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捕まり癒やされし異世界  作者: 波間柏ひかた


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21/31

21.知らされた夜 1

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8.9

「彼らを陛下やヴィセル達を庇うわけではないのですが、そう決めたのは俺です」


存在が迷惑とか消すと言われたのは人生初だった。


「ミライ?」

「あっ、ごめん。ちゃんと聞いてるよ」


覗きこまれていたようでアップのグラン君が目の前にいて、動揺し頭が揺れそれにあわせてカップも。


「あつっ」


手にかかったお茶を拭いてくれるグラン君の姿に思わず。


「お母さん」


予想に反してじとりと睨まれ「俺は、ミライのお母上でもお父上でもないし、なりたくない」と怒り出した。


そんなに嫌なの?


「あー、そうです。貴方を消し損ねたのは貴女が寝言で言ったんです」


「えっ、変な事言った?!」


「オトウサン、オカアサン、ゴメン。イツキゴメンと泣きながら言ってました」


なんだよ。

不意討ちじゃないか。

私の闇時代を忘れたはずの辛さを思い出しそうになる。


「…不用な奴を慰める必要ないよ」


緩く抱きしめられた。

制服の硬い生地が頬にあたる。


「泣かせたくない。髪の毛でさえ、たとえライアンでも触れさせたくない。他の奴に笑いかけているのを見ると、とても腹が立つ」


何を言ってるの?


「俺のこの気持ちは、好きというモノで合ってますか? 離したくないとずっと側にいたいと思うのは、ミライや皆が思う好きと同じですか?」


スッポリ腕の中に入っている私は、顔を無理やり出したら。いまにも泣きそうな顔がいた。


「これ以上大事な物を増やしたくなかった。だけど、知ってしまったら無理ですね」


「グラン君?」

「俺の過去」


コツンと額と額がくっついた。


「視て」


熱いに近い熱と光を感じて思わず目を閉じた。

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