


健太さんの顔は青白く、

額には脂汗が滲んでいる。


私のメシマズが、健太さんを追い詰めた。


深く反省した。


祖母の言葉が、脳裏に響く。


「人の心を掴むは、まず胃袋から」。


私は、その言葉を胸に、

伝説の家政婦レシピで最も胃に優しく、

心に染み渡るような料理を作ることを決意した。


この料理で、健太さんに「私の心」を伝えたい。


強く、そう願った。


包丁を握る私の小指の傷跡が、

じん、と疼く。


この傷は、私が祖母の道を歩む、

「血の誓い」のようだった。


キッチンに立つ。


健太さんのために、

私は全てを尽くす。


この一皿が、

健太さんの心と胃袋を救うと信じて。


(花子の脳内風景)


「健太さん、ごめんなさい。

私の料理で、あなたを苦しめてしまった。

この料理で、私の全てを伝えます……!」


【健太視点】


食卓で、俺は吐き気を催し、顔を覆った。


花子が、愕然とした顔で俺を見ている。


俺の胃は、もう限界だった。


これ以上、花子の料理を食べるのは無理だ。


そう悟った。


だが、花子が差し出してきた料理は、

いつもの奇妙なものではなかった。


湯気が立ち上る、温かい雑炊。


優しい香りが、鼻腔をくすぐる。


それが、まるで「最後の晩餐」のように思えた。


俺は、無理をして、その料理を口にした。


驚いた。


胃に優しく感じられた。


痛みが、少し和らぐ。


温かい雑炊が、俺の胃に染み渡る。


しかし、その安堵も束の間だった。


翌朝、事態は一変した。


胃の激痛が、再び俺を襲う。


「くそ……」


冷や汗が、背中を伝う。


「クックドゥですら遠い夢だな……」。


心の中で、俺は呟いた。


もう、我慢できない。


病院行きを決意した。


(健太の脳内実況)


「司令部(胃)、一時的安定を確認。

しかし、夜間、急激な悪化。

最終決断を下す。

作戦中止。

全兵力、病院へ撤退する!」


### 【2chスレッド:嫁のメシがまずい】


1 名前:名無しの健太 2025/06/16(月) 15:00:00.00 ID:xyz789

ヤバい。


嫁が胃に優しい料理作ってくれた。


美味かったし、

一時的に胃も楽になった。


でも、翌朝また激痛。


もうダメだ。


病院行く。


2 名前:名無しの既婚者 2025/06/16(月) 15:03:15.34 ID:jkl456

健太、ついに病院行きか。


それが正解だ。


頑張ったな。


3 名前:名無しの料理人 2025/06/16(月) 15:06:20.56 ID:abc123

胃に優しい料理作れるようになったのか。


それだけでも進歩だぞ。


でも、病院は必要だな。


4 名前:名無しの人生相談 2025/06/16(月) 15:09:10.87 ID:def456

健太の胃、心配してたぞ。


奥さんも、きっと良くなる。


病院でしっかり治してこい。



次回予告: 健太、職務中に吐血し緊急入院。

絶望の淵で、姉からの連絡が希望の光となる。

次話:第12話 緊急入院、そして「ふりかけだけは…」 ~吐血と希望の姉~

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