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記憶


朱里の護衛になってから、一週間が過ぎた。



 今俺達は散歩に出かけている。



 「なぁ、何処まで行くんだ?」



 「いや何、私と政が出会った森まで行こうと思ってな」



 「そういえば何で俺と会った時周りに護衛がいなかったんだ?」



 「あそこは私のお気に入りの場所でな、誰にも知られたくなかったんだ。それに私は護衛が嫌いだ。  鬱陶してたまら」



 「じゃあ、何で俺はいいんだ?」



 「そ、それはだな///」



 朱里の顔が赤いな。熱でもあるんじゃね?



 「朱里顔が赤いぞ。大丈夫か?」



 「だ、大丈夫だぞ!///」



 「そうかぁ?顔すげー赤いぞ。一週間後には入学式があるんだから無理するなよ」



 「わかっている!」



 「それならいいんだが」



 それからしばらく歩くと朱里の顔の赤みもとれてきた。




 結局なんで俺だといいんだか分からなかったな。それとあの執事の青年どうやって朱里の場所が分  かったんだ?




 そんな事を考えていると目的の森が見えてきただ。




 改めて見ると静かな所だな。鳥の鳴き声も聞こえない。



 「何でこの森はこんなに静かなんだ?」



 疑問に思ったので聞いてみる事にした。



 「それはだな、今から五百年ほど前の戦国時代にここで戦があったらしいんだ。けどその戦は何処

  の文献にものっていなく、『ここで何かの戦があった。武器がぶつかる音はすれども姿が見えぬ 

  』と昔から語り継がれてきたんだ」



 「ん?てことは誰かが近くで聞いたって事なのか?」



 「それも分からない。昔この辺りは村だったんだがその頃からその噂があるという噂だ」



 「は~不思議な事もあるもんだな。でもそれと森が静かな事と何か関係があるのか?」



 「その話からこの森は『視えずの森』といって、入ったら最後死んでも他人に姿が見えなくなると

  いわれこの近くには人はおろか動物も全く近ずかなくなっているんだ」



 「ふ~ん、って!滅茶苦茶危なそうじゃねえか!」



 思わず大きな声を出してしまう。



 まさか俺と朱里が会った場所がそんな不吉な所だったとは。でも俺も何も無いからきっとその噂は

 嘘だろう。うん、噂は噂、怖くな~い、怖くな~い。



 そんな話をしてると森に着いた。



 「森に着いたけど今日は何処まで行くんだ?」



 「森の奥にかなり大きな木があるんだが、そこまで行こうと思っている」



 「んじゃ行くか」




 森を歩く事、十数分。そこには天にそびえるかのような大木が生えていた。



 「アレか?」



 「そうだ。大きいだろう」



 「ああ、大きいなっ!!」



 木に近ずこうとした俺の動きが止まる。



 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」



 「どうしたんだ!?」



 息が苦しくなる。心臓の鼓動が早くなる。ここは、この木は!間違いない!




 俺の死んだ場所だ




 気持ち悪い、頭の中にナニカが流れ込んでくるようだ、これは、俺が殺された時の記憶?ナゼ?今

 流れ込んでくる?そうか俺は後ろからずぶりと・・・・・違う!これは俺の記憶じゃない!俺の記  憶なら後ろから刺した奴の顔なんて視れるわけが無い!じゃあこれは誰の?俺じゃないのに流れこ

 んで来る気持ち悪い記憶。それに混じって別のナニカが体に流れこんでくる!



 「ぐぅ!くっ!はぁはぁ」



 オイデ オイデ



 木がそう誘っているように思える。



 体がかってに木に向かって動く。



 俺の手が木に触れたとたんに、俺の意識は切れた。










 

 「ん?ここは?」



 「政!起きたか!よかったぁ」



 頭の上から朱里の声が聞こえる。



 頭の下に柔らかいものが当たる。



 これはまさか朱里の膝枕か!!俺は慌ててそこから飛び起きる。その時朱里が残念そうな顔をして

 たけど、俺はきずかなかった。



 「政どうしたんださっき大木のほうに歩いたと思ったら急に倒れて、って!どうした!目が赤いぞ

  !!」



 俺の目が赤い?あれ?そういえばさっきのナニカはもう流れ込んでこない?どうして?でもとりあ

 えず、



 「朱里、ごめん迷惑かけて、それから有難う」



 「う、うん///だが本当に大丈夫か?私は政の体が心配だ。今日は帰ってゆっくり休もう」



 「悪いな」



 「きにするな。(政に膝枕できただけで私は満足だ)」



 俺達は家に帰るために足を進めた。



 


 それにしても何か体に違和感が感じるな。たとえるなら魚の骨が喉に刺さって抜けないような違和  感が。



 

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