10、狸的精神ダイエット失敗の方法
私が再び寝込んでいる間に夫婦は嬉々として子供部屋を作ってくれたようで、目覚めてからはその部屋で寝泊りしている。
そう、子供部屋だ。
狸を持っていた事で、狸好きと見なされたのかそこかしこに狸柄の物が見え隠れ。
それにキューちゃんは大喜びして凶器な体を使った喜びのダンスを披露。
思わず笑ってしまったけど、感謝を込めて2人にダイビングハグ!
そして思った。ここまでしてくれる2人だから、魔法の事も話しておいた方が良いよね?
「キューちゃん、魔法は皆んなが使えるものなのかな?」
『んー••、種族的な問題で使えない者もいるであろうが、大抵の者は使えるであろう。』
なるほど。それじゃ、2人に話しても何ら問題はないのかもしれない。
あれ?そう言えばキューちゃんを普通に受け入れているけど、何とも思ってないのだろうか?まさか、飲み食い出来る縫いぐるみとは思うまい。
「ビ••お義父さん、この狸の事なんだけど•••」
家族となったからにはビーンではなく、お義父さんと呼ぶようにと言われたが照れ臭くて今だビーンさんと呼びそうになる。
だけどそう呼ぶと捨てられた子犬のような目で見てくるので、居た堪れなくなるのだ。
そんな事を思いながら呼びかけ、キューちゃんの事を聞いてみた。
「ん?どうした?その狸はマオの契約獣だろ?大丈夫だよ。取りあげたりなんかしないから。」
契約獣とな??何だそれは???
「契約獣の証拠にプレートがその獣の形になるんだよ。
だから、ひと目見て分かるんだ。
私達の子になってくれたから、シラタキだっけ?前雇用主の名前も消えているだろ?」
説明聞いた後から見ても、首から下がっている幼児プレートは幼児プレートとしか見えない。
確かに白滝•••白崎!の名字がいつの間にか消えていた。
でも、異界神様文句言ってごめんなさい!
それにしても、キューちゃんと契約した覚えが全くないんだけど?
『うむ、山から下りている時にマオから不穏な気配を感じて吾の魔力を分け与えたから、それが契約とみなされたのかもしれぬなぁ〜』
今日も今日とて腕狸になっているキューちゃんすら理解していない謎な契約。
不穏な気配とは、あのバーナードキューちゃんと言う負荷付き下山ダイエットの最中、あまりの苦しさにキューちゃんを捨ててやろうかと思ったけど•••その事か?
魔力とは何だ?何も変わらなかった気もするが??
『マオが楽になるよう一回り小さくなったではないか!
それから、心が落ち着く癒しか体力補助か迷ったが、マオが吾に無体を働かないよう癒しをかけてあげたのだぞ!』
気を遣ってくれるなら一回りでなく元の中型狸を望みます!
バーナードキューちゃんが一回り小さくなったところで分かるわけない!!
それに自分の為を思うなら是非とも補助でお願いしたかった!!!
キューちゃんを恨みも込めてグリグリと脂肪を揉み出す如く揉みくちゃにした。
体重は変わらないが、心が痩せこけた気がする。
だが、魅惑のチャイムが鳴らないところをみると•••どうやらダイエットではないらしい。
「マオところでな、お前はまだ教会の洗礼を受けてないようだから受けに行かないか?」
んん?今日はやたら分からない事が多過ぎて困る。
「教会の洗礼?何するの?」
分からない事を素直に質問しただけなのに、お義父さんは物悲しげな表情となり
「お前を雇ったやつは、そんな事も教えてくれなかったんだな•••。
いや、私達がいるんだ!
こらから一緒に色々覚えていこうな。」
何やら決意を新たにして、頭をナデナデされてしまった。
何食わぬ顔したキューちゃんも、私の頭に擦り寄りお義父さんにナデナデしてもらい満足気な表情をしていた。
いや、ナデナデは嬉しいが結局洗礼とはなんぞな!?
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