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26.助っ人はメイドさん?




「私、洞窟(ダンジョン)なんて無理ですっ!戦闘なんて出来ません!」



 魔導車等に関する事で祖国メルフェスの若き国王陛下ブルスケッタに謁見していた筈が【エルフ姫】の無茶振りにより

俺とアヤネは『魔導砲』を創作するために必要なダンジョンの魔晶核(コア)を入手しないといけなくなってしまった。


 異世界からやって来た、戦闘に関してはド素人のアヤネもダンジョンに一緒に潜ると聞かされ困惑している。


「そうですよ!こんなうら若き細身の令嬢を洞窟(ダンジョン)に潜らせるのは危険です!なんなら私もアヤネ嬢と一緒に潜ります!!」


「流石にそれはなりませんぞ!陛下!」


 アヤネに首ったけなブルスケッタも猛然と姫様に抗議して自分もダンジョンに行くと言い出し、宰相様たちに止められる。

騒ぐ一同に対し姫様は鷹揚に答える。。


「大丈夫ですよアヤネさん。それに陛下も。アヤネさんには女神様の【加護】、『光球神壁(ライトスフィア)』がありますので♪」



「『光球神壁(ライトスフィア)』だとっ!?あの伝承の?やはり彼女は女神様の使徒なのか!?」



 俺も驚いているだけの参列者(ギャラリー)側に回りたい。



洞窟(ダンジョン)においても女神レミール様がアヤネさんの事をしかと守護してくれる筈です♪」


「あの光の壁があれば洞窟(ダンジョン)も大丈夫なのかな?……」


「た、確かに『光球神壁(ライトスフィア)』を駆使できるのなら安全かもしれませんが……」


 姫様の説得に不安も感じながらも得心している若い二人。



 ……俺は?



洞窟(ダンジョン)に潜るのは魔導士ケントとアヤネ嬢だけなのでしょうか?」


「いえ、突飛な事を言い出したのは私ですから私も洞窟(ダンジョン)に潜ります♪」


 陛下の問い掛けにそう答えるサリー姫。姫様も魔晶核(コア)の獲得に参戦するらしい。


「その3人で潜るのですか?」


「そうですね。もう少し人手が欲しいです。しかしパーティーは連携も重要ですし気心の知れた魔導具工房のメンバーで洞窟(ダンジョン)に潜ろうと思います」


魔導具工房メンバーとは魔導士の俺と『万感予知』の姫様、『無彊(むきょう)複製』のアヤネにあの双子兄妹のライジ&ライラの5人で臨むという事か。

(ライラ)がぴたりとくっついてまともに剣も振れない(ライジ)は戦力になるのか?……


 冷静に分析してもパーティーとして穴だらけの(ザル)編成だ。最大の欠点としてはまともな前衛職がいない。


「たしかに工房のメンバーだけだと前衛的な部分が物足りないですね。あと一人助っ人が必要でしょうか?」


 助っ人!?陛下であるブルスケッタが勅命を出せば王都の冒険者ギルドを統括している【英雄(マスター)】ダグラスタ・オルスが助っ人になってくれるかもしれない。


「でしたら私の方でその助っ人とたりえる実力者である人物を手配致しましょうか?それと他に何か希求される事は御座いますか?」


 姫様お願いします!陛下の提案に乗って!もっと欲しがって!


「いえ。結構です。最後の一人も私が選別したいと思います♪」


 終わった……姫様は本当にこの面子で魔晶核(コア)の獲得が出来ると思っているのだろうか?


「そうですか……ではアヤノ嬢の為に最高峰の装備を用意させて頂きます。念のためサリーティス様の装備も国が用意しますので」


「ご配慮くださり感謝致します」


 ブルスケッタも悄然とした様子だ。

国が実力者を手配すると云ってるのにそれを辞する【エルフ姫】の胸中が理解できないのだろう。


 かくして王城での波乱含みの謁見・会見は終了した。

新居として借りている王都の城下町の迎賓館に俺達3人は帰宅した。凄い疲労感を覚えた。



「本当にダンジョンに潜るんですか?姫様も?」


「ええ。ですのでケントさんには私が装備する『魔法弓』を創作して頂きたいのです♪」


「……解りました。用意します。それと最後の助っ人は一体誰に?」


 その時だった。メイドさん達が迎賓館に到着した俺達を出迎えてくれた。



「お帰りなさいませ。サリーティス様。ケント様。アヤネ様」


そう云って頭を垂れたのはバターブロンドの髪色の頭部に紅いブリムを飾っている少し変わったメイドさんだった。女性にしては肩幅も広く大柄だった。背丈は俺より少し低いくらい。


「そう云えばケントさんは初対面でしたか?此方は私専属のメイドとなりましたアルーさんです」

「この度、エルフ国キュリーメイズの第一皇女様であるサリーティス様の侍女をさせて頂く事になりました。アルーと申します。以後お見知りおきを」


「アルーさん、ですね。宜しくお願いします」


「こちらのアルーさんは只のメイドさんではなく護衛任務も遂行できる方らしいです♪」


「そうなんですか」

「はい。屋敷だけでなく外敵も掃除してみせます」


「それは頼もしい」

「はい。我がメイド一族は主様をお守りできる戦闘技能無くして一流のメイドとは云えないと育てられてきましたから。この紅いブリムは我が一族の誇りのようなものです」


「アルーさんはどうやって魔物や賊と闘うのですか?」

「棒術です」


「おお。どんな武器をお使いに?」

(ほうき)です」


「え?」


また若干変わった人の匂いがしてきたぞ。

姫様の個性派好きの側面がまたも暴走している。


「鉄の箒で戦います」

「鉄の箒って床は掃けるんですか?床が傷つきませんか?」


「掃除の際には箒の穂先にスライムの加工洗粘液を使用します。これを使用すると頑固な汚れも吸着してくれるスグレモノなのです」


掃除の蘊蓄(うんちく)を聞かされるとやはりこの人の本職はメイドなのだと実感する。



「ケント様、私を同行させて頂ければ洞窟(ダンジョン)をも綺麗に掃除してみせましょう」


洞窟(ダンジョン)でも活躍できるの?凄い自信だ。あれ?



「もしかして最後の一人と云うのは?……」


「はい♪勿論こちらの洞窟(ダンジョン)もお掃除してくれるというアルーさんです!あれ?ケントさん表情が死んでますよ。大丈夫ですか?」



 どうなる!?ダンジョン攻略。



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