ポセイドンのヤル気
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ここ最近イーちゃんに乗って遊ぶのが楽しいのか、毎日のように海で遊んでる杏とポセイドン。
リスティールさんが抑えてなくても、片手でイーちゃんに付けた手綱を握って操作しながら、ポセイドンを追い掛けつつ電動式の水鉄砲片手に遊び回ってる。
まだ梅雨は空けて無くて、毎日微妙に雨が降ってるのに「海に入れば濡れるんだから雨なんて気にすんな」だとさ。
そんな日々の中で、夜飯の時にポセイドンが「水族館って知ってるか?」なんて杏に聞いたんだけど、どうやら知ってたようで「1度で良いから行ってみたい」なんて言った次の日曜日。
「おはよう、準備は出来てるぞ。さっさと弁当準備して行くぞ」
元気にポセイドンがドアを開けたタイミングが悪かった……
「すまん……まさかの……わざとじゃ無いんだぁぁ」
杏の生着替えを直視したポセイドン、蟹の甲羅でもスパスパ切れるポムの爪で目を突かれて、地面を転げ回ってる……
両目を抑えて「目がぁ目がぁぁぁ」だとさ。
「さっきロナルディも同じ事したんだよ、ほれ世界樹」
「まさかの不意打ちとは……俺とした事が……」
もしゃもしゃ世界樹を食べると回復していく目の傷、目の周りの血の跡が生々しいけどな。
「今度から着替え中って木札でも作ってドアに掛けとくよ」
「頼む、痛さがやばかった。二度と喰らいたくないぞ」
因みにロナルディもレタス食って回復したけど、その後リスティールさんにボコられてた。
「レディーの着替えを覗いた罰」だってさ。
「リスティを怒らせたらヤバいです、全部アッパー気味に入るんですよ拳が、脳がグワングワン揺れて辛かったです」
結構ボコボコにされてたのに、もう回復してら。
後ろでリスティールさんが不敵な笑みを浮かべてるのに気付いてない。
「もう一度教育的指導が必要なのかしら? 私のロナはこんなに聞き分けの悪い人だったのかな〜?」
うひゃー……姉さん女房は恐いな……
「リスティール、杏はまだ6歳だ、そんなに五月蝿く言ってやるな」
ダメだポセイドン、今のリスティールさんに口答えしちゃ……
「ポセイドン様も反省が足りて無いのでは? もうすぐ7歳になるレディーの着替えを覗いて、五月蝿く言うなとはいったい?」
コメカミに青筋立ってるよ……怖ぇぇぇぇ。
杏の準備も終わって、ポムとリスティールさんの機嫌が最悪の中、杏本人は何があるのか楽しみなようで、ずっとポセイドンに向かって話し掛けてる。
「今日の杏は可愛いな。いや、いつもと同じ様に可愛いな」
「えへへ。リティママから作って貰った帽子なの」
ちょっと大きめのつばの付いた帽子をポセイドンに見せながら歩く杏、因みに雨はポセイドンが水を操って杏に掛からないようにしてくれてる。
最近の杏はリスティールさんの事をママ、ポムの事をお母さんって呼ぶんだ。
俺とロナルディとポセイドンは誰が最初にパパ、もしくはお父さんって呼ばれるか気になってたまらない。
「ワンピース姿の杏ちゃんも可愛いですよね……」
ロナルディは杏の後ろ姿を連写中。先頭を歩くポセイドンと並んでて、たまに後ろを振り返った時にシャッター音が連続で聞こえる。
先頭を進むポセイドンが皆を案内して来たのは政島の東側の海岸、普段と何も変わらないけど何だろ?
