2、バランスボールでダイエット方法
「ひぃやぁーーーー!!!」
恋に恋する乙女らしからぬ叫び声を上げながら、ドタバタと木々の間を縫って全力で走ってます!
相手は猪突猛進型!なら例え足が遅めの私でも、ちょこまかと方向を変えながら走れば逃げ切れるはず!!
••••と、思っていたあの時の私に一言
動物の俊足、舐めるんじゃない!!!
相手を振り切るつもりが、完全に追い詰められ求愛を受けるなんて•••
チラリと後ろを見ると、バンジージャンプが出来そうなほど底の見えない崖。
いきなりこんな所に飛ばされて、志半ばで死ぬなんてご免なんだけどーー!!
前面のストーカー、後面のバンジー•••
これ、私詰んでない!?
ストーカー君はジリジリと私にすり寄って••イヤン
私のタイプはそんな目を充血して涎を垂らすような贅肉たっぷりの人では、断じてない!
あなたはバランスボールにでも乗ってボディーをシェイプアップする事を勧めます!!
そんな心の叫びと同時に突進してきたストーカー君に掌を前へ出しギュッと目を瞑った。
心の中でストーーップ!と言いながら
「ギュオオオオオーーー!!!?」
ストーカー君の叫び声が焦ったような叫び方になったのを不思議に思い、恐る恐る目を開けた。
するとどう言う事か、ストーカー君の足元には心で叫んだダイエットグッズの定番、バランスボールが顕現しており•••
結果、玉乗り猪になったかのような光景が目の前にあった。
しばし呆然としたが、ハッとして
バランスボールに動けーと念じて崖近くまで転がすイメージを想像してみると、玉乗り猪ストーカー君がサーカス団も思わずスカウトしたくなるような、見事な玉捌きを見せた。
そして崖まで玉乗りしてきたストーカー君。
あなたの気持ちは受け取れません。
罪な私を許して下さい•••
さぁ、そのまま御退場お願いします。
手と手を合わせ合掌してお見送り。
「ギュオオォォオーー!!!」
まるで告白に断られ泣きながら去り行く男子が「ちきしょーー!!!」と言っているようだ。
夕日に向かって走り去ったストーカー君を見送って思った。
私はまだ•••生きている!
よく分からないけど私も愛用したバランスボールよ、ありがとう!!
バランス取れなくて、いつの間にかお尻に優しいソファーになっていたけど、これからも大切に座らせて頂きます。
ストーカー被害から生き残った事で少し落ち着きを取り戻した。
そして考える。さっきの摩訶不思議な現象を。
熱烈なキッスを私に迫ってきていたストーカー君に、バランスボールでのシェイプアップを勧める事を考えたら••••。
出てるね。目の前でボヨンボヨンと跳ねてるね。
次にイメージしたら転がったんだっけ?
イメージ•••どんなイメージにしよう••••
あっ!あれにしよう!!
「ヒャホーー!これは楽チンだー!」
バランスボールに乗ってゴムチューブの持ち手部分を足にかけ、チューブを伸ばしお馬さんごっこの格好でボヨンボヨンと跳ねて森を軽快に進行中!
移動も出来て内股や腕を鍛えられるかも?と思ったけど、イメージ通りになるせいか全く負担がかからない!!
こんな楽チンなダイエットならずっと続けられるなぁ〜
軽快に進行している途中で、視界が開けた場所に出た。
ここで休憩しようと思って愛馬に任命したバランスボールのバボ君を降り、ナデナデ。
「バボ君すごく助かったよー!ありがとう」
バボ君はボヨンボヨンしてから消えた。
何て手のかからない馬を手に入れてしまったのだろう。
返礼品の次に大好きだよ。
さてさて、こんなにも思いっきり楽しんでいるけど•••
これ、あれだよね?間違いなくあれだよね??
異世界ってやつだよね!?
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