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晴天の霹靂  作者: 菊花
本編
5/22

4



カテリーナには断るという選択はない、と告げたが実の所小父上には断られていた。

ありがたい話だが侯爵家に嫁ぐなどあの子には荷が重すぎる…そんなふうに言われ、でも諦められずに賭けを持ちかけた。



モーズレイ家とロックウェル家は夫人同士が仲が良く、お互いのパートナーを巻き込み、それから今に至るまで家族ぐるみの交流をしている。

そこには爵位だのなんだのというしがらみはない。

だがどちらにも遠慮がない、簡単に断れる縁談であることをカテリーナには告げなかった。


卑怯な手段だ。

彼女の、無限にあったかもしれない可能性を潰した。



「首尾はどうだった?」


家に帰り着き自室に入るとモーズレイ家に不在だったレイナードが寛いでいた。


「なんでこっちにいるんだよ」

「なんとなく?リーナが突撃してくるかもと思ってな」

「はあぁぁ」

「お疲れさんーあの可愛い顔に困惑です!って全面に出された感想は?」


さも見ていたかのような質問し、ニヤニヤと俺の傷を抉ってくるこいつは鬼か。


「つらい」


ぶはっ!と遠慮のない馬鹿笑いをするレイナードにいつか報復を誓いソファに座る。


「これからの作戦は?」

「とりあえず当初の予定通りに」

「ふうん?勝算は?」

「ないね」


再び馬鹿笑いを始めた悪友に憮然とする。



当初の予定通り──そう、本来は2ヶ月後にあるカテリーナの16歳の誕生日からアプローチを始めるつもりだった。

幸い家は安定し政略結婚をするようなほどでもなく、両親にも結婚や婚約をせっつかれていなかった。


ゆっくり、時間をかけて彼女の気持ちを自分に。

そう考えていた。

レイナードから小父上がカテリーナの誕生日パーティで結婚相手を探すことに決めた、と聞くまでは。



「小父上と賭けまでして権利を手に入れたんだ。もうこれで時間はいくらでもある。」

「時間ねぇ。」

「せめて死ぬまでにはなんとか…」

「人生かけすぎだろ!」



三度目の馬鹿笑いが部屋に響いた。



カテリーナの心も欲しい、そう思うのは欲張りなんだろうか。


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