21.知らされた夜 1
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8.9
「彼らを陛下やヴィセル達を庇うわけではないのですが、そう決めたのは俺です」
存在が迷惑とか消すと言われたのは人生初だった。
「ミライ?」
「あっ、ごめん。ちゃんと聞いてるよ」
覗きこまれていたようでアップのグラン君が目の前にいて、動揺し頭が揺れそれにあわせてカップも。
「あつっ」
手にかかったお茶を拭いてくれるグラン君の姿に思わず。
「お母さん」
予想に反してじとりと睨まれ「俺は、ミライのお母上でもお父上でもないし、なりたくない」と怒り出した。
そんなに嫌なの?
「あー、そうです。貴方を消し損ねたのは貴女が寝言で言ったんです」
「えっ、変な事言った?!」
「オトウサン、オカアサン、ゴメン。イツキゴメンと泣きながら言ってました」
なんだよ。
不意討ちじゃないか。
私の闇時代を忘れたはずの辛さを思い出しそうになる。
「…不用な奴を慰める必要ないよ」
緩く抱きしめられた。
制服の硬い生地が頬にあたる。
「泣かせたくない。髪の毛でさえ、たとえライアンでも触れさせたくない。他の奴に笑いかけているのを見ると、とても腹が立つ」
何を言ってるの?
「俺のこの気持ちは、好きというモノで合ってますか? 離したくないとずっと側にいたいと思うのは、ミライや皆が思う好きと同じですか?」
スッポリ腕の中に入っている私は、顔を無理やり出したら。いまにも泣きそうな顔がいた。
「これ以上大事な物を増やしたくなかった。だけど、知ってしまったら無理ですね」
「グラン君?」
「俺の過去」
コツンと額と額がくっついた。
「視て」
熱いに近い熱と光を感じて思わず目を閉じた。




