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晴天の霹靂  作者: 菊花
小話
18/22

侯爵家当主と伯爵家当主の会談




「なにも本気だったわけじゃないんだ。少し心配になって、軽い気持ちで言ってみただけなのに、ひどいと思わないか?」

「奥方どのには本気に見えたんだろう。レイに知られたのも敗因かな。」

「あぁああぁああぁ」



2人だけの応接室になんとも言えない叫びが放たれた。

頭を抱えて苦悩するモーズレイ伯爵をロックウェル侯爵が宥める。



「まあ、私が言うのもなんだが我が侯爵家にリーナが来てくれるのは大歓迎だ。リーナなら間違いがない。」

「それはそうかもしれんが、まだ早い!まだ!成人もしていないぞ!」

「あともう少しで成人するだろう。それにリーナはのんびりで、ほっといたら行き遅れるかも、と言ったと聞いたぞ?」

「うっ。」

「そうは言ってもあの子は可愛いからな。デビューをすれば周りがほっとかないだろう。変な男に持っていかれるくらいならうちのカートでいいじゃないか。幸い、良い男だ。」

「うぅっ…。」



それはわかってる、わかってはいるんだ、と呟きながら項垂れている。

侯爵はそれを見ながらこれが娘を持つ複雑な父心か、と妙に感心していた。

そしてもうひとつ、知らないであろう情報を伝える。



「どのみちカートが動かなくても我らが奥方たちが動いたんじゃないか?」

「どういうことだ。」

「ふたりをお見合いさせようとしていたらしい。」

「な!」

「つまりどのみちうちに来る運命だったってことだろう。諦めろ。」

「あぁあぁぁああ」


再び叫んだ伯爵に追い打ちをかけるように侯爵は話を進めた。


「さて、婚約の発表はいつにしようか?婚儀の日取りは?決めなければならないことはたくさんだ。」

「お前も敵だな!!」

「そんな、とんでもない。だって賭けに負けたんだろう?」

「ぐぬぬぬ」

「男に二言はない、そうだろう?」


息子によく似た笑みを浮かべる侯爵に彼はため息をついた。


「はあぁ…分かったよ…無駄な足掻きはやめにしよう。」



さっと表情を変え父親から当主の雰囲気になる。

さっきまでぐだぐだと文句を言っていたのが嘘のようだ。

切り替えが済み、さくさくと事を決めていく。

あらかた決まり、やれやれと息をついた。



「まあこんなものか。あとはその都度本人達と相談だな。」

「そうだな。それにしてもあの子たちが結婚か。なかなか不思議な縁だな。」

「私はそんなつもりなかったがな!」

「まあそう言うな。…しかし賭けの場に居たかったな。さぞかし面白いことになっていたかと思うと…。」

「それが本音かっ!!」



結局私には味方がいないんだ!と叫ぶ声が廊下まで響いたのだった。














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