第5話 受験
やっぱりチートはチートです。
学年が上がり、中学3年生になっていた。今年は受験だ。みんなピリピリし始める。
そんな間にも咲良や神楽のスタイルはどんどん良くなっていた。痩せただけでなく、しっかり食べているのであろう。胸へも栄養が行っているようだ。
咲良は見せつけないようにひたすら勉強をした。過去問を何十題と解き、苦手教科の数学も百点満点中98点ぐらいが安定して来ていた。模試の結果も気になり始めた。
謙信は少しばかり成績が落ちていた。少し、恋にかまけ過ぎたのだ。だが、それを断ち切り、次の模試では5教科で、470点という高得点を出した。ちなみに咲良はそのテストは満点だったらしい。もちろん全国1位だった。でも、その事を知っているのは親だけだ。
引退が近づいてきた。咲良は稽古に出ながら頭の中で社会の復習などをしていた。塾には入らず、自分のペースで着実に知識を詰めていった。
謙信もボールを弾ませたりしながら復習をしていた。試合ではチームで全国ベスト4に入った。もちろんその試合も咲良は見に行った。次の日同じ体育館で空手の審査会もあったからだ。
彼女は今二段だ。いつの間にそんな事になっていたのか気付かないまま昇級した。とりあえず、めちゃくちゃ強くなっていた。終わった瞬間から2人とも受験勉強を始めた。そして迎えた三者面談。
「咲良さんは県外にも行ける高校がありますがどうされますか?」
先生が言った。
「咲良の好きにすると良い」
父親の修羅はそう言った。母ローズも娘を尊重する考えだ。
「東城で。高いところでついていけなくなるよりも、一ランク下でも一位を目指したいので」
そんなの建前である。ただただ謙信と一緒がよかったのだ。ちなみに余裕で受かると言われている。
一方謙信は。
「おそらく余裕で東城行けますよ。県外も可能です」
先生が言った。
「高いほう、行きゃどうや?好きにすりゃいいけど」
景勝が言った。
「俺東城にする。受かって、咲良とおりたい。近いし、一緒に通えるし」
謙信の目から謎の涙が流れている。もはや顔面ゲリラ豪雨である。迎えた受験本番。
(行ける。この問題、過去問のあそこ。ていうか、どっかでやった。おままごとや)
謙信は心の中でガッツポーズしていた。
(これ幼稚園の時やった。たこ焼きのやつやん。もろたで)
咲良もガッツポーズを心の中でしていた。
(これ幼稚園の時のやつや。懐かしい。からのもろたでー)
もちろん神楽もそうである。
リスニングは余裕だった。だって自分たちでしたことがあったからだ。英語は全員満点だった。国語が始まる。これもみんなでやった事を思い出し、余裕で満点だった。咲良は数学で一問ミスしたがそれ以外全教科ノーミス。謙信は社会でワンミス。神楽は理科でワンミスした。しかし全員余裕の合格だ。