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♯アジフライ


 ポムと2人の生活が始まって、はや1週間。

その間にポムに座布団を購入したり、ポムに毛布を購入したり、メジナを釣ったり、売ってポイントに替えたりしたんだけど、なかなか思うようにポイントが貯まらない。


「大きくなる魚は30センチ以上じゃないと基本的に買い取り不可って酷いな……」


「爆釣、頑張るにゃ。今日のポムはアジフニャイが食べたいにゃ」


 俺も食べたい。フライ良いなあ、たまには油っこいのも食いてえなあ……


「アジが釣れても小さいと売れないし、売り物になりそうなの釣り上げてからな」


「分かったにゃ。ポムが応援してあげるにゃ。」


 ふにぇーふにぇーとか言ってる……なんか可愛い。


「サザエを餌にしないで、そのまま焼いて食べても良いんだよな……ビール代くらい余裕あるし」


 この1週間の売上げは、1日平均3200円くらい。

 使ったのは1週間で15000pくらいだな。


「そんにゃ事を言ったらダメにゃ。ネガティブになゃったら釣れにゃくなるにゃ」


 うむ、だけど……やたらポジティブになるのもな。


「イカがいい値段で売れるからイカが釣れたら良いんだけど、そう簡単には釣れないよな」


 ポイントで購入した物は、米と野菜とワサビと飲み物と、ガスボンベとか毛布とかの食料品や生活用品ばっかり。設備的な物はまだ買ってない。


「地面100㎡が200pで交換出来るらしいから、1回試してみたくね? 売り物にするの1匹釣れたら試してみて良いか?」


「ポムのゴハンを用意してからにゃら、いくらでも試して良いにゃ。ポムはアジフライを希望するだけにゃ」


 仕方ない頑張ろう。


 とりあえずは遠投用の竿とリールにエギ付けて……とりゃ!


「やっぱり前より遠投が上手くなってると言うか、遠くまで飛ぶようになった気がする」


「それはそうにゃ。慣れるとスキルが生えて来るにゃ。少しずつ少しずつにゃけど努力が実るようになってるにゃ」


 おおっ! 釣りスキルは嬉しいな。

 俺のやってた釣りゲーで最高のスキルだった、合わせタイミング超延長とかあったら良いなあ。


「どうせならイカフニャイも作るにゃ。油を使うにゃら一緒に作れば手間もかからにゃいにゃ」


 イカなかなか釣れないな……メジナにすっかな。


「なあ、メジナを3匹釣ってからアジ釣りに変えて良いか? イカはつれ……!!!!」


 ぬおっ! まさかの!


「フィーーシュ! キタキタ! これはデカい。今までで1番イイ引きだ」


 だんだん見えてくる魚影だけど……


 ムフフっ、デカいイカだわ。


「剣先イカじゃなイカ! これは良いぞ良いぞ」


 スルメイカの倍以上の値段がするイカで、足の短いのが特徴のイカだな。美味いんだよコレ。


「確実に30センチ超えてんな。ポム、タモ取って」


「はいにゃ。とても大きなイカさんにゃ、齧って良いかにゃ?」


 前足で器用にタモを抱えて渡してくれるのは可愛らしいけど、齧らせる訳にはいかんよ。


 齧ろうとしたら頭を鷲掴みだな。


「これは売り物なの、売り物にするんだから食べちゃダメ。」


「むにゃ! 仕方ないにゃ。ポムは空きっ腹にゃ。早くゴハンを用意するにゃ」


「ほいよ」昼飯食ってから1時間くらいなんだけどな、燃費悪いなコイツ。




 夕方まで釣りして、スルメイカ1杯、剣先イカ3杯、マアジを大小10匹釣った。


 とりあえずは、イカの値段を調べてから何を食うか決めよ。


「凄いぞポム。剣先イカだけで4800pだってよ。生きてるとイカって高いのな。」


 売却したポイントで、小麦粉とパン粉と卵を買った。アジフライとイカフライ作ろ。


「ポムは何匹食べる? 明日の朝飯用にアジの一夜干し作るけど、そっちも食べる?」


「アジフライは2匹、イカリングは3つ食べますにゃ。明日の朝は猫まんまと一夜干しを半分お願いしますにゃ」


 食べ物を貰う時は言葉使いが丁寧になるのな。


挿絵(By みてみん)

      こんな感じのアジを捌いて……パン粉をまぶして、高温の油でカラッと揚げたら……


挿絵(By みてみん)

             こんな感じに。


「キャベツの千切りとレモンを添えて……」


 やっぱりアレだよな。


「ダンっ! 銀色のヤツ。仕事終わりの1杯は格別だな」


「ちゃんとポムの分は冷まして下さいにゃ」


 最初に揚げて少し冷めたアジフライとイカリングをポムにあげて、俺はアツアツを頬張る。

 ソースを少しかけただけなのに、アジもイカもめちゃくちゃ美味い。


「なんだかんだ言っても、この生活って気楽で良いな……」


 とりあえず風呂入りたいから、設備的な物は露天風呂を最初に設置しようかな……3500pで購入出来るみたいだし。


「よし、腹も膨れたし、100㎡の土地を設置してみよ……う〜ん……桟橋付きか……350pか……」


 釣りするなら桟橋って欲しいな……


「何もにゃい土地を購入するより、設備が付いてた方が良いにゃ。桟橋があるにゃら船を買えば船から釣りが出来るにゃ」

 

 そっか、ボロ船でも手に入れて修理すりゃ良いんだし、桟橋付きにすっかな。

 俺って元造船所の作業員だから船の修理なんてお手の物なんだしさ。


「なるほど、マップを開いて設置すんのか」


 ゲームみたいだけど……土が直接目の前に出て来ても何も出来ないから、助かるなコレ。


「すげっ。モコモコ張り出して来た……」


 海中から音も無くモコモコモコモコって出てきたよ、木の桟橋が付いた土地が……


「100㎡ってちっちゃいのな……」


 よくよく考えたら10m×10mだもんな。拡張された部分と元の部分に繋ぎ目すら無い自然な感じになってら。


「明日の朝飯にする一夜干しの準備でもして寝るかポム」


 テキトーに回した隣人ガチャだったけど、ポムが出て来て良かったのかも……喋る猫ってのも案外良いのかもな……


「ふにゃ! 何するにゃ、ポムはまだ食べたりにゃいにゃ!」


 こいつ……せっかく開いて塩して干す準備してたのに。


「明日の朝飯用だっつーの、なんで生で食うんだよ」


 開いたアジを丸ごとかぶりついてやがる。


「食ってしまうんだったら刺身にするから。俺も食いたいんだよ超新鮮なアジの刺身とかさ」


「ここに開いたアジがいるからにゃ。魚を目の前にして我慢なんか出来にゃいにゃ」


 ポムは半身があれば良いんだと。俺の分が無くなったじゃねえか……食うの早すぎだろ。


「ポムの朝飯は猫まんまだけな。味噌汁にメジナの切り身入れてやるから我慢しろ」


 寝ようと車の中に入っても、ずっと猛抗議されてて、うるさくてぜんぜん眠れない……猫って夜行性だもんな……Orz




読んで頂けて感謝です。

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