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晴天の霹靂  作者: 菊花
本編
8/22

7



重ねられた手。

指先に触れた、私の知らない熱。


「自分でも、まさかって思ったよ。小さい頃から知ってる女の子に惹かれるなんて…。最初は信じられなかった。」



遠い昔、カート様は幼い私の手を引いて遊んでくれた。

優しい手とぬくもり。

でも久しぶりに触れた手は馴染みのあるものではなくて。



「この屋敷に来る度に君を探した。どうすればその笑顔を、君を手に入れられるか…そればかりを考えた。」



気が付くとぐるぐるとカート様の告白が頭の中をまわる。

心臓がドキドキとして落ち着かない。

細やかな訪れは変わらず続いている。

変わったのは別れ際に指先にそっとされるキス。



「…ナ、リーナ!」



恒例になってしまった指先のキスを受け、カート様が帰ったあと部屋でぼうっとしていた私は、自分を呼ぶ声にようやく意識を取り戻した。


「はっはいっ!」

「最近のリーナはぼんやりしてるな。」

「そんなことは…」

「そうか?なんかあっただろ。大好きな兄さまに話してみな?」



ニヤニヤとのたまうお兄さまに白い目を向ける。

なーにが大好きな兄さまよ。

ひとをおもちゃにしてるだけのくせに。


「何かあったとしてもお兄さまにはぜっっったい話さないわ。」

「なんだ。つまらない。」

「…で?なにか御用ですか?」

「いやー?カートが帰ったあとのリーナが面白くてなー。覗きに来ただけ。」


…こっの人格破綻者!



「あいつの人生かかってるし助言してやろうか?」

「カート様の人生?」

「お前のこと一生かけて口説くらしいよ?」

「そんな馬鹿な」

「そんな馬鹿を本気でやるつもりなんだな。さすがに可哀想だろ?」


可哀想と言いながらものすごく楽しそうだ。


「助言はいらないです。」

「そ?じゃあひとつ聞いてもいいか?」

「なんですか?」

「ぼーとしてるときのリーナは何を考えてる?」

「なにって…」



指先にふれるくちびる。微かな吐息。私とはまったく違う少しひんやりとした大きな手。



一瞬で真っ赤になった私を見てお兄さまがニヤリと笑った。











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