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不老不死(要旨のようなもの)

不老・・・老いはしないが死ぬ

不死・・・死なない

不老不死とは、何時迄も年を取らず死にもしないことを指す。(広辞苑)

本研究は、不老不死思想を権力構造および文化的伝承の両側面から再検討することを目的とする。従来、不老不死の追求は死への恐怖に基づく個人的欲求、あるいは道教的信仰として理解されることが多かったが、本稿ではそれを統治構造および文化的表象の問題として捉え直した。中国古代においては、秦の始皇帝や漢の武帝が不老不死を国家的規模で追求したことが知られており、これらの行為は単なる信仰ではなく、支配の永続性を志向する政治的実践として位置付けられる(1)(2)(3)(4)。特に秦においては、皇帝個人に権力が集中する統治体制が採られており、支配者の死が国家の不安定化に直結する構造が存在していた。このような構造のもとで、不老不死思想は統治の持続性を補完する役割を担っていたと考えられる(2)。一方で、不老不死は権力者が固有に求める現象ではなく、日本の『竹取物語』のような文学作品においても繰り返し描かれている(5)。同作品では、不老不死の薬は最終的に放棄されるが、この結末は単なる否定ではなく、不老不死という観念そのものを後世に伝達する装置として機能している可能性があると考えられる。以上より、不老不死思想は一方では権力の永続を志向する政治的機能を持ち、他方ではその限界や矛盾を物語として後世に伝える文化的機能を併せ持つ二重の性格を有していると結論付けられる。本研究は、この二重構造に着目することで、不老不死思想を従来の宗教的・文学的枠組みを超えて再定位するものである。

(1) 司馬遷『史記』中華書局、1959年(原典は前漢)

(2) 吉川忠夫『秦始皇帝』講談社学術文庫、2002年

(3) 福永光司『道教思想』岩波書店、1982年

(4) クリストファー・シッパー(秋月観暎訳)『道教とは何か』平凡社、1993年

(5) 『竹取物語』岩波文庫

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