12
さすがに気付かないわけはなかった。
期待は確信に変わる。
でも明確な言葉が欲しい。
欲張りだと自分でも思う。
「…分かっていらっしゃるんでしょう?」
「どうかな。ほら、きちんと言葉にしないと伝わらないこともあるんじゃないかな?」
「うぅぅ…。」
真っ赤な顔で睨まれてもなぁ。
可愛いとしか言えないんだけど。
「リーナ?」
「私カート様みたいにさらっと言えませんんん」
「心外だな。俺が緊張なかったとでも?」
「そんなまさか!」
カテリーナにはどんな風に見えているんだろう。
別にそれほど完璧超人でもないんだけれど。
まあ立場上内面を悟られないよう教育されているから仕方ないのか。
「じゃあ、抱きしめても?」
「ふえぇっ!?何がどうしてそうなるんです!?」
「その方が分かりやすいかなって。リーナ、信じてくれないし。それとも俺に抱きしめられるのは嫌?」
「そんな聞き方ずるいです!」
「ずるくないよ。ねぇリーナ、嫌?」
「…いっ嫌じゃないです…。」
向かいに座っていた所からカテリーナの横に座りなおし、びくりと揺れた細くて小さな体を引き寄せ抱きしめた。
どくんどくんと自分でも分かるくらい心臓が鳴る。
しばらく無言のまま、抱きしめる。
固まったままだったカテリーナがふっと力を抜いた。
「カート様の心臓凄い早いです…ね…」
「…分かってもらえた?」
「…壊れちゃいそう…」
「それは困るな。まだリーナの気持ちを聞いてない。」
思わず、抱きしめる腕に力が籠る。
「…好き…好きです…。カート様…。」
小さく聞こえた言葉に、ドクン、とまた大きく鳴る。
この日を待ち望んでいた。
もっと聞きたい。
さらに体を引き寄せ耳に直接言葉をささやく。
「…もう一度言って。」
「ひゃあっ!?無理です!!」
「お願い。言って?」
「恥ずかしいです!!」
「残念だな。…もう少しこのままでいてもいい?」
「……はい……。」
「好きだよ、リーナ。」
「はっはいっわっ私もすっすきでふっ」
「ぶはっ!!」
「やだもうっ!笑わないでくださいっ!」
思いが通じた。
夢だったらどうしようか。
夢じゃないことを確かめるためにぎゅっと抱きしめた。




