11.デビュー戦
「ベ、ベベベ、ベベベベルさんは! オレがま、まま、守るっス!!」
ベがずいぶんと多い。
震える手で剣を抜き、盾を構えたティモを見上げて、私が一番最初に抱いた感想はそれだった。
アロイ、セロ、ティモ、私の4人パーティと考えた場合、剣士であるティモが前衛に出るのは間違っていない。そもそもティモ以外は全員後衛職なのだ。
ただ、優先順位を考えた場合は、アロイを一番に守るのが正しいと思う。回復術師が倒れなければ立て直せるチャンスはあるのだから。
(とはいえ、これは……)
私は、少し離れた位置にいるセロにちらりと目を向けた。
セロは左手に弓を持ち、右手に矢を2本持っていたが、まだ構えてはいなかった。顔は余裕そうだ。
私はそのまま、自分の後ろに立っているアロイにも目を向ける。
アロイは油断なく前を――私を通り越して、私の前に立っているティモも通り越してさらにその先を見つめているが、まだ緊迫感はない。
――フェデリカとリナが首都へ向けて出立してから4日後、私たちは予定通り採集に来ていた。オスロンの東門から出て天馬で2時間ほどの場所だ。天馬に乗っている間は魔力を消費するので、途中で少しずつ休憩を挟んでいる。まだ天馬を持っていなかったティモは、アロイが後ろに乗せてきた。
オスロンの街を東西に貫くオスル川を遡るようにして飛行し、オスル川に合流する幾本もの川のひとつをさらに遡った山間、少し開けた川原で天馬を降りたのは、お昼の少し前。各自で持ってきていたお弁当を食べ、川の中でマレード貝を採集した。私とアロイが貝を採集している間に、セロは器用に弓で漁をしていた。岩の上から川底に向けて、紐をくくりつけた矢を射ると、ほどよい大きさのカワマスが水面に浮かび上がるのだ。
何匹かの魚を確保して、それをさばきながら、セロはティモに野営の準備をさせた。
私とアロイが採集を終えて野営地に行くと、ティモはまだテントの設置に四苦八苦していた。セロが魔法の収納袋に入れて持ってきたのは3人用のテントだ。1人用のものよりは大きいが、骨組みは魔道具になっているので、展開させて固定したら、布をかぶせるだけでできあがる。
どうやらティモは固定が不十分なまま布をかけようとしているようで、布を引っ張るごとに骨組みがずれたり傾いたりして苦労していた。
「先に固定するんだ、ティモ」
アロイも私と同じことに気づいたようで、そう声をかけながら手伝いに行った。
「あざっス! このテントって4人寝られるんスか?」
「3人用だよ」
「え、つまり……新人のオレは外で……」
「違うよ。1人ずつ夜の見張りをするんだから眠るのは常に3人だろう」
「あ、そっか。そっスね」
「2時間ごとくらいで交代するんだ」
「2×4で……8時間寝られるんスか!」
「6時間だよ」
「え?」
アロイとティモのやりとりが聞こえてくる。
私はその近くで、野営用の魔石コンロと鍋を出して、採集したマレード貝の煮沸を始めた。マレード貝は子どもの手のひらほどの楕円形をした二枚貝だ。内側が紫色を帯びた真珠層になっているので、螺鈿細工に使われる。私も魔道具の装飾に使ったりするし、真珠層部分を粉末にして素材のひとつにすることもある。
「野営の準備は終わったか?」
さばいたカワマスを入れた浅い鍋を手に、セロが戻ってくる。
まだ日が傾き始めたばかりだが、屋外では、暗い中で作業をするのは不便なので、早めにいろいろと済ませる。今日も、日が暮れるまでには食事と後片付けを終える予定だ。
「テントに少し苦労していたようだけど、もう終わったみたいだよ。もう料理始める? 先にお茶で休憩しようか」