「さあ杏、その靴じゃ危ないからコレに履き替えて。大人は知らん、怪我したら世界樹でも食え」
そう言って取り出したのは山登りとかに履くようなゴツいブーツで、ちゃんと杏サイズ。
杏がブーツを履いたら、海に向かったポセイドンが。
「夜のうちに道は用意しておいたが、海流で少し荒れてると思うから気をつけてな。それじゃ見せてやる」
たまに持ってるヤスを握ったポセイドン、海にヤスを突き刺して……
「これが俺の実力だ! 開けゴマ!」
海にトンネルが出来ちゃった……
「案内してやろう、海の中に作った天然の水族館をな」
いい笑顔でキリッとして、歯がキラっと光ってんの。
政島の東側から南側を回って、西側までの海底に作られた道を歩いてる俺達だけど、上を見ても横を見ても、水の壁。
「あれはアジでしょ? アジフライとかお刺身が美味しいやつ。あっちはカワハギ、煮付けにすると美味しいやつ!」
分かるよ、そりゃ毎回魚を見せてから料理するから。でもさ……
「コレは食べた事ない。なんてお魚?」
「コレはフグだな。食べたらダメだぞ、お腹が痛くなるから」
爺ちゃんみたいだ……水族館に行って「丸々と肥えたイワシの大群だな。コレはいい金になるぞ」なんて言ってたのを思い出す。
「こっちはワラサで、アレはヤリイカ。どっちも美味しいやつ!」
まあ美味しいやつなのは間違ってない。
そんな感じで海の中を歩きながら、だんだん歩くのが疲れて来たのか、杏の歩く速さが……
「肩車してやろうか?」「うん! ポセおじちゃんお願いします」
ペコりと頭を下げながら、おじちゃんだってさww
ポムが静かなのが気になって後ろを見てみたら……
「お刺身になるにはまだ早い。もう少し大きくなってからたずねて来るのだ」
なんて海水の壁際を泳いでるカンパチに向かって話しかけてる……こっちもかよ……
ロナルディとリスティールさんは、海底に生えてるサンゴ礁や海草を見て。
「コレは食べられそうですね」「こっちは加工品にするのに丁度良さそうだね」
なんて……俺1人か? 純粋に綺麗だって楽しんでるのは……
「ぬあ! シマアジ居るじゃん。コイツ美味いんだぞ」
俺も無理だった。だってさ、シマアジだよ? 美味しそうじゃん。
結局の所、水族館ってのは都会に暮らしてる人が行くから珍しい物で、漁業メインで暮らしてる人間が行くと食い物にしか見えないんだなと痛感。
爺ちゃん、変な人だとあの時は思ってスマン。
小政島と政島の間の狭い海峡を通る時に、瀬に付いた丸々太った鯖を見つけたから、今度釣りにいってみようかな? なんて考えながら海の拠点に来て昼飯。
ポムとリスティールさんが、海の中の感想を杏に聞いてるけど「美味しそうな、お魚さんがいっぱい居て楽しかった」なんて言ってる。
昼飯食ったらイーちゃん持って来て遊ぶんだと。
雨も止んで、日が差してるから暑いし。
「夜はココの鉄板でも使ってお好み焼きでもやるか」
俺の提案に大人は全員賛成。杏はお好み焼きがわかってないらしい。
「それは美味しいやつ?」「うん。たこ焼き好きだろ? あんな感じの美味しいやつだよ」
そう答えた俺に向かって……
「いつも美味しいやつをありがとう、バクおじちゃん」
……………………俺もおじちゃんなのか。
色々な具のミックスお好み焼きを皆で食べて、満腹になって、6人で露天風呂に来た。
「ポセイドン様も爆釣さんも、そんなに凹まないで下さいよ。おじちゃんって言われたくらいで」
俺とポセイドンは夕日が眩しくて目を細めてる。
「ロナルディ、お前はお兄ちゃんと呼ばれたから気にはならんだろうが、爆釣は仕方ないとしても、俺までおじちゃん扱いだぞ……」
「ポセイどんなんて俺よりだいぶ歳上だろ? 俺なんてロナルディと同い歳だぞ……」
ロナルディがフルーツミックスジュースを渡した時に、杏から「ありがとうロナお兄ちゃん」なんて言われて勝ち誇った顔をしてたのが……
「やっぱりイケメンは強いのか……」
「俺もお前も、それほど悪くはないはずだ。耳だ、たぶん耳の違いだ!」
ロナルディの耳を掴もうとするポセイドン、何やってんだよまったく。
「お〜い、そろそろ上がるから脱衣所使うぞー」
「は〜い。終わったら教えてねー」
朝のポセイドンやロナルディみたくならないように細心の注意を払わなければ。
女性陣が上がってくるのを待って、今日は家まで6人で行動、帰るまでが遠足だもんな。
「杏ね、今日凄く楽しかった」
「もっといっぱい楽しい事しようね」
「まだまだ、色々楽しい事はありますから」
ポムとリスティールさんに手を引かれて歩く杏、3人の後ろ姿を写真撮りまくりなロナルディ。
ポセイドンはずっとアクションカムを額に貼り付けてるから、常時撮影しっ放し。
「あ! ポセイどん。杏の着替えてる所まで撮ったんじゃねえの?」
そういや朝も付けてたよな……
「ふっ。目と一緒にポムちゃんに真っ二つにされたから、このカメラは2個目だ。映像に残ってないから安心しろ」
「ポセイドン様……昨日までの画像データは?」
「毎晩バックアップは残してるから心配するな」
だとさ。
読んで貰えて感謝です。




