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紅蓮の盾の誤算だらけの顛末11

 俺は自国に戻り、自分の役目を果たすことに邁進した。死んだと思われていたので自分の地位には後任が就いていてもおかしくなかったのだが、俺は再び隊を率いる『紅蓮の盾』として認められた。ロイドが俺がいつ帰ってきてもいいようにとその地位を空けていてくれたおかげだ。不在時の穴を埋め足場作りを固めている傍ら、彼女の動向にも注意を向けていた。


 ゲートやジベルの屋敷で暴れたことに対してそれなりに罰を受ける覚悟でいたが、リランジュールも自国でも何も触れられなかった。最初から何も無かったようにされて気味悪さを感じるぐらいだった。更にリランジュールのこちらへの態度が軟化した。こちらを格下扱いしていたのに急に友好的になった。

 探らせていた間者によれば、腑抜けになったジベルの影響力が弱まったことや『聖女』がリランジュールと何らかの取引をしたらしい。


 マナが神聖力で可能なことを取引材料にしたことは想像に難くない。ただ俺は、彼女が自分自身の幸せの為だと言ったことを信じていた。


 そして彼女がリランジュールからも消えた時も、すぐに俺の前に現れるだろうと信じていた……………信じていたが、俺の気持ちが付いていかなかった。


「ノア?」

「しばらく留守にする。悪いが後のことを頼んだ」


 旅支度を調える俺を、ロイドは眺めていたが諦めたように首を振った。


「いいけど……………探すあてはあるのか?」

「……………………」


 わからない。だが今度こそ見つけたら絶対離さない。彼女が嫌と言っても聞かない。俺は本当にずいぶんと待った。


「ノア、大丈夫か?」

「大丈夫じゃない」

「見つけられなかったら、どうするんだ」

「必ず見つけるさ」


 マナを迎えられるように屋敷に彼女の部屋を整えた。彼女が作った庭は管理にも力を注いでいるし、働くことが好きな彼女の為に敷地内に店も建設中だ。

 考えてみれば、自分のやってることは病んでるな。


「ロイド、俺を殴れ」

「へ?」

「どこでもいい…………いや、こことかここを殴れ」


 自分の腹や背中を指差す俺に、ロイドは憐れむような眼差しをくれた。






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