そう声をかけると、セロはあたりを軽く見回して、途中で何かに気づいたように動きを止める。
「その前にひと仕事あるかもな」
「何かいた? そういえば、獣除けの魔結晶をまだ使ってなかったかな」
マレード貝を入れた鍋はもう沸騰している。私はコンロの火を一度消して、立ち上がった。羽織っただけだった上着の前もきちんと閉じる。
私とアロイが着ているのは、お揃いというわけではないけれど、どちらも布製の上着だ。軽い金属繊維を織り込んだ防刃布で作られていて、強化魔法もかかっている。軽くて柔らかいが、防御性能は悪くない。
セロが着ているのはそれよりもう少し丈夫なものだ。防刃布を裏地に使っている革製の上着で、胸や腹、首回りなど重要な部分は薄手の革でさらに補強されていた。先日のグレートベアの件でも、そのおかげで致命傷にはならなかったというから、上着の防御性能は大事だ。ただ、その一度で上着は駄目になってしまったらしいので、大型の肉食獣相手にはやはり性能不足だったのだろう。とはいえ、それ以上頑丈なものを着ると弓を引くのに邪魔だというので、結局また同じ性能の上着を仕立てている。
背中に背負っていた弓を手に取りながらセロが呟く。
「どうすっかな……予定とは違うが……」
「予定って、ティモの魔獣狩りデビューの?」
そう聞いてみると、ああ、とセロは頷いた。
「本当は明日、ケナガイタチの巣を探そうと思ってたんだ。ただまぁ、これがデビュー戦でもかまわねえだろ」
言いながらセロは、荷物から寝袋を取り出しているティモを見た。
ティモが着ているのは、セロの上着よりも少し頑丈そうに見える革鎧だ。ただ、まだ駆け出しもいいところなので、装備にあまりお金をかけられていない。最低限の防刃性能があって、鉄板で重要部分の補強はされているが、間に合わせの既製品なので実際の防御性能はセロのものよりも若干劣るだろう。
自分の戦闘スタイルや、武器の扱い方、体の動かし方の癖を把握した上で、何度か戦いを繰り返してから、納得のいくものをオーダーする者が多い。多少、懐に余裕があれば、最初から少しいいものを着る。自分専用の鎧をオーダーする前に命を落としてしまっては元も子もないからだ。
「アロイ、ティモ、仕事だ。特にティモ。地面に置いた盾を拾え」
セロの言葉にアロイが先に反応する。テントの布を微調整していた手を止めて、腰に下げていた棍を手に取る。金属製の細長い棍で、軽くするために中空の構造になっている。要はアルミ合金のパイプだ。使い慣れない者が刃物を手にするのはむしろ危険だし、かといって自衛の手段がないのも困る。魔術師や回復術師が多く使う武器が、手頃な長さと太さの棍だ。
「魔獣かい? ……本当だ。少し匂うね」
鼻をくん、と鳴らしてアロイが言う。獣臭が風にのって漂ってきたのだろう。
私も一応、武器を用意している。私が持っているのは堅いクロカシの木で作った短い杖だ。先端に魔石を埋め込んである。魔法自体は杖が無くても使えるが、攻撃魔法に限っては杖の先端から発射するイメージで使ったほうが精度が上がる。魔石が命中精度を補助してくれるのだ。
ティモは慌てて盾を拾ったはいいが、自分がどこに立てばいいのかわからないでいるようだった。
「あ、あの! 何があるんスか! どっちから何が来るっスか!?」
左腕に小ぶりな丸盾を装備して、右手に長剣を構えながらティモはきょろきょろとあたりを見回す。
「こっちに来い。向こうの茂みの奥からだ。気配からして小型か中型の魔獣だな。足音を聞く限り、四つ足で蹄はない。タヌキ系の魔獣か、このあたりならアナグマかな」
セロが言うのを聞きながら、私はアロイの近くまで下がった。
