第44話 ユウキVSユウキ
「クローンかぁ。
最近の科学の進歩の速さには驚くなぁ。」
ユウキは自分のクローンを前にして、ちょっと感動していた。
ちなみにユウキの乗っている氷は、直径200メートル位の大きさだ。
「それにしても、本当にそっくりだ。」
今のユウキには、感動と好奇心しかない。
すると、クローンがジャックナイフを構えた。
危うくユウキは戦闘中という事を忘れかけていた。
(けど…俺のとりえは逃げるくらいだしなぁ…)
すると、クローンがナイフを振り回しながら近づいてきた。
「ギャアアアアアアア」
思わずユウキは走り出す。(逃走)
しかし、氷の上だから思うように走れない。
ツルッ♪
「あっ」
滑って転んだのは……
『いてて』
クローンだ。
「よし、今のうち。」
俺はバッグを探ってみた。
そして見つけたのが、
キャラメル、コーヒーの空き缶、スタンガン、カッター、尖った石、ジュース、アラバの逆鱗
「なんかくだらないものが多い気がする…」
シュッ!!!
「のわっ!!!」
クローンが投げたジャックナイフを、ギリギリかわした。
この時、何故か俺はひらめいた。
まず、空き缶に海水を入れ、クローンめがけて投げた。
「オラッ!!」
カンッ♪ ビシャ!!
缶は弾かれたが、見事に海水をかぶってくれた。
「くらえスタンガン!!」
俺は電源を入れ、クローンに投げようとして、
ポロッ
落とした。
スタンガンから発生した10万Wの電流が氷全体に広がり、ユウキの体とクローンの周りに付着している海水(塩水)を通った。
「『アバババババババババババ』」
シュ~~~~
氷の上には、黒焦げのユウキとクローンがいた。
しばらくの沈黙の後、クローンが殴りかかってきた。
ユウキは、クローンのパンチを避け、なんとなくクローンの腹を殴ってやった。
グモッ
完全に入った。
「・・・」
『・・・』
ドサッ
クローンが倒れた。
「あれ、勝っちゃった?」
実感がわかないユウキ。
そしてユウキはなんとなく精神にのっとり、なんとな~くクローンを海に捨ててみた。
浮かずに沈んで行くクローン。
それをじっとユウキは眺めていた。




