第1話 オギャー
「オギャー、オギャー」
部屋の中で赤ちゃんが泣いている。生まれたばかりの赤子だ。綾蘭川家の長女が生まれたのだ。
「名前はどうします?修羅さん」
母親が聞いた。とても嬉しそうだ。
「そうだなー。羅の字は継がせたい気もする」
父親も笑顔で、そう答えた。
「なら、羅神?」
母親は嬉しそうだが、絶望的なセンスだ。男の子っぽい名前だからだ。
「流石にそれはなー」
やはり、父親は否定する。
「何がいいですか?」
母親は父に良さそうな名前を聞くことにした。
「咲良とかどうだ。羅の字はないが。可愛いだろう」
父が提案する。
「蘭は使いたいと思ってたんだけど。咲良でいいんじゃ無い?」
母親も肯定する。
「ノリで決めるな。春とか蘭とか使いたい。でも、咲良でいっか。俺もかよ」
1人でボケツッコミすんのかよ、修羅(咲良?父)
「ツッコミ自分でするなんて悲しいですよ。」
母親の言うとおりである。
「なぁ、ローズも咲良いいと思うよな?」
修羅が嬉しそうに聞いた。
「ええ。良いわ。最高よ」
母親であるローズも嬉しそうに肯定した。
そう。この赤子ハーフである。輝く太陽のような金髪に海の雄大さを体現するような澄んだ青い目をしていた。
こうして、赤子は綾蘭川咲良と名付けられた。数ヶ月後には話したり、立ったり、歩いたりできるようになった。