「ティモ、いける? セロの推測が正しければ、君が1人でも止められる魔獣だ。君が止められないなら、ベルが足止めの魔法を使うことになるけど、どうする?」
アロイの言葉にティモはこちらを振り返る。
「え、あ! いや、あの!」
初の実戦だ。あわあわしていて動けなかったという話もよく聞く。慌てているティモを見ながら、私は一歩前に出た。
「じゃあ初手は私からいこうか」
「いや!! あの!! オ、オレが出るっス! ベ、ベベベ、ベベベベルさんは! オレがま、まま、守るっス!!」
慌てすぎだ。
左側の茂みがガサリと揺れた。同時に、獣臭さがあたりに漂う。
「【月光の盾、水晶の鎧、邪を撥ね除ける警手たれ】」
初夏の山間、傾きかけた陽の光の下で、私が唱えた守りの魔法が一瞬、きらりと光を反射する。先日、馬車を守ったように、魔力の壁を立ててしまえば安全だけれど、それだとこちらからも攻撃ができないので、1人1人を魔力で守る形だ。
「ティモ、来たぞ!」
セロの声と同時に、茂みから黒い塊が飛び出してきた。ティモの膝くらいの高さだ。ティモが最前線に出て、セロはそこから数歩下がっている。
「フタホシアナグマだ! 頭蓋骨はクソほど堅いからそれ以外を狙え!」
飛び出したアナグマはティモに突進してきた。ティモを狙って、というよりも、おそらく私が下処理をしていた貝の匂いに釣られてきたのだろう。ちょうど、貝の入った鍋とアナグマを結ぶ直線上にティモが立っている。
フタホシアナグマはイノシシくらいの大きさがある魔獣で、真っ黒い毛皮の中で額と鼻筋だけに白い模様があるのが名前の由来だ。そこだけ毛が白いというわけではなく、そこだけ生えていないのだ。角のなり損ないのように、骨化した皮膚が盛り上がって白く見えている。当然、頭蓋骨の中でもそこが一番堅い。
――ガィンッ!
かろうじて差し出したティモの盾が、アナグマの頭蓋骨に当たって硬質な音を立てる。
「う、わ……っ!」
盾ごと弾き飛ばされそうになったティモが重心を下げてこらえる。
アナグマのほうは、突進が止められたとみるや、後ろ足で立ち上がり、両前足を掲げて、「キシャーッ!」と威嚇の声を上げた。長く鋭い爪がぎらりと光る。
さっきかけた守りの魔法は、あの爪を3回くらいなら受けられるだろう。……いや、2回半かな?
少し離れたところにいるセロが、弓に矢をつがえたのが見える。そちらにちらりと視線をやると、セロはまだだと言うように小さく首を振った。
攻撃をしてもいいと言われればいつでもできるよう、私の魔法のイメージはできあがっている。
ティモの様子を見ると、アナグマの威嚇に一瞬ひるんだようだ。
「……ッハァッ!」
荒い息を整えようとして、よけいに呼吸が乱れている。訓練とは違う、そう思っているのが見て取れる。
村で基本を少しかじって、オスロンに出てきてからはまだ15日ほどだ。攻撃を食らってもひるまない訓練、振り下ろした剣を狙った場所に当てる訓練、訓練の序盤はそのくらいか。
もちろん、仲間との連携など頭にあるはずもなく、ティモは周囲が見えていないようだ。
「ティモ! 落ち着け。どこを狙えばいいかわかるか」
セロの声が聞こえる。
ティモにもそれが届いたのか、急にティモが威嚇の声を上げた。
「うぉぉぉーっ!!」
「ギシャーッッ!」
アナグマも負けじと威嚇する。
「狙う……狙うのは……頭が駄目だから……胸の真ん中か腹っス!」
ティモが叫ぶようにして答える。
「間違ってはいない。……やってみろ。駄目だと思ったら俺とベルがその魔獣は仕留めてやる。おまえが怪我をしてもアロイが治してくれる」
「……はいっっっ!!」
セロの言葉に答えて、ティモが剣を振りかぶる。
