1、恐怖ダイエットの方法
「あぁ〜、早く届かないかなぁ〜♪」
私の名前は白崎真央、恋に恋する23歳。
黒髪にミディアムヘアで身長は148㎝、体重は54kgの私は、はっきり言って小太りです。
それでも気にしない!
何故なら、あれに出会える為にはこの我儘ボディーが必要なのだから!
そんな私が今恋焦がれて待っているものは•••
ピンポーン
「きたーー!待ってましたぁー!!
インターホンが鳴り、小躍りしそうな足取りで玄関まで行った。
「すみません、シュリムイカイからの返礼品をお届けに参りましたー」
そう!それは返礼品!!
何の返礼品かと言えばーーー
ピロン♪
返礼品が届いた事の確認メールを開いて、思わず胸が高鳴った。
"ダイエットモニター100回目、ありがとうございます!白崎様には特別な返礼品を送らせて頂きます。素敵なダイエットライフをお送り下さい。"
そうなのです!ダイエットの返礼品を待っていました!!
私の趣味はダイエットとダイエットモニターになる事!
そして素敵な返礼品を貰う事が生き甲斐!!
それにしても、100回目だったのか〜
特別な返礼品って何だろ•••?
あぁ!胸がトキメキ、楽しみでワクワクが止まらない!これが恋と言うものなのね。
はぁ〜、この瞬間の為に辛い運動にも手軽なサプリにも、涎が止まらなくなる食事制限にも耐えたのだから!!
今もこの会社とは別の会社のモニターで、置き換えダイエットをやってるけどね。
この置き換え用のドリンクの粉末、味が変な気がするんだよね。これはモニターが終わったら、しっかりとアンケートに書かないとだよね!
「ん?でもダイエットライフって•••!?」
返礼品が入っているだろう箱を丁寧に決して傷つける事がないよう、慎重に開けた瞬間
いきなり目の前が激しく光り、思わず目をきつく瞑ってしまった。
光が収まり次に目を開けた時に見たのは••••
「•••はっ?」
目の前には、バカでかい大木の数々。
周りを恐る恐る見渡すも、大木に周囲を囲まれていて••••
「えっ、いやいやいやいや•••何これ•••
いやいや、意味が全然分からないから!」
返礼品だよね?シュリムイカイに恨まれている訳じゃないよね?
これはあれか?3Dで体感出来る映像か何かが送られてきたのか?
心臓がバクバクしっぱなしで、恐怖から小刻みに震えて•••
「脂肪が燃焼しそうな震動だけど、恐怖ダイエット何て初めてだよ•••」
私のそんな呟きすら、この空間に吸い込まれてしまった。
いや、もう認めよう。
森の中にいるって。
だって、足の裏から感じるゴツゴツしたダンゴムシの10倍はありそうな虫を踏んでる感触。
目さえ閉じていれば、マイナスイオンが出ていそうな森の匂い。
時折ガサッと草を踏む動物らしき物の足音。
これが現実でないなら何なのだ!
呆然と上を見上げ木々の狭間からちらちら見える青空を見つめていると、無性に•••
腹 立 っ て き ••••!!
「私の待ってた返礼品は、これじゃなーーい!!!」
思いっきり叫んで幾分スッキリした時
「グオォォォガァァァアーー!!!」
ひぃっ!?何?この腹の底から響く鳴き声!!
ガサガサと草の擦れる音と同時に現れたのは
体長2mはありそうな巨大な猪に似た動物。
よくお肉が刺さりそうな4本牙に、3日徹夜したんじゃと思うほどに充血した眼球。
それが目の前の獲物を熱烈に涎を垂らし荒い息遣いで見つめていた。
嘘でしょ!?誰かこの状況、嘘と言ってー!
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