遭遇
注意! 東方Projectに登場していない妖怪が
出てきます正体は次号にて
第三話 遭遇
平和な農村が眼下に広がり四方は豊かな緑に囲まれ、群青色の空には眩しくお天道様が輝く。
「何だ……ここは?」
「こりゃあまいった、本隊とはぐれた」
「ウ、ウクルル?……な訳ねぇか」
「やっぱりマラリアが俺の脳ミソたぶらかしてんのか?」
「に……にほんか?ここは。助かるのか?私は?」
「隊長……一体ここはなんなのですか?」
皆それぞれに口を開く。
「本隊とはぐれたって、本気でいってんのかよ?隊長……冗談でしょう?」
「い、いやぁ〜スマン、霧の中つい見失ってしまった、だが霧も晴れたしすぐに追いつくさ」
「隊長、ここは追いつく前にあの村を訪ねてはどうでしょうか?上手くやれば食料も確保できるかもしれません」
「そうか、それもそうだな。良し、解った、うんうん、えーっと、じゃあ上滝と三枝と駒田、索敵して来てくれ」
「了解!」
隊長は恐らく本隊を見失ってしまったことや突如現れたこの村に動揺し立ち直れていないのだろう、いつもより人選が遅い。
しかし人選自体は悪く無いだろう
それはビルマの言葉が話せる伍長
顔と声で多少相手を脅せる私(伊達に兵隊ヤクザと呼ばれているわけでは無い)
そして卒無くこなし相手に好印象をもたせる優男駒田
問題無いだろう。
そう決まった所で私達は村にむかって山を降りだした。警戒はそれ程必要無いだろう、この辺りの人間はイングリーどもを憎んでいるだろうし、見た所二〜三キロ程だ。
油断していたその時、右手に枝を踏み折る音がした。
「!」
「伏せろ!」
言われる直前から私は既に身を低くし木の根元に隠れていた。一体何だろうか、人にしてはえらく小さい物体が目に入る。いや待て上手く擬装した敵かもしれない。
「出てきやがれ!おい!きこえてるだろう?!」
私はそう叫んだ、しかし反応は無い。
「クソ、コケにしやがって。撃っちまうぞ!いいのか?さ〜んにぃ〜い〜ち……」
三八式の音が響いた。手応えあり。
ウギィッと声がした、すぐに駆け寄る、しかし、そこにあるはずの遺体は見えず血の一滴も無かった。
「あ?……あぁ?……外したか?でも声は確かにあった」
三人で不思議がるがどうしても答えは出なかった。
しばらくするとまた音がする、正面だ、あの物体がいる。私達は敢えて無視する事とし突っ切った。
しかしアレがまた現れたのだ!
私達はパニックに陥りそうだった、一度来た道を戻り大きく迂回してみる。
「何だと思うか?三枝」
「さあ?わかりません、狐に化かされた気分ですな。」
「狐か……インドにもいるのだな」
暫く進んでいたが突然、駒田が慌てて走りだした。私達も急ぎ追う。
「うわぁあああああ」
「どうした!マラリアに脳ミソヤられたか?」
暫くして駒田に追いつく。
「なにがあった!?」
「急に何かに後ろから飛び付かれて、その……申し訳ありません」
そう言った彼の背中には何もいない。
「急ぐぞ!隊長を待たせる訳にはいかん」
暫く進むとまたアレが現れた、三人はパニックになり走りだした。
「何なんだよアレは!ふざけるなよ!」
「あ!」
「あぁ?どうした駒田!」
「一つ思い出しました、あれ妖怪じゃないですかね!自分の地元に今の状況みたいな言い伝えがあるんです!」
「はぁ?大丈夫か?お前?」
「正常であります!確か土ころびと言うヤツです!恐れず無視していれば悪さして来ないはずです!」
「何だよそれなら一度無視して通り過ぎただろうがよ、いつまで粘着してくるんだよ!」
「無視すれば良いはずでが……あ!一度三枝さん発砲してるじゃないですか!一回謝ったらどうです?」
「オ、お前おれが悪いって言ってんのか!」
「三枝、謝るんだ」
「ご、伍長まで……仕方ねぇな……
申し訳ありませんせんでしたー!
罰当たりなことはもうしませーん!」
ありったけの声で叫んだ、兵隊ヤクザの名に恥じぬよう、あの村にまで届くよう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。