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無事に送り届けてもらい、改めてお礼を告げた。

自宅に着いて電気もつけず、ベランダへ向かい、煙草を一本吸った。

片手でスマホを開き、LINEを開いてみたが、彼女に何をどう伝えたらいいのかわからず、一旦閉じた。


眠ってしまえばきっとまた僕は沢山のことを考え始めてしまう。

あの時僕に会いにこなかった彼女のことを考えると、メッセージを送るなんて迷惑なことかもしれない。

本当は僕のこと好きじゃないのかもしれない。

僕は彼女とバンドどっちが大事なんだろうか。とか。

せっかくメンバーがあれだけ真剣に話を聞いてくれて、背中を押してくれたんだ。

何もせずに引き下がるわけにはいかない。

煙草を吸い終わったタイミングで、もう一度LINEから彼女とのトーク画面を開いた。

メッセージに、文字にしたらきっと上手く伝えられないだろうから、僕はもう一度会うべきだと思った。

「こないだは、沢山話してくれてありがとう。

君の話を聞けて嬉しかった。もう一度だけちゃんと話したい思うんだけど、会えないかな?」

そう打ち、送信ボタンを押そうとして一旦踏みとどまった。

本当にこれでいいのか。こんな内容でいいのか。

その後、どれくらいの時間をかけていたのかわからない。

何度も何度も書いては、また消して。

ああ、こういう歌詞あったなあ。

flumpoolの388859っていう曲名だった気がする。あれはさよならって意味だったんだよなあ。

あの時は全然共感できなかったけど、今ならすごくわかる気がする。と、懐かしくなったりして。


結局、僕は何も言えなかった。

ただ、あるバンドの曲を彼女に送った。

高校生の僕と同じように。


mol-74「アルカレミア」


あの頃と違って彼女はとても音楽に詳しくなっていて、もしかしたら知っているかもしれない。

それでもよかった。

この曲を聴いて、少しだけでも何かを感じ取ってくれればそれでいい。

そして、何か言ってくれるのを待ってる。

何年も先じゃなくて、遠い距離じゃなくて、すぐ近くにいる僕に。

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