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なろうラジオ大賞5 参加作品

毎日のクエストもやるが一生をかける大きなクエストも欲しい

作者: ヲンダ

 冒険者ギルドの掲示板に貼られたクエストを確認する。

 朝一番で仕事を取る冒険者たちが一段落しているので、残っているクエストは少ない。

 俺は一ヶ月半のクエストが終わり久しぶりに街に帰ってきた。疲れていたのだろう今朝は寝坊してしまった。

 残っているクエストがいつもより多い気がする。いつもなら真っ先になくなりそうな木の実や薬草の採取が残っている。

 理由を考えて気がついた。女神のお祭りがある。その飾り付けの材料の採取のクエストが多く、冒険者はみんなそれを取ったのだろう。この時期はいつものクエストの残りが多かった。

 その残ったクエストの中にパン屋のメアリーのものがあった。ジャムに使う木の実の採取だが店主がメアリーのパン屋はあったか? 街の主だったパン屋にはないはずだ。最近できたパン屋なのだろう。

 興味本位でそのクエストと、同時にこなせそうな薬草採取のクエストを受けた。楽なクエストなので早く終わる。


 時間ができるとつい考えてしまう。冒険者はクエストがなければ生活できない。俺は一生クエストを受けて生きていくのか。

 俺の理想は冒険者ジョーだ。彼は俺みたいにクエストで生活していたが考古学者シュリに出会って人生が変わった。

 最初は現場での護衛だったが二人は何回ものクエストを通してお互いを信頼し、いつのまにか相棒の間柄になった。そしてシュリの遺跡発掘という偉業に貢献した。

 俺から見れば一生もののクエストを見つけ、食いっぱぐれなく羨ましい人生だ。


 長期クエストはなかなかないし、指名もない。毎日ギルドへ行きクエストを受けている。たまにパン屋のメアリーのクエストがあるので見つけると受けている。

 街へ出て買い物している時ふと思いつきメアリーのパン屋へ行った。メアリーは目立つところのない平凡な女性だった。でも笑顔のかわいい女性だ。

 お客さんに食べ方を教えたりして客ともうまくやっているようだ。何か話して二人で笑っている。楽しく商売できて何よりだ。オレはどこ目線だか分からない感想を持って微笑ましく見ていた。

 何日か通っているうちに挨拶だけではなく会話もできるようになった。彼女の声は聞いていると安らぐ。

 ギルドでクエストを受けてパン屋へ行って、そしていつのまにか休みの日には二人で出かけるようになっていた。

 そんな生活が二年くらい続き俺は決心した。

 彼女に結婚を申し込み彼女を幸せにする。これは俺が一生をかけて果たさなければならないクエストだ。

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