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最近カテリーナの様子がおかしい。
目が合うとサッとそらされ、しどろもどろになる。
かと思えばなにやら言いたげな顔をして俺の様子を窺う。
その上目遣いの破壊力たるや。
それに、これは、もしかして。
少し前進した…?
「もうすぐだね、誕生日。」
「はっはいっ。」
「パーティのエスコートは私がしても?」
「はい…お願いします…。」
「楽しみだな。これでデートができるね。どこか行きたい所はある?」
「デート…」
「あぁでもリーナが他の男の目に映るのは嫌だな。やっぱり、独り占めしたいよね。」
「ふぇっ!?」
なんだこの反応ほんと可愛いな!
これで期待するなというのは無理だろ!?
前ならただ困ったように笑うだけだった。
もうちょっと、踏み込んでも大丈夫だろうか。
「そうだ、リーナに似合いそうな髪飾りを見つけたんだ。パーティで付けてくれたら嬉しいな。」
「私に?」
「うん。きっと綺麗だよ。」
カテリーナの髪にふれる。
少し癖のある髪がふわふわと揺れた。
「ひゃっ!?」というなんとも可愛い声とともに、湯気でも出るんじゃないかというくらい真っ赤になった。
可愛い、愛おしい。
「カート様は心臓に悪いです…。」
「そうかな。」
「…もしかしてわざとですか?」
「まさか。これでも振り向いて欲しくて必死なんだ。」
「そっそんなに私を好きですかっ?」
恥ずかしさからなのかカテリーナの潤んだ瞳を見つめて答える。
「誰よりも大好きだよ。」
凄い、首まで真っ赤だ。
あわあわとする姿にさらに期待が膨らむ。
「…早く」
「え?」
「いや、なんでもないよ。」
早く、カテリーナの心が欲しい。