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緋月 『ごめんねが言えなくて』

作者: 物語のあるリボン/いろいと

物語のあるリボン作家『いろいと』です

私の作るリボンには、1つずつ名前と物語があります

手にとって下さった方が、楽しく笑顔で物語の続きを作っていってもらえるような、わくわくするリボンを作っています


関西を中心に、百貨店や各地マルシェイベントへ出店しております



小説は毎朝6時に投稿いたします

ぜひ、ご覧下さい♡



Instagramで、リボンの紹介や出店情報を載せておりますので、ご覧下さい

hhtps://www.instagram.com/iroit0

どんよりした薄い灰色の雲は、私の気持ちを一段と沈めてくれてる

いつしか薄い灰色の雲は、どっしり重く覆いかぶさるように、濃い灰色の綿あめになって私を見下ろす

今にも雨が降りそうな雲と目を合わせながら、ふーっとため息をついた

『ごめんねって言えるかな』

ぽつり呟く声に反応したのか、空から一つ雫が落ちて私のほっぺたをつたっていく

次第に増えてくるその雫は、いよいよ本格的な雨へと変わっていった

雨が降るかもしれないと、折りたたみ傘を持って出たのは正解のようだった

パラパラと音を立てて傘の上に落ちる雫

広げた傘の先から落ちる水滴を、私は手のひらで受け止めた



しばらく街中を歩いていた私は、大通りから外れ路地裏へと体を向ける

生暖かい雨を少し鬱陶しく感じながら、ふと目に止まったカフェへと足を運んだ

黒い格子のシックな外観に、丸太を斜めにスライスしたであろう大きな木の看板が印象的な今時の建物

看板には〈BOOK cafe〉と書かれていた

中へ入ると、壁一面にズラリと並ぶ本とオレンジ色の間接照明が、よりモダンにゆったりとした雰囲気を醸し出していた

窓際の席が空いていたので、私は本棚に飾られた『緋月』を見ながら席へと着く

席に着いた事を確認した店員は、レモンの入ったお水とメニューを置いて、本は好きに読んでいいと説明し持ち場へ戻っていった

上品なジャズのメロディーと本の香りに、大学生2回生の私は、自分が特別な大人になったように感じてしまう

フラッと寄ったカフェで思わぬ新しい気分を味わい、姉とケンカした事も忘れてしまっていた



ケンカの発端は、5つ上の姉が大切にしているマグカップを割ってしまった事

いつもなら謝って済む話なのだが、推しのマグカップだった事が良くなかった

限定のものだの、いつもがさつだの、虫の居所が悪かったようで他愛のない話から大喧嘩に発展してしまったのだ

結局、そのまま姉は彼氏と出かけてくると言って昨日から帰って来ないまま

謝り損ねた私は代わりになるマグカップを探しに行き、今に至る

紙袋から先程買ったマグカップを取り出し、コップの中へ姉の推しのキーホルダーを入れようとしたタイミングで声をかけられた

『ご注文お伺いいたします。あっ!私もそのアーティスト好きです、かっこいいですよね』

注文を取りに来た店員さんが目を輝かせながらキーホルダーを見ている

『姉が好きなんですけどね、大事なマグカップ割っちゃって、これ持って謝ろうと』

『そうなんですね、仲直り出来るといいですね』

『はい、ありがとうございます』



紅茶を頼んだ私は、しばらく本と紅茶を楽しんだ

ふと外に目を向けると、いつの間にか雨は止み大きな虹が青空を彩っている

隣の椅子に座っている紙袋を見つめ一つ深呼吸

『お姉ちゃんごめんね』

よしっと、私は本を閉じ席を立った



最後まで読んで下さり、ありがとうございます


色々なお話を書いておりますので、どうぞごゆっくりとしていってもらえると嬉しいです


また明日、6時にお会いしましょう♪

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