後ろ足で立ち上がっているアナグマの頭の位置は、ティモの胸の高さほどだ。剣を振りかぶってしまったのなら、そこから腹は狙えない。斜めに振り下ろせば胸元に入るだろうが、爪を構えたアナグマがそれを許してくれるとも思えない。
「ハァッッ!」
右斜め上から振り下ろしたティモの剣がアナグマに届く前に、アナグマの左前足がティモの右手に届く。ギャリッ!と音がしたのは、守りの魔法が爪を防いだ音だろう。
「うわぁあっ!!」
爪による傷は魔法で防がれているが、前足で叩かれた衝撃自体が吸収されるわけではない。ティモは反撃に驚いたように右手を引っ込める。
「ギャァァァッ!」
同時に放たれるアナグマの威嚇に、ティモが一歩後ずさる。
後ずさったティモを見て、アナグマが前足を下ろした。グル……と喉の奥で唸り声が上がる。
「魔法が来るぞ!」
セロの声に、私とアロイは顔の前に腕をやって衝撃に備える。フタホシアナグマはさほど強い魔獣ではないので、使う魔法の威力もたかがしれている。私がかけた守りの魔法で充分に威力を吸収できるだろう。ただ、確かこの魔獣は石つぶての魔法を使うはずだから、ダメージを食らわないにしても頭や顔に当たるのは、集中の邪魔になるのだ。
「グルル……」
四つん這いになったアナグマの唸り声に合わせて、周囲の砂利や土塊が浮かび上がる。
「ガァッ!!」
アナグマが一声吠えると、浮かんでいた砂利や土塊がこちらに向かって飛んできた。ビシビシッと私たちの周囲で守りの魔法が削られる音がする。
「うわ、わぁぁあっ!!」
ティモの悲鳴が聞こえた。
「ティモ、目をそらすな! 戦ってる最中に目を閉じるやつがいるか、馬鹿野郎!」
ティモの悲鳴が終わらないうちに、セロの怒鳴り声が響く。
私がセロに視線をやると、セロは頷いて、自分も弓を引き絞った。
「ティモ、下がれ!」
「うわ、ひゃ、ひゃいっ!」
多分、「はい」と言いたかったんだろうと思う。
「【竜の息吹たる炎、矢となりて奔れ】」
ティモが後ずさるのに合わせて、私はイメージしていた炎の魔法を杖の先端から発射する。赤紫色の炎がねじれるようにして地面を舐め、アナグマの胸元に入ってそこで弾ける。同時にセロが撃った矢が首筋に刺さった。
「ギギャァァァッ!」
アナグマが炎と矢の衝撃に思わず立ち上がる。
「【氷の蛇、二重の螺旋、突き抜けろ】」
二撃目は私の氷魔法が着弾するよりも、セロの矢が放たれるほうが早かった。セロの矢も私の魔法も、アナグマの心臓を貫き、アナグマはそのまま声も出せずに絶命した。とどめの一撃に氷魔法を使うのは、そのほうが断末魔を聞かずに済む可能性が高いからだ。致命傷を与えた心臓を中心に、一気に凍らせることで最後の息が出てこなくなる。呼吸が止まれば悲鳴も止まる。
絶命したアナグマがその場にくずおれるのを見たティモが、うへぇ、と尻餅をついた。
「お、おお、終わった、んスか」
「終わったよ。ティモは怪我ない?」
私がそう聞くと、ティモはぶんぶんとものすごい勢いで首を縦に振った。
「な、ななないっス! え、オ、オレ、なんもできなかったっスね!?」
「最初の突進は止めたじゃねえか。反応速度は悪くなかったぜ?」
言いながらセロはアナグマの死体に近づく。自分の腰からナイフを抜くと、アナグマの首筋に突き立てた。ごろりとアナグマの体を転がして角度を調整してから、滑らせるようにナイフを抜く。アナグマの首から大量の血が流れ始めた。
「セロさんは……何をやってるんスか。それがとどめっスか」
「ちげぇよ、血抜きだ。こいつの肉は食えるからな。あまり高くはねえが毛皮も売れる。明日の午前中は解体だ。ティモにもやらせるからな」
「うへぇ……」
