33.新たな助っ人は誰?
なんと今回「エルフ姫」があの「今日の一冊」で紹介して頂けることになりました!!
コーナーを主催されている博報堂様、有難うございます。
そしてこんな貴重な経験が出来たのはひとえにこの「エルフ姫」をブックマーク、評価をつけて下さった読者の皆様のおかげです。
本当に有難うございます。
「なんでそんなだらしない腹してんだってポーションの飲み過ぎかよ。魔力量がまだまだ未熟なんだよお前は」
姫様の無茶振りにより魔晶核を獲得する事になった俺達魔導具工房メンバーは暴走寸前のダンジョン『草魔の穴』を攻略していたのだが
あまりの魔物の多さに何度も魔力が枯渇気味になってはその都度魔力ポーションを飲んでる内にとうとう俺の腹が破けそうな有様になってしまった。
本日のダンジョン攻略を終えて王都の迎賓館に戻ってきた俺達を待っていたのは祖国メルフェスの【英雄】である冒険者ギルドのマスター・ダグラスタと商業ギルドマスターのマリリノの二人だった。
「どうして二人が迎賓館に?もしかしてダンジョン攻略手伝ってくれるんですか!?」
このタイミングでのこの二人に会えたのは天啓に違いない。
「どうしてってお前が転送魔方陣でギルドにいきなりとんでもねえ数の雑魚魔石を送り付けてきやがったからだろうが。抗議だ抗議」
「商業ギルドなんてオークの死骸よ?迷惑行為にも程があるわ。ケントには一度色々教えてあげないと解らないのかしら?ん」
援護じゃなくて苦情だった……オークに関しては姫様の我儘だし冤罪だ。
規律に厳しい【氷艶戒女】の指導は天国であり地獄と聞いた事がある。
「『草魔の穴』が暴走寸前なくらい魔物で溢れて大変だったんですよ。それだけの魔石、王都の冒険者ギルドじゃなきゃ処理してもらえないし」
「魔法盾の次は魔導車を創りやがったと思ったら今度は暴走ダンジョンで魔晶核狩りか。お前そんなに派手な奴だったか?」
「大抵が姫様の導きですよ。ダンジョンも魔物が多すぎて何度も魔力が枯渇しそうになりながらの攻略です」
「何度も枯渇ねぇ……やっぱりそっちの姫さんの差し金か」
「ケントさんが優秀だから新しい事に挑戦出来てるだけですよ♪」
姫様は【英雄】2人がいても普段と変わらず鷹揚だ。ダグラスタの睥睨をものともしない。
ダグラスタの事を可愛い動物好きの大男だと思っているアヤネも自然体だ。現に今も今度は碧い豹猫を撫でている。
ライジ&ライラとアルーさんは2人の偉大さを知っているだけに身を竦めながら恐縮している。
「そう云えば魔導車の事知ってるんですか?」
「当たり前だろ。この国の冒険者ギルドの首魁だぞ。王城の連中や領民達も新しい文化が始まるって皆燥いでやがる。道の土木改装も有志が多いらしいぞ」
元々娯楽が多いとは言えない農業国だからな……領民も魔導車の普及を歓迎してくれてるようで良かった。
「魔導車の件でケントも一度商業ギルドに足を運んで頂戴ね。ん。それとアヤネを借りたいんだけどいいかしら?」
「私ですか?」
女神様から授かった『無彊複製』と云うアヤネの神力をこの国の商業ギルドも受け入れる体制が整ったのだろうか?
「申し訳ありません。アヤネさんはダンジョン攻略までお貸し出来ないのです」
姫様がマリリノの申し出を断った。断られるのは想定外だったのか妖艶な女性が拗ねた様子を見せる。
「じゃあケント達がダンジョン攻略するまでアヤネを連れていけないの?んもぅ!あんな事こんな事したくて堪らないのに!だったら私がさっさとそのダンジョン片づけてやろうかしら?」
「え?【英雄】が一緒に戦ってくれるんですか?」「歓喜歓喜……」「マリリノ様の武技を拝見できるなんて僥倖です」
これは強力な援軍きたー!のか?恐縮していた3人も思わずを声が出て燥いでいる。
【氷艶戒女】と一緒に戦えるなんてメルフェスの人間なら夢のような出来事だ。
「マリリノ。止めとけ。そっちの姫さんにも考えがあるんだろう。というか『草魔の穴』ならお前一人で十分だろうケント。なあ?」
不闘期間の長い元伴侶がダンジョンに潜るのは嫌らしい。
だからって【英雄】の威圧を個人的な私情で俺に使わないで欲しい。
「魔物の数が多すぎるんですよ。それとこれ以上、下の階層には仲間を連れていけません」
「そんな……俺はまだ闘えます!」
「兄さまが闘うなら私私も……」
「最後までお力になれず心苦しいです」
アヤネの異世界千里眼によればこれまでのダンジョン攻略でライジのLv.は29、アルーさんはLv.28、ライラ&アヤネはLv.26 姫様はLv.24まで上昇した。
因みに俺のLv.は58とあれだけの数の魔物と闘った割に1しか上昇してない。そんなものかもしれない。
ライジはまだ潜らせて欲しいと懇願した。男として強くなれる機会を手放したくないのだろう。
ライラとアルーさんには連れていけない、これ以上は足手纏いになると俺がはっきり伝えた。2人に無理はさせられない。
「手数が必要ならメネ、ライを貸してやる」
「え?メネ、ライってたしか以前ダグラスタの両隣にいた、兎耳猫耳のコですか?」
前回は騒がしかったあの猫耳娘、兎耳娘はそう云えば今日は一緒じゃなかった。
「ああそうだ。20-30階層くらいならメネ、ライの助けで十分だろう。メネ、ライの研鑽になるしな」
「あのコ達、そんなに強いんですか?」
「俺が愛くるしいというだけであの2人を傍に置いてると思ってたのか」
「はい。それ以外ないと思ってました」
「その腹殴るぞ」「止めてください。絶対に吐きます」
新たな仲間を得て、ダンジョン攻略再開。




