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35.異世界少女、やっぱり強い?





「ライジは倒れている上位鬼人(オーガ)を確実に仕留めて魔石化してくれ!」




 【エルフ姫】の導き(無茶振り)によりダンジョン『草魔の穴』の魔晶核(コア)獲得を目指して現在は23階層まで攻略している。

土埃に塗れた茶褐色の岩の荒城に群れを成している上位鬼人(オーガ)達を倒さないとより下の階層へは進めず、正面突破せざるを得なくなった。


 俺達の姿に気付いた上位鬼人(オーガ)達が次々と襲い掛かって来る。

戦闘体形に変化した猫耳兎耳コンビ、メネ&ライが自慢の緑輝の斧槍(ハルバード)大剣(ファルクス)で鬼人共を薙ぎ払い吹き飛ばす。


 しかし吹き飛ばされた鬼人(オーガ)達も完全に絶命している訳ではなく予期せぬ反撃を喰らわぬようライジに致命の一撃を加えるよう指示した。


「了解しました!」

「私も弓で手伝います。Lv.上げLv.上げ♪」

「わ、私も上げたいです」


 習熟値獲得の為に倒れている鬼人達を追撃して確実に絶命させる。

これではどっちが鬼が解らない。


「まだまだ暴れたりないにゃ!」「同意ぴょ!」


 獣人族特有の驚異的な膂力で上位鬼人(オーガ)をもものともせず荒城の中を邁進していく猫耳兎耳。

しかしやはり魔物の数が多く、獣人娘二人だけでは対応できず、派手に暴れている二人よりも俺達に狙いを定める鬼人(オーガ)が増えて来た。


「アヤネと姫様は下がって!」


「は、はい!」

「了解です。鬼さん達、こっちに来たら魔法矢で脳天ブチ抜きますよ♪」

「姫様、発言が怖いです……」


 俺と姫様とアヤネは3人で固まる。

ライジは筋骨隆々で紅肌の鬼人相手に一人立ち向かっている。

 


「俺だって鬼人に勝てます!」


 ライジと対峙しているのはグラップラーオーガらしい。

半開きの口から涎を流しながらその黒い鬼眼で獲物(ライジ)を見定めている。


「ガガ、オガッガ!」


「鬼人め、喰らえ『爆裂雷斬』!」


 ライジが最初から渾身の一撃を放つが、それを軽く跳び避け、グラップラーオーガはライジに殴りかかろうとする。

鬼人の豪拳が地面に突き刺さる、ライジは間髪一発回避する事が出来た。


「クソッ!まだまだ!なっ!?」


 反撃しようとしたライジよりも素早く、グラップラーオーガが追撃して来た。

上級の魔物とそれ以下の魔物との一番の差は勿論体躯の強さ・硬さ、魔力の強さも挙げられるが、その敏捷性・反射速度にあると思う。


 強い魔物は必ず相手の初手の攻撃を躱すのだ。その反射速度により攻撃を当てるのが一気に困難になる。

これまでの魔物と異なり、呑気に冒険者の渾身撃を受け止めてくれない。


 そんな上位鬼人(オーガ)達に対して大暴れ出来ているメネ&ライはやはり獣人族特有の膂力の賜物だろうか。

ライジは防戦一方でグラップラーオーガに対して勝てる道筋(シナリオ)を見つけられていない。


 このクラスの魔物の打擲(ちょうちゃく)は一発でも喰らえば致命傷になりかねない。

俺はライジの援護をする事にした。

 

 『≪悪滅重力層・超≫』


 俺達3人を中心とした黒い魔法陣が地面に大きく展開される。


「グガ?オガガガガアガガ!!!」


 ライジと闘っていたグラップラーオーガだけでなく、周囲50メートル付近にいた鬼人達が地面に押し付けられる。

以前盗賊退治の時に駆使した魔法よりも広範囲で強力だ。



「オガガッガア!!!!」


 しかし自身に浴びせられている十倍近い重力を堪えている鬼人(オーガ)もいる。

動きは鈍っているのでこれならライジも倒せる筈だ。肝心のライジは悄然としていた。

独力では勝てなかった事を痛感しているようだ。


「ライジ、得心できないかもしれないがお前の為だ」

「……解っています」


 俺の重力魔法陣で動きを封じられた鬼人達を全員で掃討していく。

荒城を制圧するまで魔法陣を展開し続けた俺は再び魔力(マナ)ポーションのお世話になり始める。今日は最後まで俺の胃腸は持つのか?


 24、25階層も重力魔法陣で魔物の動きを封じ、皆で片づけていった。

その頃にはライジはLv.31、アヤネはLv.30、姫様はLv.29でメネ&ライはLv.36と一つ上昇した。


「あっまた新しいスキルが習得出来ました。なんだろう『瞬時飛脚Lv.1』って?【飛脚】ってえっさ!ほいさ!って人を運ぶのだっけ?……」


アヤネはまたもや新たな特殊能力(スキル)を習得したらしいが、アヤネ本人も異世界の知識を掘り返してもしっくり来てないようだ。


「【飛脚】というのは確か、遠地へと駆けて信書や金銭を運ぶ職ですね♪」


「姫様よく知ってますね」


「諸事万端に通暁しているエルフ族ですから。うふふ♪」


 今回のも【地図】【収納】に続いて【商人】のスキルのようだ。


「じゃあどのくらいで駆ける事が出来るのか、試してみたらどうだ?」


「はい。えっとじゃあ、あっちの方まで走ってみます。『瞬時飛脚』―――」


その刹那、アヤネの姿が消えた。


「「「「え?」」」」

「アヤネさんもうあんな所にいます。凄い特殊能力(スキル)ですね♪」


姫様が指さす方を見ると本当に遠くで小さく見えるアヤネが居た。


「アタシ達の全速力より速いにゃ……」「ぴょ……」

「俺、もうアヤネさんと張り合うの諦めました……」

「それが正解だと思う」


もはや【商人】専用の特殊能力(スキル)じゃなくない?




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