あはは、と笑って私は結界の魔結晶をアナグマの上に放り投げた。薄緑色の半球がアナグマを包む。血のにおいで他の肉食獣が寄ってこないための処置だ。ついでに獣除けの魔結晶も投げておいた。
テント前に戻るとアロイが、カワマスの入った浅い鍋を手に持って立っていた。
「今回は僕の仕事がなかったようだから、料理くらいは僕がやるよ」
そう言って笑うアロイに、セロも笑った。
「臭み消し用の塩は振ってあるから、軽く流してから味付けしてくれ」
「了解」
アロイは鍋の中の魚を水で洗うと、自分の荷物から芋をいくつか取り出して、皮ごと浄化の魔法をかけた。携帯用のカッティングボードの上で手頃な大きさにカットしてから、そのまま鍋に放り込む。その他、いくつかの調味料を入れているようだが、意外と手際がいい。普段、家では全て料理人にやってもらっているはずなのに。
ティモはそれを見ながら、大きくため息をついた。
「はぁ……オレも……なんもできなかったっス……」
「初めての実戦はみんな、あんなものじゃないかな。というか……傭兵ギルドで教えてくれる人、ひょっとしてハリソンっていうおじさん?」
鍋を火にかけながら、アロイが聞く。
「そうっス。……知り合いっスか?」
「ああ……やっぱりかよ」
笑いを含んだ声を出したのはセロだ。アロイも同じように笑みを浮かべている。
「ハリソンは僕とセロがギルドで護身術を習っていた頃に指導してくれた人でね。実戦で覚えていけっていう主義だ。その分、初心者にはある程度技量のある人をサポートにつけるんだけど、ティモは傭兵ギルドで僕らの名前を出したことがあるんじゃない?」
「そうっス。ハリソン先生に、冒険者の知り合いはいるかって聞かれたんで、初日にみなさんと少し話したことを言ったっス。……まずかったっスか」
大きな体を少し縮めるようにして、ティモがアロイとセロの顔を見る。
「まずくはねぇけど、それを見越しておまえは『行ってこい』って放り出されたんだよ」
セロが笑いながら肩をすくめる。ハリソンは私の知り合いでもある。後衛3人の私たちにティモを放り込めばちょうどいいと思ったのかもしれない。
「ところでさ、ティモ」
私はティモにそう声をかけた。
鍋からはいい匂いが漂い始めている。バターとガーリックと味噌の匂いだ。
「はいっ!」
「後衛を守るのはいいとしても、一番に守るのは私じゃなくてアロイのほうが、戦術的にいいと思うよ?」
回復術師を守ったほうが……と言おうとしたら、ティモに遮られた。
「でも! だって、ベルさんは女の子じゃないっスか!!」
「……え?」
「女子をま、まま守るのは当然っス!」
ティモは私から目をそらして、なぜか遠くの山のほうを見ながらそう叫んだ。ティモの顔は赤くなっている。
「ぶ……はっ!」
セロが吹き出す。
「……くっ……くくっ……!」
アロイは下を向いて肩を揺らしながら笑いをこらえている。いや、こらえ切れてない。
「あの……ティモ……」
そうか……言ってなかったか。
申し訳ない気持ちになりながら、私は切り出した。
「なんスか!」
ティモは照れたように、まだ山を見ながら返事をする。
「言ってなかったかもしれないけど、私の本名はベルナールと言って、中身はおっさんなんだよね……」
「…………は?」
ティモはゆっくりとこちらを見た。
でも今度は私のほうが目をそらしてしまう。
「あの……リナっていたじゃん」
「あ、はい。リナさん。背の高い……」
「あれが私の体で、リナと私は体と魂が入れ替わっててさ……」
「………………はぇーー!??」
いや、すまない。
本当に、すまない。
ミス修正(20240921):西門→東門でした…




