老人ホームの夜勤中に起きた不思議な事
『虫の報せ』って言葉がありますよね。
辞書によると『何の根拠もないのに、よくない出来事が起こりそうだと心に感ずること』というらしいです。
オカルトだと急に嫌な予感がしたと思ったら親戚が亡くなっていた、とかありますよね。
介護業界も結構幽霊とかが多いと聞きはしますが今の所、遭遇はしていません。
怖がりだからしなくて問題ないのですが……
さて、そんな私ですが不思議な体験をしたことはあります。
かつて所属していた部署は一人夜勤でした。
結構広大な敷地内にある特定の居屋を巡回していき安否確認や排泄介助をするという形式です。
さて、介護の夜勤をした事がある人ならある程度わかるかもしれませんがやはり、利用者を回る『順番』というのがある程度決まっています。
回る順番などは夜勤者の裁量に委ねられていますが話を聞けば皆大体が同じような回り方をします。
その日、私がある部屋を尋ねると利用者さんが亡くなっていました。
特に調子が悪かったというわけでもなく、急な心不全でした。
ただ、ここで不思議な事が起きていました。
発見したのは夜の20時。巡回を始めて1番に発見しました。
ですが本来ならその利用者さんの居室に到達するのは22時頃、一番最後のはずなんです。
申し送りで何か特別な事があった?違います。
その人の近くの利用者に特変が?違います。
何故、その部屋を一番に選んだのか?
事件性は無いので問題はありませんでしたが仮に警察に事情聴取とかされても説明できないんですよね、
更にもうひとつ、説明がつかない事がありました。
その方にする介助はパッド交換でした。
声をかけ、オムツ内のパッドを交換するという流れなのですが、基本的に声をかける時は常夜灯のままです。
本人の許可を得てから明るくするという流れなのですがその日は何故か『いきなり明るくした』んです。それで息を引き取って顔が白くなっている利用者さんにすぐ気づいた、というわけです。
はい。これも全く説明できません。
何で声もかけずにいきなり電気をつけたのか。しかも最も明るいレベルまで……
それで、これも所謂『虫の報せ』てきなものなのかなぁと。
早く発見して欲しい、真夜中になる前に子どもを呼んで欲しい。
そんな想いに誘われ私は説明がつかない動きをしたのかなぁと思いました。
その後、そういった不思議な事は起きていません。
だけどあれは本当に、説明できない動きだったので首を傾げました。